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アトラス設計渡辺朋幸の違法性

東急不動産物件居住者の声

イーホームズ藤田東吾社長が耐震強度偽装事件の闇を告発しています。その告発には姉歯秀次の耐震強度偽装を最初に見破ったとされるアトラス設計渡辺朋幸が一級建築士資格を持たない無資格者であるという衝撃的な内容があります。実は東急不動産のアルスの構造設計者は渡辺朋幸で、恐ろしいことに無資格者が構造設計した建物に住んでいることになります。しかし残念なことに藤田告発はマスメディアではほとんど報道されていません。報道されないという事実に逆に告発内容の正しさと圧力を感じさせますが。北海道でも荻島という無資格者が構造設計をした問題が発生していますが、行政が事実を公表しないため、公知になっていません。耐震強度偽装事件の闇は深いです。

ロータリーパレス取手とアトラス設計

アルスの構造設計者であるアトラス設計・渡辺朋幸が無資格であった件につき、新たな事実が分かりました。茨城県取手市で建設中のマンション「ロータリーパレス取手」の設計監理もアトラス設計でした。
最初は下河辺建築設計事務所(下河辺隆夫)がロータリーパレス取手の設計監理をしていました。この下河辺建築設計事務所は姉歯秀次に構造計算を下請けさせて、ヒューザーのマンションを設計した事務所です。つまり下河辺建築設計事務所はグランドステージ池上やグランドステージ東陽町等の耐震強度偽装物件の設計者です。
2005年11月の耐震強度偽装事件の発表時に下河辺建築設計事務所の名前も公表されたため、営業できなくなって、アトラス設計が設計監理を引き継いだものと思います。偽装関係者の物件を引き継いだ事実は、アトラス設計も偽装関係者と関係が深いことを示しています。ロータリーパレス取手の安全性については取手市議会でも取り上げられました。公明党の貫井徹議員が質問しています。

アトラス設計・渡辺朋幸代表の無資格問題

アトラス設計の渡辺朋幸代表が一級建築士資格を持たない無資格者であることは重大な問題であると思います。藤田氏が判決後の告発「安倍総理殿、国家に巣食う者を弾劾致します」ではエグゼプリュート大師駅前(田村水落設計)の耐震強度偽装とアトラス設計・渡辺代表の無資格問題の二本立てでした。現在、田村水落設計(水落光男代表)の偽装が問題になっていますが、藤田氏がアトラス渡辺の無資格も匹敵する問題と捉えていることが分かります。

但し藤田氏は名義借りを強調され過ぎたきらいがあり、代表者と管理建築士が別であるとう業界的には問題ない状態と受け止められがちな点が残念です。問題の本質は無資格の渡辺氏がどのような仕事をしているか、にあります。経営者として事務所の経営に専念しているならば何ら問題はありませんが、渡辺氏が構造設計者としての業務をしていることが問題です。渡辺氏が構造設計に関与していても、管理建築士の指導下で作業したことと言い訳するかもしれませんが、実際に検査機関に提出された書類に渡辺氏を構造設計者とするものがあります。

現行法上、建築確認申請上の設計者にのみ建築士資格が求められるのは仰るとおりです。これは設計者が建築の全分野を統括することを想定しているためです。意匠、構造、設備等と分業化されている場合で、意匠設計者のみが設計者として申請される例が多いことも御指摘の通りです。この場合でも法は設計者として申請書に記載された意匠設計者が構造等も含め、全分野に責任を持つことを求めています。それが設計者の責任です。姉歯秀次元建築士に構造設計を下請けした下河辺建築設計事務所らが設計事務所の登録を取り消されたのも、このためです。構造設計を実際に行ったのが姉歯元建築士であっても、名義上の設計者が下河辺氏らであるため、彼らが責任を負いました。

意匠設計者にとって構造設計を下請けさせることはリスクのあることであり、無資格者であると分かれば発注を避けるようになるのも自然と思います。消費者としても、いくら立派な設計事務所が書類上の設計者であったとしても、実際の構造設計者が無資格者であるような建物に住みたいとは思いません。その意味でアトラス渡辺氏を講師としたり、彼が構造設計したことをセールスポイントとしたデベロッパーは罪深いです。藤田氏の告発はアパグループに対するものと同様、それによって打撃を受ける人が生じますが、多くの消費者を救うものであると評価します。

アトラス設計・渡辺朋幸代表の違法性

建築確認申請書類の設計者欄に一級建築士資格を有する人物を記載すれば、実際の担当者がアトラス設計・渡辺朋幸代表のような無資格者でも構わないというのは法の趣旨を無視した暴論です。
建築基準法は設計者を「その者の責任において、設計図書を作成した者をいう」と定義します(第2条)。即ち設計者は設計について全責任を負う人物です。設計者自身に設計書の全内容を作成させることまでは求めていませんが、他人が担当した箇所も含めて自らの責任において設計したものである必要があります。
建築確認申請書上の設計者欄には上記の意味での設計者を書かなければなりません。重要なことは設計者は申請者が設計者としたい人物を書くのではなく、設計者の定義は予め法が決めており、それに適合する人物を書かなければならない、ということです。即ち建築基準法上の設計者は確認申請書に書かれた人物ではなく、法の定義に基づく人物になります。意匠・構造・設備を完全に分業で設計したならば、建築基準法上の設計者は意匠・構造・設備の各建築士が共同でなります。この場合に意匠設計者のみを設計者欄に書いて申請したならば虚偽申請となります。
これは消費者の立場からのあるべき論ではなく、建築基準法の規定の問題です。確かに設計業界にとってエンドユーザーは遠い存在であり、消費者感情を理解されないとしても仕方がないことかもしれません。そもそも理解を求めることが間違っているかもしれません。消費者感情に反しているという理由では業界の慣行を改めようとはされないかもしれません。しかし問題にしているのは法律論であり、それが業界の慣行と強弁されるならば違法が常態化している業界となります。

アトラス設計の渡辺朋幸が一級建築士資格を持たない無資格者であるにもかかわらず、建築士法第3条「一級建築士でなければできない設計又は工事監理」に規定された建築物の設計・工事監理を行ったならば違法です。
仮に名義上の設計者(意匠設計事務所の一級建築士)が渡辺氏に構造設計を依頼した場合に、渡辺氏を手足として使うだけで、全ての指示を意匠設計者が出していたならば、意匠設計者が「設計図書を作成した者をいう」と言えるかもしれません。ところが、実態は異なり、意匠設計事務所とアトラス設計は請負契約で、両者の間には指揮命令関係はありません。耐震強度偽装事件は元請けの設計事務所が下請けに構造設計を丸投げし、設計者としての責任を果たしていない実態が明らかになりました。
アトラス設計は管理一級建築士・小林昭代の名前で一級建築士事務所登録しています。このため、渡辺朋幸は代表者で構造設計は小林昭代がしたとの言い訳も思いつきます。しかし渡辺朋幸は自己の名で構造設計を行っています。渡辺朋幸自身が国会において、姉歯氏の偽装を見破ったとされる北赤羽物件では、自ら会議に出席し、姉歯氏の偽装箇所を指摘し、総研側が降りた後は自ら再設計したと証言しています。また、東急不動産のアルス東陽町というマンションでは確認検査書類の構造設計者欄に渡辺朋幸と明記されています。
現実問題としては建築確認検査において実際の設計者が誰であるかということを調査しないため、資格者の渡辺朋幸が構造設計をしていても指摘されずに通ってしまいます。しかし建築確認は確認に過ぎず、合法性を付与するものではありません。
実際は法の要件を適合していないのに誤って建築確認が付与されても、それで申請が合法になるわけではなく、違法であることは変わりません。そのまま建築物が建てられてしまったならば違法建築物になります。

他にも同じようなことをしている人がいるという事実は、アトラス設計・渡辺朋幸の責任を軽減するものではありません。むしろアトラス設計が堂々と営業でき、渡辺朋幸が耐震強度偽装の発見者として、もてはやされている現状が同様なことをしている人々の免罪符になってしまうと考えます。
そもそも無資格者の名義借り問題は渡辺朋幸だけが非難されているわけではありません。秋葉三喜雄・秋葉設計代表は姉歯氏から名義を借りたとして逮捕されています。秋葉氏だけが逮捕されて渡辺朋幸が逮捕されないのは不公平です。藤田氏の問題意識も、この点にあります。
加えて渡辺朋幸は構造設計の専門家として国会の参考人招致に応じています。国会では一級建築士であることは当然の前提として扱われ、本人もそれを否定しませんでした。渡辺朋幸の責任は、秋葉氏のように単に名義を借りて営業した者よりも、遥かに重いと考えます。

アトラス設計・渡辺朋幸無資格問題の重要性

アトラス設計の渡辺朋幸が一級建築士資格を持たない無資格者であること、管理一級建築士・小林昭代から名義を借りていること、公平性の観点から秋葉三喜雄と同じく逮捕されるべきであるとするのが藤田東吾氏の主張です。従って、これらの真否は藤田氏を評価する上で重要な論点となります。
仮に上記内容が問題ない、又は大したことではないならば、藤田氏は自分が逮捕されたことに対する逆恨みからアトラス設計を誹謗中傷しているのではないかと受け取られかねません。残念ながら、その種の認識も世間には皆無ではないと思われます。従って渡辺朋幸の位置付けは重要な論点になります。
アトラス設計については例として出しただけであり、本論は別にあるとのことですが、柳沢伯夫(柳澤伯夫)大臣も女性は産む機械であるということを主張したかったわけではなく、少子化問題が本論であったと思います。だからといって女性差別を容認しない立場に立つならば、「女性は産む機械」発言を問題視しなくていいことにはなりません。たとえ少子化問題が検討すべきテーマとして与野党間で共有されていたとしても、差別発言を脇において検討を進めるべきではありません。

現行法上、設計者は「その者の責任において、設計図書を作成した者」です。意匠設計者のみを設計者として確認申請することが許されるのは、あくまで当該意匠設計者が自己の責任において全設計を行ったと言えるためです。意匠設計の分野も一級建築士が一人で全てを行うのではなく、助手らを使いますが、同じような形で構造設計士を使った場合に意匠設計者のみが設計者であると言えます。
仮に建築基準法上の設計図書は意匠設計書に限るというような解釈が存在するならば、意匠設計者のみを設計者とするという解釈も成り立つ余地があり、解釈の問題となりますが、その種の主張はなされていません。単に実務で意匠設計者のみを設計者として申請しているだけでは、法解釈にはなりません。違法駐車やスピード違反は無数に行われていますが、無数に行われていることを持って、合法であるとの解釈が成立しないことと同じです。
東横インの西田憲正社長のように、設計業界においては「時速60キロ制限の道を67〜68キロで走ってもまあいいかと思っていた」という感覚でしかないという感情論でしたら感情論として承りますが、それは法解釈でもなく、法律論にもなりません。

次に設計業界の認識として無資格者・渡辺朋幸が構造設計に携わっていたことが実務として問題なく行われているという御主張にもにも疑問があります。前段までは適法性の問題でしたが、これは事実認識の問題です。
アトラス設計が見殺しにされていると説明されました。しかし藤田氏の告発をマスコミは沈黙したため、マスメディアによるバッシングはなされませんでした。アパや藤光建設、川崎市と異なり、アトラス設計は反論しなかったため、逆に取り上げられることも少なかったと言えます。
そのため、現在、アトラス設計が見殺しにされているとしたら、それは業界内の話になります。アトラス設計が誰もがやっていて問題ないことをしただけならばアトラス設計が業界から爪弾きされることはありません。アトラス設計に取引先から忌避されているならば、藤田氏の告発に表立っては同調しないが、内容は認めざるを得ないということを意味すると思います。この点からアトラス設計は実務上も問題があると判断します。
但しアトラス設計の問題は無資格以外もあり、例えば建築主を通さず直接イーホームズに通報した点についてヒューザーに対する守秘義務違反が指摘されています。そのため、アトラス設計見殺しの理由を無資格以外に求める見解もあると思います。
何れにせよ、アトラス設計が業界から総スカンされたのは、藤田告発が法的にも業界の通念上もアトラス設計に問題があることを示したためと考えます。この点で「一目で分かる偽装を見逃した」というイメージが国土交通省とマスメディア主導で作られた面があるイーホームズのバッシングとは同列に論じるべきではないと考えます。

アトラス設計・渡辺朋幸の違法性解釈

私は当初からアトラス設計・渡辺朋幸が一級建築士資格を持たない無資格者であるにもかかわらず、構造設計に携わっていることを違法と主張しています。無資格者・渡辺朋幸が構造設計を行っているという事実を現行法(ここでいう現行法は耐震強度偽装事件以前のものです。以下同じ)に照らし合わせて違法という評価を下しています。即ち法の解釈適用の問題です。この意味で管見は一つの法解釈です。
そもそも消費者感情に過ぎず法律論ではないと一蹴したのは私ではありません。「お前の説明が悪いから、そのように受け取ったんだ」ということでしたら、表現を磨くように精進します。そう思うからこそ、長文になるのを省みず、丁寧に説明したつもりですが、なし崩し的に感情論から解釈論に変更されてしまったことは不審であり、残念です。
但し管見は建築基準法の条文を引用して言い換えただけであり、トートロジーに過ぎないとも言えます。一般的な意味において解釈と言えるほど立派なものとは考えておりません。「建築基準法上の設計者は確認申請書の設計者欄に書かれた人物ではない」という解釈も建築基準法上が設計者を別に定義していることから導き出さした論理的帰結に過ぎません。法解釈というよりも論理の問題です。

以下、御主張「構造設計担当者は資格者でなくても違反ではない。何故なら構造設計者の立場は現行法で明確にされていない、故に違反とは言えない」について反論致します。
現行法は構造設計者に資格を求めているのではなく、特定の建築物の設計者に資格を求めています。よって構造設計者の資格云々は全く意味をなしません。現行法は構造設計者というものを定義しておらず、定義されているのは設計者のみです。そして特定の建築物については設計者を有資格者に限定しています。
従って問題は構造設計担当者が設計者であるか否かです。構造設計担当者が設計者に該当するならば違法になります。逆に構造設計担当者が設計者に該当しないならば違法とは言えません。「構造設計は建築基準法上の設計ではない」と主張するならば最初から構造設計者は設計者に入らないことになりますが、この場合は構造設計書(構造計算書)は設計図書に含まれないことになり、無理があります。
つまり構造設計担当者の行為が違法になるか否かは、彼が設計者であるか、彼が「その者の責任において、設計図書を作成した」か否かを具体的に判断することになります。私はアトラス設計・渡辺朋幸の国会証言や彼が構造設計者となっている東急不動産物件「アルス東陽町」の設計監理の記録を踏まえた上で、アトラス設計・渡辺朋幸の違法性を主張しております。

引用された情報は全て御主張を裏付ける内容になっていません。
第一に建築士制度の改革を求める提言(八木寿明「耐震強度の偽装と建築確認」国立国会図書館『調査と情報』500号及びJSCAの意見)ですが、これは提言であって現行法の解釈に影響を与えるものではありません。
「構造設計の建築士は、発言力の弱い下請け的な存在で、役割も明確でなく、契約上も主体になっていない場合が多い」とありますが、意匠設計の建築士を設計者とする場合、当該意匠設計の建築士が構造を含む設計の全分野について責任を持つため、構造設計の建築士の発言力も報酬も契約上の地位も弱くなって当然です。意匠設計の建築士を設計者とする限り、構造設計の建築士は意匠設計の建築士のアシスタント・助手と同じ扱いです。逆に設計に責任を持つならば共同設計者となるだけのことです。
これが現行法の考え方です。これに対して意匠・構造・設備の分業の実態を踏まえていないとの批判があり、法改正もなされましたが、それは当時の法解釈に影響を与えるものではありません。

第二に日本ERI(民間検査機関)の確認申請書式に構造設計者欄がないとのことですが、これも論拠にはなりません。資格が問題になるのは設計者であって、構造設計者ではありません。設計者以外の補助者は問題ではありません。構造設計を担当した人物が単なる補助者以上のことをしたならば設計者欄に名を連ねればいいだけです。実際、アトラス設計はロータリーパレス取手の設計者です。現行法の立場からは構造設計者名の記入欄は必要ではありません。

現行実務上は構造設計の建築士の地位が低く、法改正でも十分ではないとの御不満は現行法解釈とは無関係であり、無資格者による構造設計の違法性についての議論の論拠とはなりません。構造設計の建築士の不満が一蹴された消費者感情とどのように違うのかが全く理解できません。消費者感情も構造設計の建築士の不満も感情論という点では変わりません。一方を否定しながら、他方は「構造設計者名を記入する専用の欄があるべきだと思いませんか」と押し付けるのは理解に苦しみます。官僚や業界団体の提言は考慮に値するが、市井の消費者感情は無視していいというのでしたら、権威主義になります。

無資格者による構造設計と民事訴訟

アトラス設計・渡辺朋幸や荻島設計のような一級建築士資格を持たない無資格者による構造設計が違法であるとして、それらのマンションを購入してしまった住民がどうすべきかという点が問題になります。
渡辺朋幸のような無資格者が一級建築士でなければできない設計又は工事監理(建築士法第3条)を行った場合、当該無資格者は1年以下の懲役又は30万円以下の罰金となります(建築士法第35条)。しかし、これは当該無資格者と国家との関係であって、直接は民事上の問題に結び付きません。つまり例えば渡辺朋幸が設計したマンションの購入者が建築士法違反を根拠としてアトラス設計やデベロッパーに対し、何らかの請求をすることはできません。
しかし構造設計をした者が無資格であり、その事実を知っていればマンションを購入しなかったと言える場合は民法の契約解除や損害賠償、消費者契約法の契約取消しを主張することができます。そして民法や消費者契約法の解釈において行政法規の基準が適用されることはあります。
東急リバブルが迷惑隣人の存在を隠して物件を仲介した事例では、宅地建物取引業法の重要事項説明義務を根拠に東急リバブルの説明義務違反を認めて買主に損害賠償を命じました(大阪高裁平成16年12月2日判決)。このように私法上の義務違反を行政法規上の違反に当てはめて解釈することは可能であり、建築士法違反であることを根拠に契約解除や契約取消しを主張することは可能です。
但し、この論理展開に立った場合、デベロッパー側が民事訴訟で敗訴すると行政法規の違反も判決で認定されます。原告側にとっては被害者感情も充足されて望ましいですが、デベロッパー側も必死で争ってくることが予想されます。そのため、原告代理人が和解含みで考えている場合は慎重に検討する必要があります。これはあくまで訴訟戦術の観点であって、主張できないということではありません。

アトラス設計・渡辺朋幸が構造設計者となった物件での紛争解決例を説明いたします。渡辺朋幸が構造設計者となった物件に東急不動産のアルス東陽町(東京都江東区)があります。この物件では消費者契約法第4条第2項の不利益事実不告知を根拠として買主が売買代金返還請求を求めて東急不動産を提訴しました(東急不動産消費者契約法違反訴訟)。裁判官の和解勧試は何度かなされましたが、東急不動産の拒否で成立せず、東京地裁平成18年8月30日判決は東急不動産に売買代金全額2870万円の支払いを命じました(平成17年(ワ)第3018号)。
東急不動産は控訴しました。この時点では東急不動産は水面下で代理人間の協議を求めることもなく、全面的に争う姿勢を示しました。裁判手続きは嫌でも時間がかかりますから、和解含みで控訴したのでない限り、時間稼ぎは不誠実であっても悪徳企業にとっては合理的な選択です。
ところが、その後、藤田東吾氏により渡辺朋幸が無資格者であると告発されました。原告側もアルス東陽町の構造設計者が渡辺朋幸であること及び渡辺朋幸が無資格者であることを確認し、付帯控訴の準備を行いました。ところが、東急不動産側は一転して和解に応じる姿勢を見せ、東急不動産が和解金3000万円を支払うことで訴訟上の和解が成立しました(平成18年(ネ)第4558号)。和解条項非公開というような条件はありませんので、和解調書は東京高裁で確認できます。
原告は渡辺朋幸の無資格問題を調査する過程でアトラス設計及び名義上の設計者である株式会社SHOW建築設計事務所(昇建築設計事務所、東京都文京区、金井照彦代表)に照会しており、この問題について原告側が追求する姿勢を有していることは東急不動産側も把握しておりました。これが東急不動産の態度豹変の原因と判断しております。アトラス設計・渡辺朋幸が無資格者であることを根拠とする請求は裁判上なされませんでしたが、東急不動産側が争点化を避けたかったために実質敗訴の和解に応じたものと判断します。

東急不動産消費者契約違反訴訟のオーマイニュース記事

今晩は。
オーマイニュースで東急不動産消費者契約違反訴訟についての記事が掲載されましたので、紹介させていただきます。
林田力「東急不動産の実質敗訴で和解」OhmyNews 2007年3月2日
http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000005214
本記事はアトラス設計・渡辺朋幸による無資格設計の違法性を論じたものではございませんが、東急不動産消費者契約違反訴訟のご参考までに提示させていただきます。
本記事のコメント欄では興味深い議論がなされています。東急不動産が控訴審で態度を一転させて実質敗訴の和解に応じたことについて、管見は東急不動産が渡辺朋幸の無資格設計(建築士法第3条違反)の争点化を恐れたためと推測しました。
一方、コメント欄では敗訴判決確定による不利益を恐れて東急不動産が和解に応じたとしています。管見も、これも真実と思います。控訴しても一審判決が覆る見込みがないことが、東急不動産が実質敗訴の和解に応じる大前提です。
しかし本件和解では原告(被控訴人)側は売買代金返還請求の訴えを取り下げていません。従って一審判決を完全になかったものにしたいという東急不動産の不埒な望みは達成できておりません。和解金で原告の請求通りの金額を支払う代わりに原告が訴えを取り下げるならば、金よりも面子を優先させるために妥協したと判断することもできますが、そのようにはなっておりません。
また、和解金を支払わなければならないのは東急不動産側なので、最終的には和解に応じるとしても引き伸ばせるだけ時間稼ぎをした後にするのが悪徳業者の合理的な選択になります。ところが東急不動産消費者契約法違反訴訟では第一回口頭弁論前に和解が成立しました。東急不動産が控訴理由を弁論することも、被控訴人が答弁することもなく和解が成立しました。東急不動産が敗訴を恐れたという理由だけでは、東急不動産が口頭弁論前の和解に応じた理由にはなりません。
一方、東急不動産は和解成立を急いでいたとは判断できません。早期の和解成立を目指すならば控訴状提出直後から代理間で水面下の交渉・根回しに入る筈ですが、その種の努力を東急不動産は一切しておりません。時期的には藤田東吾氏が渡辺朋幸の無資格を告発した後に期日が開かれ、その時に初めて和解に応じる姿勢を示しました。
結論として以下のように認識しております。
第一に東急不動産は、不利益事実不告知(販売時に隣地建て替えや作業所の騒音を説明しなかったこと)の一審敗訴判決を控訴審で覆せる可能性が乏しいため、実質敗訴の和解に応じました。
第二に被控訴人側が渡辺朋幸の無資格設計(建築士法第3条違反)を根拠とした附帯控訴を提起する姿勢を示したため、不本意ながら口頭弁論前の和解に応じました。

アトラス設計・渡辺朋幸の違法性根拠条文

藤田東吾氏によるアトラス設計・渡辺朋幸が一級建築士資格を持たない無資格者であるとの告発には複数の条文に抵触する内容を含みます。
第一に有限会社アトラス設計が小林昭代から名義を借りて一級建築士事務所の登録をしたとの告発です(建築士法第24条違反)。
第二に無資格の渡辺朋幸が一級建築士でなければできない設計又は工事監理を行っているとの告発です(建築士法第3条違反)。
第三に渡辺朋幸が建築士又はこれに紛らわしい名称を用いいる可能性があります(建築士第34条の2違反)。
これらは各々別個の問題です。従って告発の正当性を判断するためには各々について検討する必要があります。藤田氏にとっての不幸は第一の点のみが藤田氏の告発内容と誤解された点です。藤田氏自身が第一の点を前面に出したため、誤解には得ない面はありました。しかし藤田氏は人命に関わる構造設計部分を無資格者が行うことを問題視しており、むしろ第二の点を重視していると考えます。
第三の点については藤田氏が明確に建築士第34条の2違反を主張する意図があるか読み取れませんでしたので前二者とは表現を変えています。

先ず第一の点についてです。建築士法第24条第1項は「一級建築士事務所、二級建築士事務所又は木造建築士事務所は、それぞれ専任の一級建築士、二級建築士又は木造建築士が管理しなければならない」と規定します。渡辺朋幸は一級建築士資格を持っていないため、アトラス設計が一級建築士事務所登録をするためには他人を管理建築士とする必要があります。実際にアトラス設計を小林昭代を管理建築士にしています。藤田氏の主張は「小林昭代が管理建築士としての実体を持たない名義貸しである」となります。
さて建築士法第24条違反を立証するためには小林昭代に管理建築士としての実体があったか否かが問題になります。逆に純粋に建築士法第24条の議論をする限り、渡辺朋幸の無資格を主張する必要さえありません。管理建築士として登録された人物が管理建築士の実体を有しているか否かが問題であって、仮に渡辺朋幸が一級建築士であったとしても、小林昭代に管理建築士の実体がなければ建築士法第24条違反になります。
結論として建築士法第24条違反を導くためには「小林昭代には管理建築士としての実体がない」ことを立証する必要があります。
残念なことに藤田氏は「小林昭代には管理建築士としての実体がない」ことについて具体的に説明しておりません。この点が藤田氏の告発を弱めていることは確かです。
実際問題として小林昭代に管理建築士としての実体があるかという問題はアトラス設計内部の問題であり、内部告発でもなければ、知ることは困難な面があります。告発が事実としてもアトラス設計に悪意があれば偽の勤務表を作成する等により反証は容易です。この点を具体的に示す材料を藤田氏がどれほど有していたのかは存じませんが、公表された情報から判断する限り、第一の点を前面に出すような書き方をされたのは戦略的に得策ではなかったと考えます。

次に第二の点についてです。建築士法第3条は特定の建築物の設計又は工事監理を一級建築士に限定しています。即ち渡辺朋幸のような無資格者が建築士法第3条に規定する建築物について設計又は工事監理を行った場合は建築士法第3条違反となります(罰則第35条)。藤田氏の主張は「渡辺朋幸が設計(の一部である構造設計)を行っている」という点です。 結論として建築士法第3条違反を導くためには「渡辺朋幸が設計(の一部である構造設計)を行っている」ことを立証する必要があります。
第二の点については藤田氏は論拠を述べておられます。参考人質疑(2005年12月7日)において渡辺朋幸本人が北赤羽物件の構造設計をしたと発言したことを根拠とします。北赤羽物件(意匠設計:千葉設計、構造設計:平成設計、施工:木村建設、コンサル:総研)は渡辺朋幸が姉歯秀次の偽装を最初に見破ったとされる物件で、総研らが手を引いた後に渡辺朋幸が構造設計をやり直して計画変更されました。

最後に第三の点についてです。建築士法第34条の2第1項は「建築士でない者は、建築士又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない」と定めます。従って無資格者の渡辺朋幸が建築士又はこれに紛らわしい名称を用いた場合に建築士法第34条の2違反となります。 結論として建築士法第34条の2違反を導くためには「渡辺朋幸が建築士又はこれに紛らわしい名称を用いている」ことを立証する必要があります。
藤田氏が建築士法第34条の2違反を正面から問題視しているとは読めませんでしたが、第34条の2違反の論拠となる記述は公表しております。
「耐震偽装景気に便乗して、マンション販売講習会等で構造設計の講演をやっている」(「安倍総理殿、国家に巣食う者を弾劾致します」)。
「あの人(注:渡辺朋幸)はいろんな講演会、東急不動産の講演に出向いていろんな処で自分の名まえを、構造設計士の名まえを出してますよね」(江口征男「作られた耐震偽装(1)公平な法適用を〜藤田東吾氏語る」JANJAN 2006年11月15日)。
この第三の点については政治的には重要な問題をはらんでいます。渡辺朋幸は参考人質疑に応じて専門家として意見を述べているためです。質問者の松本文明議員は渡辺朋幸を建築士として扱っています。この点で藤田氏の告発を「新たな事実がない」と一蹴した馬淵澄夫議員の姿勢は不満があります。

東急不動産消費者契約法違反訴訟と建築士法違反

東急不動産消費者契約法違反訴訟のようなマンション購入者が不動産会社を訴える裁判では、建築士法第24条や第34条の2よりも第3条が最も有効と考えます。何故なら第3条が設計そのものを問題にしているためです。裁判で問題になるのは不動産売買契約であり、渡辺朋幸の無資格を問題にするのも、売買契約の目的物である建物の設計に問題があることを立証することが目的だからです。
第3条では設計監理を一級建築士に限定しており、無資格者が設計又は監理を行えば、それだけで当該設計は法の要件を満たしません。仮に渡辺朋幸に一級建築士並みの知識経験があり、渡辺朋幸の設計が安全なものであったとしても、無資格者であるとの一点において渡辺朋幸の設計には問題があります。よって設計に問題があるため、当該設計により施工された建物の不動産売買契約も問題があると主張できます。
これに対して第24条や第34条の2やアトラス設計や渡辺朋幸を行政処分や刑罰の対象としますが、彼が行った設計そのものを直接論じるものではありません。従って民事訴訟では更に渡辺朋幸の建築士法違反が不動産売買契約に如何なる影響をもたらすか、について主張を加える必要があります。以上より、建築士法第3条違反が民事訴訟では有効と考えます。

東急不動産消費者契約法違反訴訟において原告側が実際に検討したのは建築士法第3条違反でした。東急不動産物件「アルス」は株式会社SHOW建築設計事務所(昇建築設計事務所、東京都文京区、金井照彦代表)・竹内久・一級建築士が名義上の設計者です。しかし構造部分の設計及び監理については竹内久ではなく、渡辺朋幸が行っていたことを原告は突き止めました。
無論、建築士法第3条違反が争点化されれば東急不動産側は「渡辺朋幸は補助的アシスタント的な作業しか行っておらず、アルスの設計者は竹内久ただ一人である」と反証することが予想されます。原告側主張が認容されるか否かは渡辺朋幸が設計・監理したことを立証できるかにかかっています。
原告側は藤田氏の告発だけで判断したのではなく、SHOW建築設計事務所への照会等によりアルス設計時の具体的な態様を把握した上で附帯控訴を準備しました。一方、東急不動産側は突如態度を翻し実質敗訴の和解に応じました。ここから東急不動産は争点とされることを恐れたと推測しましたが、それは渡辺朋幸が無資格者であることに加え、渡辺朋幸がアルスの設計をしたことを立証される危険を恐れたためと思います。

以下は完全な憶測になりますので、他の箇所よりは重要度は低いです。
東急不動産が実質敗訴の和解に応じた背景には原告の調査を脅威に感じたことに加え、本件解決が他に波及する恐れが少ないと判断した可能性があります。東急不動産消費者契約法違反訴訟では原告側が実際の設計の状況まで把握したため、敗訴の危険がありました。しかし別に同種ケースが起きたとしても、「一般のマンション購入者は東急不動産消費者契約法違反訴訟原告ほど調査しないだろう」と舐めているのかもしれません。
実際のところ、渡辺朋幸が構造設計した物件はアルス以外にも多数あり、渡辺朋幸以外の無資格者が構造設計した物件も多数あります。中には荻島設計のように耐震強度不足が明らかになっている物件さえ存在し、訴訟の火種は無数にあります。もし東急不動産消費者契約法違反訴訟の和解合意が他の同種事例に容易に適用できるものならば、他への波及を恐れて安易に折れないとの推測も成り立ちます。企業側にとって悪しき先例とならないように最高裁まで争い、黒白明確にすることが企業法務の性向です。

にもかかわらず、東急不動産が和解に応じたことから「他のケースでは無資格者が実際に設計をしていても、それが立証されることまではないだろう」と判断した可能性があります。この憶測から結論を導き出すことが許されるならば、東急不動産消費者契約法違反訴訟における原告側の攻撃は非常に効果的でしたが、同種事例においてマンション住民が倣うならば、証拠収集が鍵になるとまとめさせていただきます。

建築士法第3条違反と第24条違反は別問題

建築士法第3条違反と第24条違反は別問題です。
建築士法第24条違反に関する限り、小林昭代が管理建築士としての実体を持っていたかが問題になります。小林昭代にアトラス設計の管理建築士としての実態があれば、渡辺朋幸が無資格であろうと問題ありません。逆に仮に渡辺朋幸が一級建築士資格を有していたとしても、小林昭代を管理建築士として登録した以上、小林昭代に管理建築士としての実態がなければ建築士法第24条違反となります。
これに対して建築士法第3条は特定の建築物について一級建築士に設計・監理を制限しています。従って一級建築士以外の人間が設計・監理した場合は建築士法第3条違反になります。 アトラス設計は東急不動産のアルス東陽町において構造部分の設計・監理を行っており、建築士法第3条違反となります。一級建築士以外の人物が設計・監理することが違法であり、渡辺朋幸の事務所(アトラス設計)に管理建築士が存在するか否かは建築士法第3条違反を判断する上では関係ありません。
アトラス設計・渡辺朋幸に反論があるならば耳を傾けたいと思っていますが、何も公表しておりません。電話での質問でもアトラス設計は「ノーコメント」を貫いていました。

建築士法第3条と建築士法第24条は別次元

建築士法第3条と建築士法第24条は別次元の話です。建築士法第3条の解釈に建築士法第24条を登場させることに理論的な無理があります。建築士法第24条は建築士事務所(日常語では設計事務所と呼ばれる)の運営について規定したものです。一方、第3条は建築物の設計・監理の主体を建築士に限定したものです。
設計・監理の主体は建築士であって、建築士事務所ではないという点がポイントです。日常語では例えば「ロータリーパレス取手の設計監理が下河辺建築設計事務所からアトラス設計に変わった」という言い方をすることがあります。しかし法律上の設計者なり監理者は建築士個人であって設計事務所ではありません。従って建築士法3条の解釈においては設計者又は監理者当人が建築士であるかが問題です。極論すれば無登録事務所の一級建築士が設計・監理しても建築士法第3条違反にはなりません。
個々の設計や監理という行為に建築士事務所は登場しません。従って建築士事務所の中の役職である管理建築士も設計や監理に対し、直接法的に責任を負う立場にはありません。責任を負うのは設計者や監理者であり、だからこそ建築士法は設計者や監理者を有資格者に限定しています。
管理建築士が無資格者を内部指導していたか否かも第3条違反には無関係です。問題の建築物「アルス東陽町」の設計をしたのが渡辺朋幸という無資格者ならば、いくらアトラス設計内部で管理建築士の小林昭代が「技術的観点からその業務が円滑かつ適正に行われるよう必要な意見を述べ」ていたとしても(第24条第2項)、第3条違反になります。つまり建築士法第24条には適合してても第3条違反の場合もあります。
建築物が実際に耐震強度を満たすか否かも第3条違反とは無関係です。第3条は設計・監理を一級建築士に限定しており、無資格者の設計・監理は即違法になります。仮に無資格者の設計が建築基準法上の性能基準や安全基準を満たしていたとしても第3条違反です。
恐らく「無資格の渡辺朋幸が設計書を下書きし、一級建築士の小林昭代がチェックして完成させた」ケースについて関心があるものと思われます。この場合は小林昭代が設計者となり、建築士法第3条違反にはなりません。この場合は構造設計者が一級建築士だから合法になります。

現実の裁判においてマンション購入者が建築士法第3条違反を根拠とした場合、デベロッパーが別の建築士資格を持つ人物を持ち出し、「彼が設計者・監理者である」と主張することは考えられます。東急不動産消費者契約法違反訴訟ならばアトラス設計には小林昭代という一級建築士が在籍していることになっているため、東急不動産が「小林昭代が設計・監理した」と主張することは想定されます。
この主張に対して「大変苦しい」と思うか否かは原告側がどれだけ証拠をつかんでいるかによります。実際に渡辺朋幸が設計・監理した具体的証拠を持っていれば反証します。持っていなければ立証できず、小林昭代が設計者と認定されて敗訴することになります。「証拠収集が鍵になる」と申し上げた通りです。東急不動産消費者契約法違反訴訟においては原告がどれほど具体的な事実を把握していたかは主張立証がなされなかったため、東急不動産が実質敗訴の和解に応じたという事実から判断するほかありません。

東急不動産消費者契約法違反訴訟において原告が建築士法第3条違反を根拠とした場合は以下のようになると考えられます。
「東急不動産のアルス東陽町の構造部分を設計・監理したのは渡辺朋幸である。渡辺朋幸は無資格者である。よってアルス東陽町の設計には建築士法3条違反がある。違法な設計に基づき施工された建物を対象とする不動産売買契約は取り消しに値する」
この場合、原告側は「アルス東陽町の構造部分を設計・監理したのは渡辺朋幸である」ことを立証する必要があります。渡辺朋幸の無資格は争いがないものとします。
これに対して東急不動産側は「アルス東陽町の構造部分を設計・監理したのは渡辺朋幸ではない」と争うことが予想されます。争い方としては幾つか考えられます。
先ず確認申請書上の設計者・監理者欄に記載された株式会社SHOW建築設計事務所(昇建築設計事務所、金井照彦代表)の武内久・一級建築士が設計・監理者であるとの主張が考えられます。これに対しては原告側はSHOW建築設計事務所がアトラス設計に下請けした事実を根拠に、武内久は構造設計を行っていないと再反論します(勿論、実際の訴訟では甲第百号証にも届く様々な証拠を提出することになります)。
東急不動産が「アトラス設計が構造設計した」ことを認めたとしても、アトラス設計には名目上、小林昭代・一級建築士が在籍していることになっているため、構造設計をしたのは小林昭代だとの主張も考えられます。これに対しては原告は小林昭代は関与しておらず、無資格の渡辺朋幸が行ったと再反論することになります。

管理建築士の管理対象

管理建築士の管理対象について認識の齟齬がありますので、説明させていただきます。 管理建築士は建築士事務所に置かれる役職です。その役割は建築士事務所の業務に関する技術的事項の総括です。管理建築士が問題になるのは建築士事務所の業務であって、当該建築士事務所で行う個々の設計や監理ではありません。
建築士事務所は他人の求めに応じて報酬を得て、設計等を行うことを業とする事務所です(建築士法第23条)。もし建築士事務所として登録せずに、他人の求めに応じて報酬を得て、設計等を行うことを業としたならば建築士法違反になります。
反対に建築士事務所登録をしない建築士が無償で設計等を行うことは合法です。つまり法は建築士事務所を通さずに設計が行われることを予定しています。つまり管理建築士が全くチェックしない設計・監理も合法です。アトラス設計の業務実態を糾弾することが目的ならば別ですが、特定の建物の設計・監理を問題とする限り、管理建築士が存在しなくても問題ありません。即ち建築士法第24条は建築士事務所の運用を規定したものであって、個々の設計・監理を規制するものではありません。

仮想事例

仮想事例については無理があると考えます。
第一に一級建築士事務所の前提条件が矛盾します。
「構造設計者・意匠設計者・設備設計者すべて無資格」と「登録された一級建築士は専任で、他の無資格者を管理して、その者の責任において設計と図書を作成(建築士法第2条5項)したり、工事管理(建築士法第2条6項)をしている」は相互に矛盾します。
一級建築士が、その者の責任において設計と図書を作成(建築士法第2条5項)したり、工事監理(建築士法第2条6項)をしているならば、設計者・監理者は当該一級建築士となります。逆に構造設計者・意匠設計者・設備設計者すべて無資格ならば一級建築士が「その者の責任において設計と図書を作成(建築士法第2条5項)したり、工事監理(建築士法第2条6項)をしている」とは言えません。

第二に耐震強度0.75ならば、それ自体が建築基準法違反になり、建築士法違反を持ち出さなくても、それだけで争えます。実際、浅沼物件の購入者が耐震強度不足を根拠に消費者契約法に基づく契約取消しと売買代金返還を求めて住友不動産を提訴しました。「どこかに法的過失があったと言わざるをえません」とありますが、どこかではなく耐震強度を満たさない構造設計に基づき施工すること自体が違法になります。
但し原告側の主張を強化するために複数の論拠を挙げることは有益です。東急不動産消費者契約法違反訴訟においても元々の主張(隣地建築についての不利益事実不告知)を維持した上で、ダメ押し的に建築士法違反を主張しようとしました。つまり東急不動産消費者契約法違反訴訟の場合は二つの事実(隣地建設という不利益事実不告知、渡辺朋幸の無資格設計)から二つの主張を出そうとしました。
この意味で耐震強度不足に加え、建築士法違反も主張するということでしたら合理性を認めます。しかし仮想事例の第24条違反は耐震強度不足から導き出しているだけですので、新たな事実がないならばダメ押しの効果は出ないと考えます。

第三に耐震強度不足から直接的に管理建築士の管理不足を結論付けている点です。管理建築士の管理対象は建築士事務所に対するもので、個々の設計・監理を対象とはしません。従って耐震強度不足という個々の設計に違法があるという事実から管理建築士の業務に問題があるとは直接的には導き出せません。

第四に建築士法第24条と第3条の比較がフェアではありません。第24条では耐震強度不足を根拠に「確かに管理してたかもしれないけど、結果としては耐震強度不足だったんだから、管理不十分ということですよね」と結論付けています。
一方、第3条では「それに、うちの事務所の再計算では耐震強度は1.25です」との反論を認めています。第3条での反論が許されるならば第24条違反の主張に対しても、「うちの事務所の再計算では耐震強度は1.25であり、管理に問題ない」との主張がなされる筈です。

建築士法第3条と建築士法第24条は別次元とする根拠

建築士法第3条と建築士法第24条は別次元とする根拠は、設計・監理の主体は建築士であって建築士事務所ではないためです。第3条は特定の建築物について設計・監理を建築士に限定した条文であり、設計・監理者が建築士であるか否かが問題です。建築事務所に管理建築士が存在するか、管理建築士が管理建築士としての務めを果たしているかは問題ではありません。

管見は建築士法第3条と建築士法第24条は別次元としています。「第3条 > 第24条」が第3条の方が第24条よりも適用範囲が広いと意味ならば、そのようには考えていません。それぞれ別個のものを規制する条文ですので、どちらが適用範囲が広いとか狭いというものでは御座いません。
管見は東急不動産消費者契約法違反訴訟のようなマンション購入者が不動産会社を訴えるケースでは第3条が有効と申し上げました。「第3条 > 第24条」が、その意味ならば問題ありません。これは第3条違反が売買契約の目的物である建物の設計に違法があることを意味するためです。これによって売買契約の問題を主張できます。一方、第24条違反はアトラス設計の一級建築士事務所として資格がないことを意味しますが、それはアトラス設計在籍者が設計した建物を目的物とする売買契約の問題に直接結びつきません。
管見は東急不動産消費者契約法違反訴訟におけるようなマンション購入者が契約解除や契約取消しを勝ち取るための論理構成として建築士法違反を論じています。そのため、売買契約の解除又は取り消し原因に結びつくか否かという点が重要な関心事です。今回限定された論点に建築士法違反から売買契約の解除・取消し原因に結びつける論理展開が含まれないことは理解しておりますが、この点が実現できなければ私が議論している問題意識にとっては意味がないことは申し上げておきます。

建築士法は建築士事務所の開設者が無資格者であることを想定していることは建築士法第24条第2項からうかがえます。建築士法は設計の補助をする人物について規定していないことから、設計補助者が無資格者であることは問題ないと考えます。あくまで設計について責任を持てる人物が建築士であるか否かが問題です。
同意できないのは「設計補助をする構造設計者」という言葉です。この言葉は論理矛盾であり、成り立ちません。設計者とは設計をする人物です。設計補助をするならば設計者は別に存在する筈であり、設計者ならば設計補助ではなく、設計そのものを行ったことになります。
恐らく設計者とは別に構造設計者が存在し、その構造設計者は設計者ではなく設計者を補助する人物と想定しておられると推測しますが、これは法的には誤りです。建築士法は設計から構造設計を区別しておりません。構造に関する図書が「建築工事実施のために必要な図面」である以上、その者の責任において構造に関する図書を作成することも設計に含まれます。即ち構造設計も意匠設計や設備設計と同じく法的には設計に含まれます。
その者の責任について構造の設計図書を作成したならば建築士法上の設計者に該当します。彼を構造分野の設計者という意味で構造設計者と呼ぶことは正しいですが、法的には構造設計者という定義がないため、建築士法上は設計者です。従って設計をした者であって補助した者ではありません。
逆に単に構造設計を補助しただけで、その者の責任において図書を作成したとまで言えなければ設計者ではありません。この人物を構造設計者と設計者の語をつけて呼ぶことはミスリーディングです。あくまで構造設計補助者です。

建築士事務所の開設者やアシスタントが無資格者である場合、その事務所で一級建築士の資格保持者は管理建築士のみであるとは推論できません。一つの建築士事務所に複数人の一級建築士が在籍する可能性を排除しています。

管理建築士には「建築士事務所の開設者に対し、技術的観点からその業務が円滑かつ適正に行われるよう必要な意見を述べる」義務があります(建築士法第24条第2項)。建築士事務所は他人の求めに応じ報酬を得て、一級建築士しか設計できない建物の設計を業として行う事務所ですから、設計が適法に行われるように意見を述べる義務はあります。
しかし条文の文言を踏まえるならば「しかるべく対処する法的責任」まであるとするのは論理の飛躍があります。条文は「意見を述べる」までしか書いてありません。意見を述べたが開設者が受け入れらなかった(その結果、違法が行われた)場合、管理建築士は建築士法第24条第2項の責任を果たしたことになります。この点も建築士法第24条を根拠とする場合の限界です。
以前述べた通り、建築士事務所は業とする場合に必要なもので、業としない設計は登録建築士事務所でなくても必要です。これらを合わせれば管理建築士はあくまで建築士事務所の適正な運営のために置かれるものであって、管理建築士は設計の適法性を担保するものではないと結論付けられます。管理建築士の管理によって建築士事務所の設計が適法になるという効果はありますが、設計の適法性を保つことを目的として建築士法第24条が定められた訳ではありません。もし設計の適法性を保つことが目的ならば全ての設計を管理建築士がチェックするような制度になっている必要があります。
恐らく想定されたのは管理建築士が意見を述べなかった場合と思われます。渡辺朋幸が無資格で設計し、それについて小林昭代が意見を述べなかった場合を考えます。この場合に建築士法第24条違反が成立することに異論はありません。しかし、これはアトラス設計において建築士法第3条違反という違法な設計が行われているにも関わらず、小林昭代が意見を述べなかったから第24条違反になります。論理としては第3条違反が成立して、その上で第24条違反が成立します。
従って東急不動産消費者契約法違反訴訟のような裁判で使用する場合、既に第3条違反が立証できていることが前提となるのですから、わざわざ第24条違反を重ねて主張する意味は皆無です。

無資格者による設計が違法であることは建築士法第3条を根拠とします。建築士法第2条第5項は設計を定義したものです。建築士法第3条は無資格者が建築士法第2条第5項で規定した設計を行うことを禁止しています。建築士法第2条第5項は定義規定であって、この条文の違反を論じるのはナンセンスです。ある人物の行為が建築士法第2条第5項に該当しないならば、その行為は設計ではないということを意味するに過ぎません。
「東急不動産のアルス東陽町の構造部分を設計・監理したのは渡辺朋幸である」と述べました。文中の設計・監理は建築士法第2条第5項第6項に規定された設計・監理を指しています。
建築士法第3条は「一級建築士でなければ、その設計又は工事監理をしてはならない」と定めます。これに対し、「アトラス設計の渡辺朋幸は設計・工事監理をした。渡辺朋幸は一級建築士ではない」と申し上げているに過ぎません。渡辺朋幸が設計・監理したことと一級建築士ではないことは「一級建築士ではない渡辺朋幸がアルス東陽町を設計・監理した」と等価です。従って、そこから建築士法第3条違反を導き出すことは論理的必然です。
「アトラス設計の渡辺朋幸は設計・工事監理をした」という命題が正しいかという点が実際の裁判では最も問題になるとは思いますが、これは事実認定の問題です。実際のところは東急不動産側は「渡辺朋幸は補助者に過ぎず、一級建築士の小林昭代が最終チェックしており、小林昭代が設計・監理者である」と主張する可能性はあります。
これに対し、原告側は「アルス東陽町の設計・監理に一級建築士が関与していない」ことを反証する必要に迫られる可能性はあります。これは渡辺朋幸がアルス東陽町を設計・監理したことを立証するための一環としてなされるもので、建築士法第24条違反とは無関係です(前述の通り、結果として建築士法第24条違反にも該当する場合もありますが、訴訟当事者にとっては無意味です)。
「渡辺朋幸がアルス東陽町を設計・監理した」ならば、渡辺朋幸が彼の責任において設計図書を作成し、工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認したことを意味します。つまり「渡辺朋幸がアルス東陽町を設計した」ならば「アルス東陽町の設計図書は一級建築士の責任において作成された設計図書ではない。つまり、これは無資格者による設計図書だ」と言えます。「渡辺朋幸がアルス東陽町を設計した」ことに加えて「一級建築士による関与がなかったこと」を立証する必要はありません。
准看護師の例は渡辺朋幸の違法性判断には不適切です。管見はアトラス設計の渡辺朋幸が設計の補助をしたから違法と主張しているのではなく、設計そのものを行ったから違法と主張しています。

アトラス設計とデベロッパーの責任

「アトラス渡辺氏を講師とし、彼が構造設計したことをセールスポイントとしたデベロッパーは罪深い」と申し上げた点について説明不足のままにしておりましたので、補足させていただきます。

デベロッパーがアトラス設計・渡辺朋幸を持ち上げることは、渡辺朋幸及び彼の設計した建築物が信頼できると誤った印象を消費者に与えるものです。この結果をもたらした存在としてデベロッパーを罪深いと表現させていました。結果に対する責任としてデベロッパーが罪深いと書かせていただきました。従って「悪いのはデベロッパーで、渡辺朋幸は悪くない」「渡辺朋幸よりデベロッパーの方が悪い」とは考えておりません。

アトラス設計・渡辺朋幸が一級建築士資格を持たない無資格者であるにもかかわらず、構造設計を行っていること、分不相応にも講師を引き受けたことは第一次的には渡辺朋幸の責任です。しかしアトラス設計や渡辺朋幸個人が消費者に対して「渡辺朋幸が構造設計した建築物は信頼できる」といくら強調したとしても、それを盲目的に信じて騙される消費者は少ないと思います。デベロッパー(特に大手)とアトラス設計では消費者に対する影響力に雲泥の差があるためです。施主と直接向き合う設計事務所ならば兎も角、設計事務所からの下請けで成り立っている設計事務所には消費者に訴求する力はありません。

デベロッパーの責任を判断するためには、渡辺朋幸が無資格者であることについてデベロッパーが悪意であったかという点がポイントになります。渡辺朋幸が無資格者であることを知りつつ起用したのか、それともデベロッパーも渡辺朋幸に騙されていたのかによって異なります。

デベロッパーが知らなかったとしても調べれば分かるものを調べなかったならば過失が問われます。一方で秋葉三喜雄を新築物件内覧会立会い・建物調査担当としたアリス不動産リサーチ有限会社の釈明を読むと、無資格者が巧妙に騙したことになっています(アリス不動産リサーチ有限会社「秋葉三喜雄氏の保有資格詐称の判明につきまして」2005年11月22日)。

いずれにしてもデベロッパーは、表向きは「知らなかった。無資格者と分かっていたら起用しなかった」と言わざるを得ないでしょう。自浄作用のある会社ならば今後の取引は考え直すでしょう。その意味でアトラス設計が干されている状況は極めて健全であると考えます。

煙に巻く自称専門家の話法

私は貴殿が引用された情報は全て貴殿の御主張を裏付ける内容になっていないと申し上げました。貴殿は「私の主張は『構造設計担当者は資格者でななくても違反ではない。何故なら構造設計者の立場は現行法で明確にされていない、故に違反とは言えない。』」と書かれています。この文章は述語がなく文法的にはおかしいですが、主張が二重鍵括弧で括られたものであると理解しました。構造設計の建築士の立場が弱い等の不満は不満に過ぎず、違法性を否定する根拠とはなりません。姉歯秀次元建築士は「弱い自分がいた」と言い訳しましたが、それが情状の判断とはなり得ても違法性の判断に影響を及ぼさないことと同じです。
以上の通り、貴殿の御主張を踏まえて引用情報が裏付けにはならないと申し上げましたが、その主張が「構造設計者の立場は現行法で明確にされていない」に変わってしまうならば議論になりません。既に消費者感情と一蹴しておきながら、なし崩し的に解釈論とする矛盾も指摘させていただきました。
貴殿の主張と引用情報を照らし合わせて結論付けたまでで、「再度確認しろ」と言われる筋合いはありません。揚げ足を取ることは好きではありませんが、自己の主張の変遷を棚に上げて相手に再読を要求することは我慢なりませんので、敢えて指摘させていただきます。私は、もっともらしいが論点からずれた文章を持ち出して煙に巻く自称専門家の話法を嫌と言うほど熟知しています。

構造設計者と現行法の関係について

管見は「現行法は構造設計者について規定していない」です。現行法が規定するのは設計者だけです。設計者以外に設計に関係する人がいたとしても、それは単なるアシスタントなり助手に過ぎません。意匠設計の建築士が設計者である場合、構造設計の建築士に構造設計部分について何か依頼したとしても、それは事務所のアルバイトに手伝わせたことと同じ扱いに過ぎません。
逆に依頼を受けた構造設計の建築士が単なるアシスタント以上の責任ある仕事をしたならば、当該構造設計の建築士は意匠設計の建築士と共に設計者となります。それにも関わらず、意匠設計者のみを設計者として確認申請書に記載したならば虚偽申請になります。構造設計の建築士が「設計者=意匠設計者」と考えている限り、単なる補助者としてしか存在意義はありません。
確認申請書類に現行法で規定する設計者の記入欄があり、現行法で規定しない構造設計者欄が存在しないことは、現行法の立場から当然のことです。構造設計の建築士の名前を書かなければならないならば、設計を手伝った助手やアシスタント、アルバイトの学生その他諸々も書かなければなりません。
現行法は構造設計を貶めている訳でも意匠設計を重視している訳でもなく、設計分野に対してはニュートラルです。いかなる分野の建築士であれ、設計図書を作成したならば設計者に名前を連ねることができます。従って構造設計の建築士が自分の名前を記載されるだけの仕事をした考えるならば設計者欄に名前を書けば済む話です。それでこそ構造設計の建築士の不満(発言力の弱さ、契約上の地位・役割の不明確さ)を解消することができます。
構造設計の建築士には設計者になる資格があるにも関わらず、「設計者=意匠設計者」という法的な根拠に基づかない思い込みで、能力を発揮する可能性を自ら閉じていることは愚かしい限りです。これに対しては「設計者になれれば問題が生じることもない」という類の構造設計の建築士の泣き言が聞こえてきそうです。多くの構造設計の建築士が意匠設計の建築士に対し、共同設計者の地位を要求することは難しいのかもしれませんが、それは意匠設計事務所と構造設計事務所の経済的社会的な力関係による帰結で、本来は法律に求める問題ではありません。

説得力とは相手を納得させる話し方や論理展開が持つ力です。御主張「持論を展開するだけでは説得力に欠ける」については完全に同意できません。誰が発言したかではなく、何を発言したかが問題です。内容に納得できるものがあれば説得力があるし、納得できるものがなければ、たとえ大勢の人間が同じ意見を述べようと偉人の意見だろうと説得力は生じません。既に申し上げた通り、誰か偉い人が書いた文章だから権威主義に陥ります。
藤田東吾氏は国土交通省の発表を鵜呑みにするマスメディア、マスメディアの報道を鵜呑みにする国民に対し、非常な憤りを持っていました。正直なところ耐震強度偽装事件そのものに関心があった身にはマスメディア批判(特に読売新聞社・渡辺恒雄批判)は脱線としか思えず、かえって主張を有耶無耶にしてしまうと感じておりました。しかし現実に論理で理解しようとせず、誰が言ったかということで判断する人と対すると藤田氏の憤りが理解できた気がします。
参考情報を示すことを議論の優劣の評価指標としていることは思いませんでしたので、正直、脱力しております。真面目に議論してきたのが、無駄になった思いです。極論すればコピペすればいいだけであり、ある意味、その方が楽です。
私自身は他人の発言を引用しなくても、納得できる内容があれば説得力を認めるため、現時点で他人の意見を引用することが必要とは認識していません。また、相手の思いは感情論と一蹴する一方で、「構造設計者欄があるべきとは思わないか」「再確認しろ」「参考情報を出せ」というように相手に対する要求ばかりなのが不愉快極まりないですが、世の中には「人を見て法を説く」ことも必要ですので、あえて譲歩して以下に藤田東吾氏の発言を引用させていただきます。
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藤田東吾mixiメッセージ(2006年11月10日)
アトラスの渡辺氏が無資格であることの違法性を、朝日新聞の記者(現在、耐震偽装事件を担当する方)から質問を受けたので、以下に条文を明記し、説明致します。
建築基準法第2条(用語の定義)第一項10号に「設計」の言葉の定義があります↓
「10.設計
建築士法(昭和25年法律第202号)第2条第9項に規定する設計をいう。」
では、建築士法第2条には、↓
「定義)第2条 この法律で「建築士」とは、一級建築士、二級建築士及び木造建築士をいう。」
ということなので、「設計」という、国民の生命と財産を守るための(建築基準法第一条)、法律行為は、法律上、有資格者しか行なえません。朝日の記者は、名義が資格者であれば違法でないと徒に主張するばかりで、僕が、何度説明しても分らないようなので、ここに明記いたします。つまり、「名義上の問題=建築士事務所登録制度の問題」と、「設計という法律行為=建築士資格制度」の問題は、全く別な議論なのです。
現在、朝日新聞で耐震偽装事件を担当する記者の法律理解によれば、名義が資格者であれば、何も知らない小学生が設計を行なってもよいということになります。そんなことが許されるわけがないのは自明です。
ただ、罰則規定が、明記されていないので、また、過去に行政もこの名義貸しを一度も取り締まってこなかったので、半ば、通念として、間違った常識に到っているだけです。
よって、アトラス渡辺氏が関与した構造設計の建築物は、違法建築物となります。これが法律が定める、定義です。
http://tokyufubai.web.fc2.com/law/atlas2.htm
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同じく藤田氏が姉歯秀次の裁判を担当する東京地裁・川口政明裁判長に宛てた上申書です。
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藤田東吾上申書(平成18年12月25日)
東京地検は、姉歯秀次氏を逮捕したのだから、全ての名義貸しに基づいて設計事務所を経営し、同時に、建築基準法に定める設計行為を行っている者(秋葉氏の立場)を逮捕するべきだとの主張を、私は敢えて行いませんが、少なくとも、耐震偽装事件の渦中にいた、アトラス設計の渡辺朋幸は秋葉氏と同様に一級建築士を持たない無資格者であり、更に、自らが構造設計という、住民の命と財産に直接危害を及ぼす設計行為を行っていた者であります。つまり、秋葉氏以上に悪質な違法行為をアトラス渡辺朋幸は行ったのです。この者を、同等に逮捕しないことは、司法の衡平原則を逸すると考えます。
http://tokyufubai.web.fc2.com/atlas.htm
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解釈論と感情論

先ず貴殿の主張に変遷があることについて説明させていただきます。
当初の主張「構造設計担当者は資格者でななくても違反ではない。何故なら構造設計者の立場は現行法で明確にされていない、故に違反とは言えない。」に対し、提示された参考情報(便宜上、主張Aと名付けます)が上記主張の裏付けになっていないと申し上げました。これに対し、参考情報は「構造設計者の立場は現行法で明確にされていない」との主張(同様に主張Bと名付けます)の裏付けとして出したと反論されました。主張Aと主張Bが異なる内容であることが主張に変遷があると判断した理由になります。
実際に貴殿が最初から主張Bのために参考情報を提示したならば、参考情報は主張Aの裏付けになっていないとの管見は正しいことになります。「参考情報は主張Aの裏付けになっていない」ことについては奇しくも認識が一致したことになります。
ところが貴殿はその点には触れず、別の主張Bを持ち出しました。それどころか丸で私が貴殿の主張を読まないで適当な反論をしているかのように「再確認せよ」と押し付けました。「主張が噛み合っていません」と言われますが、貴殿の書き方ならば、どのような話も噛み合わせることができないでしょう。

私の主張が単に感情に過ぎない、法的根拠に基づかないものであると判断されるのは貴殿の勝手です。管見はアトラス設計・渡辺朋幸の違法性を主張していますが、正しく伝わらなかったということに過ぎません。
もし管見が感情論に過ぎないということを前提とするならば、それはアトラス設計・渡辺朋幸を違法と断ずる理由にはならない、というのは尤もなことと思います。但し違法性判断の背後には価値判断があり、完全に感情論を排することはできません。そもそも人間の思惟から感情を排することも不可能です。また、法が社会に奉仕するものである以上、ある種の価値判断が解釈の背後に存在することは、むしろ要請されるべきです。ここでの価値判断は立法者意思と呼ばれます。
何れにせよ、法律の解釈論を展開する上では価値判断を前面に出すことはスマートではありません。管見が感情論にしか思えなかったならば、それを一蹴することは勝手ですが、その後で解釈であると勝手に解釈扱いされるのは矛盾です。しかも他人の議論は感情論として切り捨てておきながら、一方では構造設計の建築士の置かれた状況への不満を前面に押し出し、「構造設計者欄があるべきとは思わないか」と感情論を押し付けるのは筋違いです。
上記の論述は消費者感情も構造設計者の不満も感情論という点では同じという考えに立脚しています。法律論を論じている中で感情論が前面に押し出されることが不純ならば、どちらも排除されるべきです。一方は良くて一方は駄目ということは成り立ちません。法律論におい消費者感情が相応しくないのは感情論だからであって、構造設計の建築士の不満も同様です。
「消費者感情には価値がなく、消費者の利益は無視してもいい。構造設計者の社会的地位向上が重要である」という思想が一つの価値判断であることは認めます。しかし、それは一つの価値判断であって感情論に過ぎず、解釈論の前面に出すものではありません。

私は建築士が消費者感情を理解していないことについて以下のように申し上げましたが、誤解を招いた可能性があるので補足させていただきます。
「確かに設計業界にとってエンドユーザーは遠い存在であり、消費者感情を理解されないとしても仕方がないことかもしれません。そもそも理解を求めることが間違っているかもしれません。消費者感情に反しているという理由では業界の慣行を改めようとはされないかもしれません。」
強調したいのは、設計業界の人間が消費者感情を全く理解していないという現実を認めたものです。決して消費者感情を理解していないことを好ましいこととは思っていません。「消費者感情なんて無視して良い」という主張に同調する訳ではありません。たとえそれが設計業界の常識であっても同じです。
私としては議論を少しでも噛み合わせたいために、相手の立場も考えて上記の記述となりましたが、それが裏目に出て、消費者感情ということで管見を一蹴されたことを自ら受け入れてしまったような印象を与えてしまったのかもしれません。そのような意図は皆無であることを申し上げます。>
元々、最初の投稿でも「そこまで分かっているのに」とデタラメな総括をされて消費者感情と一蹴されました。私は一つの考えに集約するという思い上がった考えを抱いていませんが、合意できる点は合意しようとする私の努力は残念ながら全て裏目に出ています。
私の方に議論が噛み合わない原因があるとすれば、管見を変な風に曲解される恐れがあるため意図的に意見の相違を際立たせざるを得なくなっている面があると思います。一蹴された消費者利益と構造設計の建築士の地位向上も二項対立するものではないと思っていますが、一蹴されてしまった以上、論じても詮無いことです。

虚偽申請については主張が歪曲されているため、説明申し上げます。
先ず「意匠設計者のみを設計者として確認申請書に記載したならば虚偽申請になる」との一文しか引用しないで勝手な主張と決め付けておられますが、上記文は文章の中でのものであり、一文を変な形で抜き出しても無意味です。
原文を意味にある形で抜き出すと以下になります。
「依頼を受けた構造設計の建築士が単なるアシスタント以上の責任ある仕事をしたならば、当該構造設計の建築士は意匠設計の建築士と共に設計者となります。それにも関わらず、意匠設計者のみを設計者として確認申請書に記載したならば虚偽申請になります。」
上記文章は二つの文から成り立っています。二つの文章は「それにも関わらず」で接続されています。二番目の文章は接続詞「ならば」で接続されています。「ならば」は前の句を条件として述べるときに用いる接続詞です。その後に「虚偽申請になる」との結論が出されます。つまり上記文章は「Aそれにも関わらずBならば虚偽申請になる」と言っています。従ってA+Bが虚偽申請が成立するための条件になります。よって一文を変な形で抜き出しても理解できないのは当然です。

構造設計の建築士は設計者欄に名前を書かせてもらえられないならば、設計者としての仕事をしていないということです。「できる筈がない」と開き直るならば意匠設計者のアシスタントに甘んじればいいだけの話です。構造設計の建築士は構造設計をするのではなく、意匠設計者が行う構造設計を補助するだけのことです。構造設計の主体は設計者であって、構造設計の建築士なるものが関与したとしても、それは助手やアシスタントやアルバイトが手伝ったということを同じです。
構造設計の建築士は「アルバイト以上の仕事はしている。しかし契約上報われていない」という不満を勝手に抱いていますが、それによって法解釈が左右されるものではありません。アトラス設計の渡辺朋幸が、どれほど大きな不満を抱いていても、彼の違法行為が合法になるわけではありません。

藤田東吾氏の主張を提示したのは、貴殿の主張が「意匠設計者に一級建築士資格があれば構造設計者は無資格でも構わない」との主張の枠を出ないものだからです。藤田氏はアトラス設計・渡辺朋幸が一級建築士資格を持たない無資格者であり、違法であることを各所で指摘していますが、全てで法律的な議論を掘り下げているわけではありません。
そのため、意匠設計者なり管理建築士なりが一級建築士資格を持っていることをもって、藤田氏の告発内容は間違っているとする反論も多く出されました。貴殿の主張も、その種の反論の域を出ておらず、それについて明確に論じているmixiメッセージ(2006年11月10日)を提示させていただきました。
mixiメッセージ(2006年11月10日)では問題なのは設計という行為であることを明確に論じています。名義上の人間に一級建築士資格があるかではなく、実際に設計を行った行為を問題とします。
姉歯秀次の裁判を担当する東京地裁・川口政明裁判長に宛てた上申書を掲示したのは「アトラス設計・渡辺朋幸だけがバッシングされている」という貴殿の御認識が百八十度正反対のものであることを示すためです。実際は秋葉三喜雄を逮捕されたのに、渡辺朋幸は名前を売っているという不公平が藤田氏の告発の出発点にあります。

議論について

議論が噛み合わない点については既に指摘させていただきました。ここでは議論について管見を書かせていただきます。 私は議論する相手は別個の人間と思っているので最低限の敬意は払うべきと思います。
自分の意見を表明しますが、相手に何かを求めようとは思いません。相手が明らかに自分の主張を誤って受け取っていた場合は指摘しますが、「読み直せ」とまでは要求しません。相手の意図までは理解することはできないため、相手の主張を勝手に総括するようなことは慎みます。
相手の主張に理解できなかった箇所があれば「理解できない」と申し上げるだけでなく、相手が説明しやすいように、どの点が分からないのか(論理が矛盾しているのか等)を指摘します。私は「言いたい事がとてもわかりにくい」とだけ言われた際は再説明しましたが、これは、まあ「再説明せよ」と要求されなかっただけ良しと思っています(笑)。
また、敢えて無作法で相手に不快感を与えるようなことはしません。例えば本文に追伸文を付けるようなことです。本文を書いた後に付加することがあったとしたら、追伸文のような横着なことはせず、改めてメールを作成するくらいの礼儀は弁えております。そのようなことをすれば相手を怒らせるだけであり、賛成してくれる意見にも反対される恐れがあります。結局、自分が損するだけと考えております。逆に相手に敬意を払わなくても構わないと考えているならば、それが議論が噛み合わない根本的な原因と思います。

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