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東急不動産物件のエレベータで異音発生

東急不動産の新築マンションでは築三年目でエレベータ走行中に異音が発生した。エレベータは株式会社フジテック製で、点検もメーカーが実施する。2005年11月21日には点検員が作業を実施したが、解消されなかった。実施内容は「カゴガイドシュー分解手入れ及び位置調整、メインレール継ぎ目増し締め」である。「上記調整に異音は削減致しましたが、まだ取りきれていませんので後日再度調整にお伺い致します」(フジテック株式会社「作業報告書」2005年11月21日)。

2006年12月26日には以下の作業を実施している。「カゴガイドシューギブ全取替及び調整、主レール継目増締め一部継目の段差をヤスリにて削除致しました」。それでも「走行中の異音につきましては完全に削除されていませんので1月度の点検時に再度調整等施行致します」とする(フジテック株式会社「作業報告書」2005年12月26日)。しかし2006年1月の定期点検報告書には異音についての記載がない(フジテック株式会社「定期点検報告書」2006年1月17日)。このエレベータは2006年6月17日には住民から「右側のシャッターが下がっているが大丈夫か」と指摘される。

フジテック製エレベーターのワイヤ破断

大阪市旭区の市営高殿西住宅9号館(7階建て)で2007年5月、「フジテック」(本社・滋賀県彦根市)が製造したエレベーターのワイヤロープ3本のうち1本の一部が破断した。

同社は今年の定期検査で「異状なし」と市に報告していたが、国土交通省は「検査に問題があった可能性がある」として6月8日、同社が管理する全国約4万基の緊急点検を各自治体に要請する。

市によると、このエレベーターは1983年、同住宅に設置された。同社が保守点検を担い、建築基準法に基づいて年1回の定期検査を実施。2007年2月の検査では、かごをつり上げるロープについて、目視で点検し、三段階評価で最高の状態と報告していた。

破断に至るということは、エレベーターの定期検査が有名無実となっていることを意味する。市は「検査後3か月半で破断したと考えるのは不自然。検査が不十分で異状を見落とした可能性がある」とみている。同住宅最上階に住む主婦(47)は「2週間ほど前から異音がして軽い揺れを感じていた。メーカーはきちんと点検していたのか」と怒っていた。

「フジテック製エレベーター、大阪市営住宅でワイヤ一部破断」読売新聞2007年6月7日
「フジテック製でもロープ破断=大阪市営住宅のエレベーター−全国4万基緊急点検へ」時事通信2007年6月7日
「<ワイヤ破断>エレベーター製造会社が4万台点検へ」毎日新聞2007年6月7日

フジテック昇降機で閉じ込め事故

福島県相馬市尾浜の旅館「なぎさの奏でる夕鶴」で、フジテック株式会社(本社・滋賀県彦根市)のエレベーターが上昇中に動かなくなり、女性従業員が閉じ込められた(2006年6月30日午前11時50分頃)。約一時間後、地元消防署の救急隊がドアをこじ開け従業員を救出した。

相馬署によると、女性従業員が業務のため従業員専用エレベーターで1階から7階へ向かったが、位置ランプが7階を表示した直後にガタガタと揺れ出し、6階より約10センチ低い位置で停止。扉が開かなくなった。旅館によると、エレベーターは2005年5月のホテル改築時に新設。2006年6月13日に点検を済ませたばかりで、異常はなかった(「旅館従業員一時閉じ込め フジテック昇降機」共同通信2006年6月30日)。

フジテックとシンドラーエレベータの類似性

フジテック製のエレベータでは2005年7月7日に転落事故も起きていた。名古屋市中川区の雑居ビル「サンシャイン中郷」において、男女3人が1階エレベーター入口から、約1.5メートル下のコンクリート床に転落した。被害者は「扉が開いて足を踏み入れたらエレベータがなかった」と話す。愛知県警中川署の調べによると、エレベーターは4階に止まったままだったが、1階のドアが開いたという(「エレベーター、乗ろうとしたら“落とし穴”…3人けが」読売新聞2006年7月7日)。

この事故に対するフジテックの発表文はシンドラーエレベータと全く同じ論理である。「同エレベータは、弊社が1991年3月に設置したもので、99年末まで保守業務を行っていました。しかし、それ以降は、名古屋市内にある保守点検会社が保守業務を請け負っており、弊社では同商品の状態などに関して、一切関知できない状況でありました」(フジテック株式会社「「エレベータ事故に関連して、事実に反した報道についてご説明いたします」」)。

エレベーターに乗る時、ドアが開いた後にわざわざエレベーターの箱があることを確認することはない。ドアが開いたら、反射的に乗り込むのが普通である。被害に遭った方々も「ちょっと暗い」と感じた程度で乗り込んだ筈である。1階からの転落であったことが不幸中の幸いであった。高層階で起きたならば死者が出てもおかしくない事故である。

インターネット掲示板には過去にフジテック製エレベータで死亡事故が発生したとする情報が投稿された。

死亡事故は昭和59年に横浜市のスーパーのフジテック製油圧エレベータでもおきており、 二重の安全装置を取り付けたという事例も過去にありました。ニチイ本牧(マイカル本牧) です。妊婦さんと連れのお子さんが犠牲になりました。
約20年前にフジテックのエレベーターでベビーカーを押したお母さんが扉に挟まれた状態で動き出し亡くなられた事故を思い出しました。当時は今回の様に大きな問題にはならなかったのが不思議です。

東急中目黒駅にフジテック強度不足エレベーター

東急中目黒駅にはフジテック強度不足エレベーターが設置されている。フジテック(本社:滋賀県彦根市)が製造したエレベーターに強度の低い鋼材が使われ、560基が建築基準法の定めた強度を満たしていない。

強度の低い鋼材が使われたのは、2002年9月から07年6月までに製造されたエレベーター1万2727基とエスカレーター634基。2003年9月築の東急不動産のマンション(江東区東陽)のエレベータもフジテック製である。

問題のエレベータは一般構造用圧延鋼材「SS400材」を使用するべきところを、熱間圧延鋼材「SPHC材」を用いていた。SPHC材の引張強度は、SS400材の約7割となっている。全国の36都道府県の560基のエレベーターは、SPHC材の使用個所が構造にかかわる部材だったため、建築基準法が求める強度を満たしていない。

建築基準法は通常の運行時の荷重に対して3倍の安全率を求めている。フジテックによると、通常の運行では問題は生じない。しかし、大地震時には部材が変形し、利用者が閉じ込められる恐れがある。

補強が必要なエレベーターは、エレベーター構成部材のうち、レールブラケット、クロスヘッド、レールバッキング、プランクと呼ばれる部材にSPHC材を使った製品である。強度不足の鋼材は、JFE商事建材販売(本社:大阪市)が納入した。同社はフジテックの担当者と合意の上で、注文書と異なる鋼材を納入したと説明する。ただし、「構造にかかわる重要部材に使われていることは知らなかった」(同社の岩瀬光治社長)と語った。

「【トラブル】フジテック製エレベーター560基で強度不足、大地震時に閉じ込められるおそれ」ケンプラッツ2007/07/13
「フジテック強度不足エレベーター設置場所公表…国交省」読売新聞2007年7月18日

シンドラーのリフト

2006年6月3日午後7時半頃、マンション「シティハイツ竹芝」(港区芝、23階建て)12階で、少年がエレベーターの床の部分とエレベーター入り口の天井の間に挟まれ死亡した(「<エレベーター事故>床と入り口天井に挟まれ高2死亡 東京」毎日新聞2006年6月4日)。エレベータの扉が開いたまま突然上昇したためである。死亡したのは都立小山台高校2年市川大輔(ひろすけ)さんである。

同住宅のエレベーターはシンドラーエレベータ株式会社(江東区越中島一丁目)が製造したものだが、当時からドアが開かないなどのトラブルが多発していた(「管理会社の変更時、異常多発伝えず…エレベーター死亡」読売新聞2006年6月6日)。区住宅公社は当初、事故機を含む同住宅のエレベーター2機に関する苦情や故障の数を19件と公表していた。しかし実際は2003年4月以降で41件に上っていた(「エレベーターで高校生死亡、安全装置作動せず?」読売新聞2006年6月5日)。

シンドラーエレベータの不誠実な対応

事故発生直後、国土交通省はシンドラー社に国内にある同社製エレベーターの全リストの提出を求めたが、当初は「個人情報保護」を理由に国交省へのリスト提供を拒否した(6月9日にリストを提出)。スイスのシンドラー・グループ本部は「事故は不適切な保守点検か、閉じ込められた乗客による危険な行為が主因」とする声明を発表した(2006年6月8日)。死んだ人間を犯人扱いである。

事故当初よりシンドラー社は再三の住民説明会や記者会見の要請を拒み続けた。初めて記者会見を開いたのは事故から9日経過した6月12日である。会見では「当社のエレベーターは点検したとき異常は見られていない」と繰り返し続けた。

ローランド・ヘス氏は口をぽかんと開けていた。隣のケン・スミス氏は意味不明な薄ら笑いとも取れるような笑みを浮かべていた。責任者が二人揃って緊張感の感じられない表情をしていた。

明確に「NO」と答えたのは、「W杯の日本戦でシンドラーの話題が必然的に小さな扱いになるのを狙って、会見を今日まで延ばしたのか?」との質問に対してだけだった。翌日の6月13日に初めて住民説明会を開いて、スミス社長が謝罪した。

シンドラーエレベータで事故多発

全国の各自治体がエレベーターを調査したところ、シンドラー社製のものが集中してトラブルを引き起こしていることが判明した。例えば広島市が市の施設で使用しているエレベーターの不具合率を調査したところ、他社製品が8%だったのに対し、シンドラー社は34%であった。

シンドラーエレベータ社製のエレベーターを設置していた東京工業大学すずかけ台キャンパス(横浜市緑区)でも15件の不具合があった(「別施設でも15件=同じメーカー、不具合類似−エレベーター死亡事故」時事通信2006年6月6日)。東急不動産とシンドラーエレベーターは共に人事コンサルタント栗田猛氏(株式会社インソース)の講演・研修を受講している。

シンドラーエレベータ、制御プログラムにミス

東京都港区のエレベーター事故の製造元シンドラーエレベータは、千葉県浦安市などで2004年11月から2006年6月にかけ、扉が開いたままエレベーターが昇降した5件のトラブルについて、制御盤のプログラムミスが原因で起きたとの調査結果を明らかにした(2006年6月16日)。

港区の事故機には別の種類のプログラムが使われており、原因は調査中としている。国土交通省にも同日報告した。同社によると、浦安市のマンション(2基)の他、東京都八王子市の文化施設(1基)と名古屋市の愛知県庁舎(2基)のトラブルは、このミスを原因とする(「制御プログラムにミス シ社、事故機とは別種」共同通信2006年6月16日)。

シンドラー製エレベータでワイヤロープ破断

都市再生機構が所有する東京都杉並区の賃貸マンション(14階建て)で2007年3月下旬、シンドラーエレベータ(江東区)社製のエレベーターのかごをつるす3本のワイヤロープのうち、1本を構成する束の一部が破断していた。

同社は、2005年6月の死亡事故直後の定期検査で「問題なし」と都に報告していた。国土交通省では、「ずさんな検査で劣化を見落としていた可能性が高い」として、同社が保守点検する約7000基について緊急点検を行うよう、都道府県などに通知する。 このマンションは、「プロムナード荻窪2号棟」。国交省などによると、3月25日夜、住民から、「異常音がする」との連絡がシンドラー社に入った。ワイヤロープは、それぞれが8本の鉄線の束からなるが、このうち1本の束が完全に破断していた。

「シンドラー製、ワイヤ破断…ずさん検査か7千基を緊急点検」読売新聞2007年5月24日
「シンドラー社でもロープ破損=都内マンションのエレベーター」時事通信2007年5月23日
「シンドラーエレベータの金属束が破断 東京のマンション」朝日新聞2007年5月23日

景観保全

美しい景観や眺望は成熟した市民社会の象徴である。町並みは地元が長年にわたり培ってきた市民の貴重な財産である。「良好な景観は現在および将来における国民共通の資産である」(景観法2条)。生活環境の保全は世の中の常識であり、且つ必然であり、かけがえの無い有形の財産である。そもそも、何でもかんでも再開発する、新しくするという考え自体が誤りである。全てを不夜城にすることが正しいのか。

私達の世界は、今ここに生きている私たちだけのものではない。かつてここに生き、暮らした人々から受け継いだものであり、やがて子や孫に手渡すものである。次世代に引き継がなくてはならない共有財産である。素敵な景観を私達の時代で終わりにしてはいけない。私達は「将来の人達から今を預かっている」という気持ちで、景観を大切にしたいものである。

住まいは個人のものだけでなく、社会のものでもある。私たちはその中で生き、活かされている。「都市づくりの目標は、いい風景の中で楽しく暮らすことにある」(北沢猛「人口減考えた都市づくり」読売新聞2005年11月18日)。これから景観の問題は、日常的な社会問題として扱われていくことが予想される。

田中角栄の列島改造論で火がついた空前の建築ブームは、昔からその地域に生まれ、育った人間達を排除した。いわゆる新規居住者(生まれ、育ちもその地域とは全く無関係な人々)が、コミュニティ関係をなくし、ご近所関係という相互扶助の関係すらも皆無にしてしまった。その中で、その地域の従来の環境を全く破壊する不動産の売却という暴挙に出て、従前の戸建ての整然な町並みが、なくなってきている。

佐藤貞夫弁護士は宇都宮市のマンション再開発計画について、経済効果を否定する。「マンション建設は市街地の活性化にプラスになるどころか、渋滞問題などを引き起こし、むしろマイナス」(塙和也「宇都宮・二荒山神社前再開発:恩義守るか、経済効果か 沈黙の地元商店街 /栃木」毎日新聞2006年8月10日)。

「超高層マンションは、街並みにとっては、「冷え切ったコンクリートの箱」でしかなく、それは「人間が写っていない建築雑誌の写真」と同じであり、人のぬくもりや賑わいはない」(明日の宇都宮中心街を考える会「二荒山神社前24階建82メートル超高層マンション建設に反対する」)。

「単にそこに住む人だけのエクステリアだけでなく、道往く人、コミュニティ(地域社会)にとっても快適な外部空間でなくてはならないのです」(藤山宏『住宅エクステリアの100のポイント』学芸出版社、2007年、11頁)。

反対は当然の権利

自分の属している空間を守ることは、その中にいる人々を大事に思い、愛することと同じことである。自分達の生活と権利を守り、後世に住みよい環境を残していかねぱならない。住民自身が声を出して、行動して、汗を流さなければ住みよい街は作られない。意見の対立を避け、ムラ社会から孤立しないという日本人の古くからの体質を維持していては、自分の資産も公共財も守れない。利潤追求を最優先にした事業計画に対し、住民が「地域の環境や景観に配慮したものにして欲しい」と声を上げることは当然の権利である。

高層マンションにより環境をすっかり変えてしまう計画に対し、反対運動が起こるのは当然である。被害を受ける恐れがあれば、利益を守るために反対運動を行う権利が住民にはある。今までとは全く異質な大きな建物ができるのだから、反対は当然の権利である。その行為が言論と幟旗、チラシ、ポスターといった表現行為であるなら尚更である。憲法で保障された表現の自由に属する。

何も言わなければ、景観は悪くなる一方である。よりよい環境を残すように事業者や行政に対して働きかけるのは、住民の義務でもある。街並みや景観を無視した業者の営利至上主義に対し、住環境防衛の闘いを行わざるを得ない。住民運動は日本人の自治意識や政治参加意識も高めてくれる。景観の維持は、長期的に見れば住民のみならず地元企業にも利益をもたらす。

住民意思を無視した事業者により、建設が強行されることは少なくない。それでも反対運動が負けない方法はある。現在訴訟を起こしている深沢ハウス(旧都立大学理工学部跡地の長谷工による巨大マンション開発)は訴訟の影響で全体の三割しか売れていない(第一回とどろきシンポジウム、玉川区民会館ホール、2005年2月5日、五十嵐敬喜(法政大学教授)発言)。

行政の姿勢

行政においては新たに建つ高層ビルに対し、既にある住宅地を保護する制度を考える時期に来ている。地方政治と行政の場は、何よりもそこに暮らす住民の利益を第一に考えられるべきである。人々の生活を本位としなければならない。「都市再生」を掲げるならば、ゼネコンを潤すだけの大規模開発に巨額の予算をつぎ込むべきではない。

都市における居住の快適性や住環境を守る住民自身の運動を支援することが求められる。地方議員は住民からの声を聞き取り、自らの判断に立って行動すべきである。計画内容に問題はないかどうか、住民への説明は十分かどうか、環境や住民生活への影響を危惧する声に対し誠意を持って答えているか。

景観を大切にしない日本人

東京の開発は昔(新宿副都心・霞ヶ関)も今(丸ビル、六本木ヒルズ、溜池)も、一部の企業中心による大型ビル建設に依存していた。このような再開発では、人々の興味の移り変わりにより、廃れていくだけである。これらはビルづくりであって街づくりではない。日本の現代建築はあまりに経済合理性に偏りすぎて、面白味が皆無である。ここ数年で建築された上海の摩天楼群でさえ個性豊かな眺望をもたらしている。建物に張り付いた醜悪な看板、車道・歩道の上には電線が張り巡らされ、とても美しい日本とは言い難い。

「先祖が作り上げてきた歴史ある建物をぶっ壊し、経済効率という尺度を持ち込んだせいで、耐震強度の偽装のように色々な問題が起きてしまった」(渡辺篤史「風景の一コマ見直す時」朝日新聞埼玉版2006年1月1日)。「周囲の風景にそぐわない高層ビルの、傲れる直線に出くわすこともめずらしくない」(「編集手帳」読売新聞2006年8月30日)。

「日本橋の真上に高速道路をかぶせて建設し、醜悪な市街づくりに狂奔した日本では、泡沫経済がはじけて消えた後に、コンクリートの荒野だけが残った」(田中芳樹『創竜伝10大英帝国最後の日』講談社、1999年、126頁)。

テムズ河では「幅の広い落ち着いた流れの両岸に、歴史的な建造物が並んでいる。ぶざまなコンクリートの堤防や高速道路によって隅田川の光景を都市から遮断し、抹殺した東京と異なり、ロンドンは川と分かちがたく共存している」(田中芳樹『創竜伝10大英帝国最後の日』講談社、1999年、99頁)。

韓国では清渓川を復元

韓国の首都ソウルでは李明博(イミョンバク)市長が都心の清渓川(チョンゲチョン)を覆っていた暗きょと高速道路を約425億円かけて撤去した(「小泉首相 「日本橋に青空を」一声発動 コイズミ記念碑?」毎日新聞2006年1月6日)。ソウル清渓川路5.8qの高架道路を撤去し、河を覆っていた道路を取り払ってきれいな水を流した。2005年10月1日、着工後2年3ヶ月で完工し、せせらぎを復元した。

美しく開発する土台を築いたという点で「環境にやさしい江北開発」という好評を博した。オープン58日目で観覧客が1000万人を突破し、各国のマスコミに取り上げられるほど、世界的にも注目された。「清渓川、観覧客で賑う」は朝鮮日報が選ぶ2005年韓国10大ニュースの四位になった。復元工事の主役である李明博(イ・ミョンバク)ソウル市長に対する国民的な信頼と支持が高まる契機にもなった。李明博市長は次期大統領候補とも目されている。

開発業者の在り方

地域の実情をよく調査し、その上で開発を行うのが本来の開発業者の在り方である。地域に根差す住宅会社だからこそ、周辺状況にも気を配って顧客の不安に応えるべきである。開発業者には真剣に環境のことを考え、それを提案していかなければならない責任がある。住民感情は説明会などで充分察知することが可能である。察知した上でどう対応するかで、その会社の社会性が判断できる。

地域住民の意思を置き去りにして進められる開発には疑問を抱かざるを得ない。環境を破壊しても金儲けができればいいという考えには賛同出来ない。利益のみを追求し、独善的な判断で業者が環境や地域住民に被害や損害を与える可能性を無視・否定することは許されない。住民が長年に渡りつくり上げてきた「街の有り様」を民間事業者が勝手に激変させてしまうことは許されない。

地域の住民の反対を無視し、地域の景観を損なってまで、押し切ろうとする営利活動は、反対運動を起こされて当然である。経営者は時代の流れに対し、口先だけで実体のない企業理念を、後追いで取って付けたように唱えるのではなく、地域の住民の誰もが共感を覚え、自社の利益も確保できる事業展開を考えるべきである。これに対し「綺麗事を言うな!」と言うのであれば、明らかに景観意識の徹底的に低い企業も、消費者に対して「景観に充分配慮して‥‥」と虚言を弄するのは止めるべきである。

プロジェクトの責任

「事業者は、基本理念にのっとり、土地の利用等の事業活動に関し、良好な景観の形成に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する良好な景観の形成に関する施策に協力しなければならない」(景観法第5条)。プロジェクトの収益だけを考えないことが肝要である。「損して得とれ」という言葉がある。プロジェクトより大きなもので考えることが重要である。

「組織は、プロジェクトによって生じる影響について、ますます多くの責任を負うようになってきている(たとえば、道路建設プロジェクト中の考古学遺跡の偶然による破壊)。それが完成されたはるか後に、人々、経済および環境に与える影響であっても同様である(たとえば道路は、かつては汚染されていなかった環境へアクセスをもたらすとともに破壊も促進しうる)」(プロジェクトマネジメント協会、プロジェクトマネジメント知識体系ガイド2000年版、「2.5.4社会・経済・環境の持続性」)。

映画「The Corporation」の中で年商14億ドルのカーペットメーカーである米国インターフェース社を環境に配慮した事業運営に変身させたレイ・アンダーソンRay Anderson会長は以下の予言をした。「現在の標準的な企業の商業活動は後世、忌まわしい犯罪行為として語られるようになるだろうStandard corporate practice of today will be remembered as heinous criminal behavior」(Jason Silverman, Wired News: Preaching to the Anti-Corp Choir, Jun. 04, 2004.)。「法規制や社会情勢の変化で、過去に合法だった行為が違法になる」(「今日の白が明日は黒になる」日経ビジネス2005年8月22日号28頁)。

地域社会の凶敵

悪徳不動産業者はなり振りかまわず突進し、売ったら売りっぱなし、後は野となれ山となれである。環境のことは少しも考えず、売れもしないマンションをどんどんつくり、町壊しをする。異質な物が地域や空間に与えられた時、元々存在していた物(者)に如何なる影響を与えるかを考えない。「そこのけ、そこのけデベロッパーが通る」と言わんばかりのむき出しの大企業利益優先の論理だけである。

「ゼネコンこと大手総合建設業者は建物や施設をつくり、土木工事を行うのが仕事であって、そのことによって環境がどのように破壊されようと、貴重な生物が絶滅しようと、その地域社会にどんな混乱を生じようと、一切責任を持たない、関係ないという基本方針(ポリシー)を持つ事業体である。国の政治権力と結んで日本列島を乱開発し、物質文明の砂漠にしようとしている元凶である」(森村誠一「地域社会の凶敵」旧日本IBMグランド跡地対策協議会ニュース・特別号2004年11月15日)。

理解を要求するだけの説明会

建設計画、建設工事は時には人命さえ脅かし、人々の生活に大打撃を与える。しかし事業者には近隣住民とうまくやっていこうという発想は皆無で、ケチるだけケチって、それでダメなら金で解決しよう、「後は知らん!」という態度が見え見えである。

住民向け説明会では「え〜今後検討してまいりたい」「え〜ご理解いただきたい」「ご理解を賜りますようお願い申し上げます」ばかりで、質問に対する回答はなされず、一つも説明になっていなかった。説明会ではなく、一方的な計画書・パンフレットの解説会に過ぎなかった。

自然

豊かな自然なくして、人間の豊かな暮らしはありえない。自然を大切にし、未来に生きる子どもたちに美しい地球を残すことは、人類の義務である。環境基準は引き上げられるべきで、決して下げられるべきではない。生態系全体ひいては環境を守るため、関係者の決意と行動が求められている。

自然は段々と少なくなり、人工のコンクリートで固めたものばかりが増えてきている。人類には自然のバランスが必要である。一度破壊された自然は元には戻らない。私利私欲のために自然を破壊することは許されない。自然は限りない資源の宝庫である。自然に逆らえば自然から逆襲を受けることになる。

「21世紀は確実に「都会が田舎に憧れる時代」となります。うまい空気吸って、うまい水飲んで、魚はたらふく食って、みかんや果物はたくさんある」(若松進一「この町の子どもたちが、誇りを持って外へ紹介できる町にしたかった」ベンチャー通信13号、2005年、61頁)。

子ども

環境とは何かを子ども中心に考えると子どもをとりまく全てのものといえる。環境には自然環境、地域環境、社会環境などがあるが、豊かで便利な日常生活を実現した結果、環境問題を引き起こしたと共に子ども達(人間全て)が、自然を失ったと言われている。実際、田舎を離れてみると確かに木々の緑や鳥の声が私生活から薄れ、遠のきつつあるのが感じられる。また、自然の光や雨風に、直に触れることを避けているようにさえ思われる。

サン・テクジュペリは「人間の土地」を「僕ら人間について、大地が、万巻の書より多くを教える」から書き始めている。私達は森林などの美しい自然環境において、精神的な充足感や平安な感情を得る。これは人間には欠かせない、地球の持つ環境そのものからの恩恵であることを忘れてはならない。

グリーンコンシューマ

多くの人が「お金」「経済」「目先」「ビジネス」に重きを置いて暮らしているが、これをそれぞれ「命」「環境」「未来」「子供達」に変えると、グリーンコンシューマになる。グリーンコンシューマは日本では全人口の1%、ヨーロッパでは50%を超えている。30秒で6リットル。流しっぱなしの蛇口やシャワーからはこんなにたくさん水が無駄になっている。歯磨きや洗車のときは特に気をつけなければならない。

2005年は環境意識の高まった一年であった。2005年3月に「家族と自然にやさしい暮らし」をテーマにした女性誌「ecomom」が創刊された。健康や環境に配慮したライフスタイルを意味する「ロハスLifestyles Of Health And Sustainability」という言葉も広まった。

環境思想

環境破壊について「西洋の自然を征服する思想が環境破壊を引き起こしたから、これからは東洋的な自然を受け入れる思想を見直さなければならない」ともっともらしく主張されることがある。しかし東洋思想が環境保全に結び付くとは限らず、安易な西洋批判は禁物である。

自然を征服する西洋思想の下でも自然がなければ人間は生きていけない。従って自然が人間の生存を脅かすほど破壊されれば自然を保護する方向へ作用する。このような人間本位の自然観でいいのかについては疑問があるが、現在のヨーロッパが自然保護先進国であることは事実である。

一方、自然を受け入れるとの東洋思想は自然が人間によって破壊されても、破壊された自然をそのまま受け入れることにもつながる。そこには自然保護の発想は生まれてこない。経済発展著しいアジア各国で環境破壊が進んでいることがそれを示している。例えばバンコクや台北の交差点では警官が防毒マスクをかぶって交通整理に当たることがある。この背景には汚染された自然をそのまま受け入れている東洋思想があるように思われる。汚染された自然を回復するのではなく、汚染を前提としてしまう。

景観ニュース

京都市のアンケートで約9割が「景観のための建物制限は必要」

京都市は2005年8月に実施したアンケート調査「歴史都市・京都の創生〜京都の景観を守るために〜」の結果を発表した(2005年11月10日)。「建物に一定の制限を加えるのはやむを得ない」という回答が約9割に上るなど、景観に関する規制に積極的な市民が多いことが明らかになった。

アンケートの回答用紙は、住民基本台帳と外国人登録データから無作為抽出した20歳以上の市民3000人に郵送で配付した。有効回答数は1503(有効回答率:50.1%)。「建物を建てる場合に、建物の高さや色、形などが制限されることについて、どう思うか」という設問に対する回答は、「自由に建築したいが、景観に配慮する必要があるので、一定の制限は必要だ」が68.3%、「景観は重要なので、制限が加わってもかまわない」が21.6%を占め、あわせて約9割が景観を保全するための建物への制限の必要性を感じていることが判明した。

「現在の京都の景観について、どのような印象を持っているか」という設問には、回答者の67.1%が「魅力のある景観は失われつつある」と危機感を示した。「京都の景観を保全・再生するための規制についてどう思うか」という設問には「規制はさらに強化するべきだと思う」が52.8%を占め、「規制を緩和すべきだと思う」の3.8%や「規制はするべきではないと思う」の0.9%を大きく上回った。

原爆ドームを見下ろす高層マンションに反対運動

核兵器の悲惨さを後世に伝える世界遺産・原爆ドーム(広島市中区)が景観問題で揺れている。ドーム南東約100メートルに、14階建ての高層マンション(高さ44メートル)の建設が進んでいるためである。施工主は三井不動産株式会社広島支店である。

完成すればドーム(高さ25メートル)を見下ろす形になる。被爆者らは「平和を祈る場にそぐわず、ドームの価値を下げる」として、高さを予定より低くするよう建設変更を求める署名活動を始めた(「<原爆ドーム>近くに高層住宅、被爆者ら変更求め署名活動」毎日新聞2006年4月17日)。

平和公園・原爆ドームを中心とする聖域は、世界中の平和を願う人々が多く訪問する一帯であり、この地球上で核兵器を使うことの愚かさを告発している地域である。この聖域のバッファーゾーン内に高層マンションを新築し、見下ろすことは、原爆で心ならずも殺された20万を超す死者を冒涜することにつながる。

内閣府世論調査で自然保護最重要が多数派

自然保護を「人間の生活に最も重要」と考える人が、初めて「人間社会との調和を図りながら進めること」と考える人よりも多数派になった。内閣府が2006年9月11日に発表した「自然の保護と利用に関する世論調査」で、このような結果が明らかになった。

内閣府はこの調査を日本国内で5年毎に実施しており、今回の調査期間は2006年6月22日から7月2日までだった。無作為抽出された20歳以上の調査対象者から1834人が回答した。 自然保護についての意識は、前回の2001年の調査では「最重要」が40.1%、「社会と調和」が56.8%であった。今回はそれぞれ、48.3%、46.7%と逆転した。

自然に手を加えざるを得ない土木・建築工事の関係者は、工事の必要性や効果について地域住民の理解を得ることや、工事中の不必要な自然破壊を防ぐことに、これまで以上に力を注ぐことを迫られることになる(「自然保護、「最重要」が「社会と調和」を上回る──内閣府調査」ケンプラッツ2006年9月15日)。

渋谷区マンスリーマンション等建築等規制条例案

東京都渋谷区は、同区内で週単位や月単位で貸し出す短期賃貸マンションの建設を規制する「渋谷区マンスリーマンション等建築等規制条例案」を区議会に提出した(2006年9月21日)。渋谷区は同条例案について「短期間に入居者が入れ替わるマンションなどで、公序良俗に反する利用や地域住民とのトラブルなどを防ぎ、良好な生活環境を維持するのが狙い」と語る(「渋谷区がラブホテルに続き短期賃貸マンションの建設も規制へ」ケンプラッツ2006年9月22日)。

小田原市、小田原城天守閣を基準に建物高さを規制

神奈川県小田原市は小田原駅周辺地区における高度地区の運用基準を見直し、駅の南に位置する小田原城天守閣の高さを超える建築物を認めないよう規制を導入する。10月1日に施行する(「小田原市が天守閣を基準に標高で建物高さを規制」ケンプラッツ2006年9月26日)。

新たな運用基準では、高低差がある対象地区内全域で小田原城の高さを超えないように、標高で規制する。天守閣の高さは石垣と三層の建物を含めると38.7m、海抜29.6mの地盤に建ち、最上階の屋根の高さは標高68.3mとなる。

公共事業は説明不足

「道路や橋,ダムなどの公共事業に関する説明は十分に行われているか」。この問いに対し、市民1000人のうち約8割が「説明が不足している」、「説明がやや足りない」と答えた(「市民1000人の意識から探る「求められる社会資本」(1) 約8割が「公共事業は説明不足」」ケンプラッツ2006年9月27日)。1000人の回答者のうち、「説明が不足している」が60.8%,「説明がやや足りない」が16.3%を占めた。

説明不足の理由として以下を挙げる。
「説明しているのかもしれないが、情報が入ってこない」(福岡,男性)
「工事目的を掲げずに作業している場合が多い」(神奈川,男性)
「どういった意図でつくっているのか説明がない」(北海道,男性)
「道路工事などで地域住民に事前通知の対応が遅いと思う」(東京,男性)
「ダムがなぜ必要なのかはわかっているつもりだが、どのくらいの規模で、どの程度の水が賄えるのか、建設費はいくらなのか、維持費はいくらなのか、現在の貯水率で足りているのかなど、特につくった後の情報が全く伝わってこない」(北海道,女性)


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