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アトラス設計・渡辺朋幸代表への疑問

有限会社アトラス設計(渋谷区富ケ谷)の渡辺朋幸代表の偽造認識には疑問が呈されている。渡辺代表は姉歯秀次元建築士の耐震強度偽装を最初に見破ったとされる。渡辺代表が最初に偽造を見抜いたのは港区赤羽橋の学生マンション(ワンルームマンション)である。赤羽橋物件の偽装が故意による偽装か否かについて、渡辺氏の説明は記者会見と参考人質疑では齟齬がある。

記者会見では以下のように語る。「普段やっている鉄筋本数よりかなり少ないなというのは感じたんですよ。計算書を調べてみたら、地震の時にかかる『水平力』、横の力ですね、これが4分の1にしてあったんですね。何でこういうことをやるのかなというのが、正直言ってその時点ではわかんなかったですね」「姉歯建築士のやり方は、大変作為的で悪意を感じた。わざと操作しているような感じがした」。

一方、参考人質疑では当初は偽造の認識はなかったとする。「図面と計算書を見比べて発見した。図面を見ておかしいとは思ったが、偽造とはすぐに気付かなかった」「その時点ではそこまで深くこの事件が大きいとも思いませんでしたし、千葉の方で一人でやっている構造事務所さんが外注に出してやってしまったという話だったので、そこまでの認識は、あの場所で皆さんなかったと思います。私もなかったです」。

この点について以下の疑問が呈されている。「渡辺氏が当所、マスコミには水平力1/4にしていると説明しているが、構造設計者が水平力の数字を書き換えるのは特別な構造計画の場合に限られる。単独で存在するほとんどの建物は水平力を変更することはない。故にこれだけで偽造であることはわかる。何故、参考人質疑で「偽造と気付かなかった」と変わったのか?不明?」(荻原幸雄「耐震強度偽装問題時系列」建築よろず相談2005年12月23日)。

実際、単なるミスならば、わざわざ日本ERIに調査を依頼する必要はない。渡辺代表は以下のように証言する。「技術的な内容を説明した後に、これを他でやっていたら大変なことになりますよ、調べてみたらいいんじゃないですかということを言いました」(参考人招致)。

渡辺代表、自民党のヒアリングで発言を一転

渡辺代表は自民党の耐震偽装問題対策検討ワーキングチーム(座長・早川忠孝衆院議員)のヒアリングに対しては主張を一転させた。赤羽橋学生マンションの偽造指摘に適切な対応をとらなかった関係者を批判した。日本ERI担当者に「姉歯建築士の設計はおかしいのではないか」と指摘しながら、同社が適切に対応しなかったと主張した(「指摘放置で被害拡大 自民聴取に設計事務所代表」共同通信2006年1月11日)。

渡辺代表は総研も批判する。渡辺代表が2004年3月に偽装を指摘した際、経営コンサルタント会社「総合経営研究所」の幹部も説明を聞いていたことに触れ「(総研は)過去の物件を確認できる立場であり、調べる責任があった」と述べた(「耐震偽装発見の社長から聴取=自民チーム」時事通信2006年1月11日)。総研に調査する責任があると主張している点から、赤羽橋物件の偽造が単なるミスとの認識ではなかったことになる。

渡辺代表の矛盾の背景には何らかの圧力があるとの推測がある。「自ら報道取材や参考人招致に対応し、発言内容が二転三転する状況には不自然な作用が働いているとも推測できます」(イーホームズWebサイト「グランドステージ稲城について偽装の圧力をかけた者(アトラス設計渡辺社長の音声証言)」2006年1月15日)。

渡辺代表は日本ERIが隠蔽したと非難するが、計画変更確認の構造計算書と構造図面を設計し差替えたのは渡辺代表自身である。日本ERIが偽装を公表しないならば技術者として、その怒りをマスメディアに公表すべきであった。それでこそ命を守る真の技術者である。

千葉設計の揺れ

港区赤羽橋賃貸マンションの元請設計を担当した株式会社千葉設計の発言にも揺れが見られる。

マスメディアの取材には当初から不審感を抱いていたと語る。総研や木村建設が姉歯元建築士の起用を進めたことに対し、「通常、施工業者が構造計算をする建築士を連れてくることはない。おかしい」と感じたと社長は振り返る。日本ERIから建築確認書が届いても、「不安があった」ため、アトラス設計に再点検を依頼したとする(「耐震強度偽造問題/解明できるか、複雑な構図」東奥日報2005年12月2日)。

その後、Webサイトでは「当時はまさか悪意があっての偽造とは思いませんでした」としている(株式会社千葉設計代表取締役千葉孝「12月7日の衆院国土交通委「建築物耐震強度偽装問題」参考人質疑において、当社名が実名にて発言されたことについて」2005年12月8日)。ここでも渡辺代表と軌を一にして偽造の認識を否定する。

千葉設計は衆院国土交通委員会参考人質疑で初めて社名が明らかになった。これについて千葉設計は「当社としては、これまでは、横浜市の設計事務所ということで匿名の報道で通してきたものが、突然に公表されたことにひどく憤りを覚えています」とコメントした(株式会社千葉設計代表取締役千葉孝「12月7日の衆院国土交通委「建築物耐震強度偽装問題」参考人質疑において、当社名が実名にて発言されたことについて」2005年12月8日)。

姉歯証人は意図的な改竄と認識したと証言

姉歯秀次元建築士は赤羽橋学生マンションの偽装について周囲の人間も意図的な改竄と理解していたと証言する(証人喚問)。参考人招致での渡辺朋幸証言とは異なる。
吉井委員「二〇〇四年三月八日の、横浜、千葉設計の会議の中で低減と発言したということですが、この低減というのは、単純な計算ミスではないというふうに思いますが、建設にかかわるそこに参加した人たち、その言葉を聞いて、意図的な改ざんというふうにその人たちは皆理解したというふうに見ていいでしょうか」
姉歯証人「皆さんのいる前で低減という会話を渡辺社長と私が、専門同士がお話ししましたので、周りにいる人間はそういうふうに認識していると思います」

赤羽橋物件偽装発覚経緯

赤羽橋物件は東京都港区赤羽橋(赤羽根橋)の10階建て賃貸マンション(ワンルームマンション、学生マンション)である。赤羽橋物件は千葉設計が設計を担当した。千葉設計は2003年6月頃に受注した。2003年8月頃に設計を開始した。千葉設計は、構造計算をアトラス設計に依頼する予定であったと説明する。しかし、施工を担当することが決まっていた建設業者は千葉設計に対し、「工期の早さに定評のある木村建設に協力を呼びかけてほしい」と依頼した(「耐震偽造:発覚発端のマンション設計 総研が主導的役割」毎日新聞2005年12月5日)。

構造計算は木村建設の意向で平成設計の肩書きで姉歯建築士が担当した。千葉設計にとって姉歯建築士は初めての取引であった。姉歯建築士が担当することに決まった協議は2003年11月10日に千葉設計において行われた。この場で最も多く発言したのは総研の担当者で、姉歯建築士はほとんど話さなかった(「木村建設などにも「おかしい」と通告 神奈川の設計会社」朝日新聞2005年12月2日)。姉歯建築士は平成設計の建築士であることを示す名刺を使っていた。

千葉設計は協議について以下のように説明する。「施主紹介の建設業者と、その紹介で木村建設、平成設計2名(姉歯氏は平成設計の社員ということで来社しました)、総合経営研究所が当社に来社しました。当日の説明は木村建設の工法を利用すると、工期や工事費にメリットがあるので、今回の工事でその工法を採用できないかとのことでした。そのために平成設計がノウハウを持っているので構造計画(計算も含めて)で使ってもらえないかとのことになり、本来ならこれまで計画段階から構造を担当していたアトラス設計に依頼する予定でしたが、事情を説明し替わってもらうことになりました」(株式会社千葉設計代表取締役千葉孝「12月7日の衆院国土交通委「建築物耐震強度偽装問題」参考人質疑において、当社名が実名にて発言されたことについて」2005年12月8日)。

2003年12月5日、姉歯元建築士、構造計算書納品。千葉設計は丸投げであったことを認めている。「平成設計姉歯氏より構造設計図書を納品される。期日の問題もあり構造図書の内容は確認せず、即時、日本ERIへ確認申請を行なう」(株式会社千葉設計代表取締役千葉孝「偽装発見までの経緯書」2006年1月16日)。千葉設計は2004年1月7日、日本ERIから建築確認済証を受領した。

北和建設での事前打ち合わせ

赤羽橋物件の建設に関しては千葉設計での協議以前に北和建設において打ち合わせが行われた。メンバーは姉歯秀次元建築士、総合経営研究所(総研)・四ヶ所猛チーフコンサルタント、木村建設・篠塚明支店長、北和建設・安藤とされる。

姉歯秀次元建築士は以下のように証言する。「その前の段階で、北和建設というところに、総研四ケ所さん、四ケ所さんとですね、だれだったかな、篠塚支店長と私と三人で北和建設の安藤氏というところに行きまして、打ち合わせをしました。そのときに、千葉設計で打ち合わせしましょうということで、そちらに出向いたと思います」(第163回国会国土交通委員会第11号、2005年12月14日)。

ここで打ち合わせ場所を提供した北和建設が問題になる。赤羽橋物件の建設に関係した企業と考えるのが自然である。千葉設計によると、木村建設、平成設計、総合経営研究所は「施主紹介の建設業者と、その紹介で」来社したとする。この説明が真実であるならば北和建設は赤羽橋物件の施工業者で、木村建設らを千葉設計に紹介したと考えるのが自然である。

北和建設という社名の会社は全国に複数存在するが、東京都港区にマンションを建てるような企業としては北和建設株式会社(京都市下京区)があげられる。この北和建設は渋谷区に東京支店を設置している。

北和建設で打ち合わせしたとの姉歯証言を受けて、馬淵澄夫委員は「今お話で、この十一月の十日以前に、北和設計で総研四ケ所氏とそして篠塚支店長とお会いになられていると」とまとめている。ここでは北和建設が何故か北和設計に変わってしまっている。株式会社北和設計(奈良県奈良市)という企業は存在するが、東京での活動は見られない。従って馬淵委員の聞き間違えで、北和建設が正しいと考える。

第163回国会 国土交通委員会 第11号(平成17年12月14日(水曜日))

総合経営研究所中間報告書

北和建設が港区赤羽橋賃貸マンションの施工会社であることは株式会社総合経営研究所の中間報告書によって裏付けられる。中間報告書では事前打ち合わせが2003年11月6日に元請会社の事務所で行われたとする。出席者は元請会社次長、平成設計の薮常務、姉歯建築士、木村建設の篠塚支店長、総研の四ヶ所の5名とする。姉歯秀次証言と対照させると元請会社が北和建設で、安藤が次長になる。

総研は事前打ち合わせを以下のように説明する。総研によると総研・木村建設関与のトリガーは元請会社となる。元請会社と総研や木村建設の関係も調査する必要がある。

「この打合せの趣旨は、元請会社の方から工期短縮工法の話を聞きたいという話が総研に対してあったため,担当として四ヶ所が赴きました。この時点で設計会社は、元請会社の方で「千葉設計」に依頼する予定であり、仮に平成設計が設計業務を行うとしても新たな工法に基づく構造設計のみを行う(意匠設計は千葉設計で行う)予定でした。実際に設計図面(意匠)は概ねできておりました。従って構造設計に関する話が中心となることから、念のため構造計算の担当者を同席させるように四ヶ所から平成設計に指示を出しました。姉歯建築士が同席するに至ったのはそのためです」(株式会社総合経営研究所社内調査委員会「建築物の構造計算書偽装への関与について 中間報告書」2005年12月13日)。

スカラコート麻布十番

北和建設株式会社が施工し、株式会社千葉設計が設計した物件には「スカラコート麻布十番(スカラ・コート・麻布十番)」(東京都港区三田1丁目)がある。港区に立地する学生マンション(ワンルームマンション、賃貸マンション)である。都営地下鉄大江戸線赤羽橋駅から徒歩二分の場所にあり、赤羽橋の物件とも言える。

スカラコート麻布十番は鉄筋コンクリート造10階建てである。千葉設計Webサイトの「Works マンションVol.3」に紹介されている。スカラコート麻布十番のオーナーはパン製造業の経営者で、既存の建物(工場、事務所、社宅)を壊して建替えたという。一階の店舗にパン工場と喫茶スペースを作り、二階を一部事務所にして、上階を101戸の学生マンション(ワンルームマンション)にした(北和建設株式会社Webサイト「最近の新築物件」)。

千葉設計は赤羽橋物件について2005年3月下旬竣工と説明する(株式会社千葉設計代表取締役千葉孝「偽装発見までの経緯書」2006年1月16日)。スカラコート麻布十番も2005年3月に竣工しており、合致する。

偽装発覚経緯

千葉設計は2004年1月下旬頃、構造計算書等の再点検・検証をアトラス設計に依頼した。その結果、偽装が判明した。姉歯建築士の図面では、本来、32ミリの鉄筋が17本入るはずのところを、25ミリの鉄筋5本で計算されていた。

渡辺代表は検証した経緯を以下のように証言した。「当初、私の会社でやる予定でした。それを途中から姉歯さんということになったので。姉歯さんは一人でやっているということで監理は受けないということだったので、それが私にまた監理で回ってきました」(参考人招致)。

千葉設計は以下のように説明する。「念のため姉歯氏の作成した計算書等の検証を本来の構造設計者に予定していたアトラス設計に依頼したところ、その内部に不正な部分が多数見つかり、このままでは構造上大きな問題が発生することを確認しました」(株式会社千葉設計代表取締役千葉孝「12月7日の衆院国土交通委「建築物耐震強度偽装問題」参考人質疑において、当社名が実名にて発言されたことについて」2005年12月8日)。

2004年3月8日、千葉設計は関係者を召集し、渡辺代表が姉歯元建築士に誤りを問い質した。木村建設の篠塚東京支店長、平成設計の薮常務、徳永氏、総合経営研究所(総研)の四ヶ所氏が同席した。但し千葉設計は「木村建設は同席していない」と主張する(株式会社千葉設計代表取締役千葉孝「偽装発見までの経緯書」2006年1月16日)。渡辺社長の不正の指摘に「建築確認が下りているのだからそんなことはない」と反発する声も出たという(「一年半前、偽装を通報」しんぶん赤旗2005年12月3日)。

渡辺代表は以下のように説明する。「こことここがおかしいですから、(姉歯氏に)『訂正してください』と言ったら、姉歯さんも最初『うっ』という感じで、一瞬ですけどね。すぐに『外注さんに任せちゃったんで、僕よくわかってないんです』という言い訳をして、落ち着きがない感じがしたんですよ、座ってて。ちょっと『ぴくっ』という感じですかね。その場で(姉歯氏は)『間違ってます』っていうのは認めましたし、『訂正します』という形で」。

姉歯元建築士は訂正を約束したが、偽装の構造計算書を訂正で糊塗できる筈もなかった。姉歯氏は以下のように証言する。「まあ十日前後を約束、たしか十日か二週間ぐらい約束、期限を切ったと思うんですが、その後、最終的には自分の判断で、これはもうできないと思いましたので、一・〇に持っていくことは、その状態から持っていくということは相当鉄筋量がふえるということになりますので、私の方から、この物件からおりるということで、おろさせていただきました」。

一方、総研中間報告書は以下のように述べる。「四ヶ所は姉歯建築士が、特にチェック後の納期を守れるかが心配になり、後日、元請会社次長と電話で率直にその旨を話したところ、その次長も同様の心配をしていたため、紹介者としてこれ以上の迷惑を元請会社にかけるわけにはいかないと判断し、本件から平成設計に対してこの仕事からおりるべきだと伝え、また元請会社次長にもその旨を伝えました」(株式会社総合経営研究所社内調査委員会「建築物の構造計算書偽装への関与について 中間報告書」2005年12月13日)。

千葉設計は以下のように述べる。「姉歯氏も誤りを認め構造設計の是正を約束する。期日を1週間とした。途中、姉歯氏より期間延長の申し入れもあったが、2週間ほどしても連絡がないのでこちらより督促したところ、一方的に「この件から手を引く」ということで逃げてしまった」(株式会社千葉設計代表取締役千葉孝「偽装発見までの経緯書」2006年1月16日)。

アトラス設計・渡辺朋幸代表の不可解な言動を証言

イーホームズ・藤田社長は偽装を見破ったとされるアトラス設計の渡辺朋幸代表の不可解な言動を証言する。渡辺代表が偽装物件の計画変更確認を勧めた(公文書偽造に相当する)とする。加えて渡辺代表が日本ERIに偽装を通告する以前から姉歯元建築士の偽装を認識していたとを主張する。これが事実であるとすれば認識を大きく変える必要がある。誰の言葉が正しいのか分からなくなってきた。

アトラス設計の渡辺代表は偽装を告発するために訪れた月光仮面ではないことになる。イーホームズに濡れ衣を着せることで偽装問題を隠蔽させるために、黒幕から派遣された刺客であったのではないか、との新たな疑惑が浮上する。渡辺朋幸代表は一級建築士免許を有していないことが藤田社長によって告発された。免許がない点で弱みがある渡辺朋幸代表は誰かに背中を押されてイーホームズへ行って耐震偽装の件を話したとも考えられる。

これまでも藤田社長は「ヒューザー小嶋進社長の恫喝」や「日本ERIの偽装隠蔽」を暴露してきた。重要なことは藤田社長の暴露が少なくとも大筋では事実に基づくものであることである。

今般の偽装事件の背景について重要な情報提供:「きっこの日記」他

今回の事件はそもそも、アトラス設計の渡辺氏という構造設計士が10/18に弊社の社員に電話で、「北千住」の物件に構造的に疑義があると言う情報を伝えたことが、10/20の内部監査にヒューザー社の申請物件の内から「北千住」の物件を選択した大きな理由です。10/20の内部監査の結果、膨大な設計図書のうち理論的に不可解な計算数値があることに気づき、詳しい調査が必要であるという報告が私に上がります。

この動きとは別に、翌日、渡辺氏が来社して、当社の構造担当部長と課長に対し、「北千住」の物件で具体的な偽造の箇所を指摘しました。重要なことは、渡辺氏は、この北千住の物件は「計画変更確認」を行えばよいと言ったのです。(一度出した確認が偽造と判定されたら取り消さなければなりません。それを計画変更するということは、公文書偽造になるのです。渡辺氏は、約1年半前のH16.4に日本ERIの「港区赤羽根橋のワンルームマンション(H16.1.7確認)」で偽造を指摘し、しかし公表に至らずに同年4月に計画変更してしまったことを隠蔽したと言っていたのだから、この時、なぜ計画変更すればよいと言ったのか、建築士として不自然です)。

しかし、さらに重要なことは、この日、渡辺氏は、2年半前の「グランドステージ稲城(H15.2.28確認、H16.2.18完了検査)」の物件も偽造であることを指摘したというのです。この物件は、完了検査がH16.2月に行われ、今では当然に入居済みです。この物件の工事は木村建設ではなく、志多組、設計はスペースワン(スペースワンの井上氏は、10/27の会議の席上、船橋の物件は偽の写真をつけて合格にすればよいと言った人です。小嶋氏がそれがいいと答えたのです)。そして、渡辺氏は、この物件を公表しなければマスコミに通報すると言ったという事です。弊社からは、北千住の物件は関係者を一度呼んで偽造に至った事実を確認の上で役所に通知して不適合として工事を取り消してもらう、稲城の物件は、資料を倉庫から取り寄せた内容を調査の上適切に判断すると回答しました。

私は、渡辺氏の12/7の参考人招致における言動に不自然さを思い(鈴木氏をとても意識していました)、改めて、担当者に10/21に渡辺氏が何を言ったのかを聞いた所、上記の通りだったのです。これを受けて、私自身が、12/15にアトラス設計の渡辺氏を訪ねて、事の真偽を確かめました。この時の会話は録音もして、複数の信頼できる方にコピーも渡しました。(警視庁にも通報しております)

渡辺氏は、確かに、10/21に北千住の物件を計画変更すればよいといったとのことでした。建築士のあなたが、公文書偽造となるそんなことを何故言ったのかを問い詰めると、手が震え顔が引きつりました。次に、なぜ2年半も前のことを知っていたのか?知っていたのならそのときに通報すればよかったのではないか?稲城の物件は木村が関与していないのだから、誰が姉歯に圧力をかけたんだ?と問い詰めると、「ヒューザーとスペースワンのセットだ」と言明しました。さらに、このセットで複数棟同様の偽造をしてきたとも言いました。私は渡辺氏に対して、あなたが何故そんなことを知っているんだ?1年半前にERIではじめて知ったというのは嘘じゃないか、ずっと偽造がされてきたことを知っていたんじゃないか、というと渡辺氏は興奮して立ち上がり、所員の者3名に体を押さえられていました。この証言を得たので、私はその場を去りました。

渡辺氏の話などから、志多組は宮崎県の地場最大の中堅ゼネコンです。熊本の木村建設のように、宮崎の志多組というような関係で九州圏では競争が激しい関係だそうです。木村と姉歯氏の関係のように、志多組と渡辺氏という仕事の依頼を受ける関係のようなものです。
(中略)
いずれにせよ、10/27以前の段階で(弊社が偽造を指摘する以前に)、姉歯氏や木村建設、総研以外にも、ヒューザーも志多組も渡辺氏もスペースワン他設計事務所も日本ERIも、偽造がずっと行われてきたことを知っていたのです。確信犯です。日本ERIの鈴木氏は、東大工学部卒で国交省の高級官僚に同窓が多くいると聞きます。1年半前に日本ERI社は株式公開直前でした。3年前に業務停止を受けて公開が延期していたので、偽造の事実を公表できなかったのかもしれません。被害が拡大した大きな原因は日本ERIに責任があるはずです。私は、国土交通省に、日本ERI社の公文書偽造の調査と処分を徹底的に行っていただくように既に要請しています。

藤田社長は人気ブロガー「きっこ」にも「最初に偽装を見抜いたとされる渡辺朋幸設計士の“ウソ”を告発する仰天メール」を送付した(「偽装告発ブログ“きっこ”って誰?“黒幕”スクープ」ZAKZAK 2006年1月4日)。

アトラス設計・渡辺朋幸代表の単独行動への疑問

渡辺代表はグランドステージ北千住(元請設計:スペースワン建築研究所、構造設計:姉歯秀次)の耐震強度に疑義があることをイーホームズに通告した。疑問は渡辺代表がイーホームズへ通告した経緯と目的である。

渡辺代表は志多組(宮崎市)からの依頼でグランドステージ北千住の構造を調べたと説明する。志多組は鉄筋量に不審を抱き、渡辺代表に調査依頼したとする。「施工会社の志多組さんから、北千住の物件で鉄筋が少ないので調べてほしいと依頼を受けました」(参考人招致)。グランドステージ北千住の施工者は未定であったが、渡辺代表は志多組を施工会社と明言している。志多組は少なくとも見積もり候補であったと考えられる。

志多組からの依頼ならば志多組へ返答し、志多組から施主(ヒュ−ザー)や設計事務所へ然るべき連絡するのが普通である。もし施主や設計事務所が動かなければ、工事を止める等、志多組として手段はあった筈である。

何故、渡辺代表は単独でイーホームズを訪問したのか。渡辺代表の行動には疑問が残る。グランドステージ北千住について渡辺代表は志多組から私的に構造の確認を依頼されただけである。渡辺代表が積極的に係わることではない。渡辺代表は港区赤羽橋の物件について日本ERIに情報提供したが、その際は構造設計を姉歯建築士から引き継いで新たに担当したという経緯がある。渡辺代表は港区赤羽橋の物件では構造設計担当者という立場であるが、グランドステージ北千住は私的な依頼を受けて構造の確認をしただけである。検査機関との接点は何もない。

私的な依頼を受けて調査しただけならば、当事者の意向に沿って、当事者を前面に立てて行動するのが自然である。渡辺代表がイーホームズに行くとしても、メインは志多組で、それに同行する形になるだろう。建築確認申請の関係者の指摘と非関係者の指摘では検査機関としても受け止め方が異なる。検査機関にしても施工する立場の人間の話ならば真剣に聞くだろう。もし事件性を感じたならば尚更、外部の人間である渡辺代表が表に出ることではない。

「一構造設計士が、通常の業務では命令系統下に属するデベロッパー(ヒューザー)もゼネコン(志田組)も意匠設計事務所も通さずに、直接に指定確認検査機関に対して、建築主やゼネコンに大きな損害が生じる、または大臣認定の構造計算図書の偽造という建築行政を揺るがす大事件を単独で通知するということは難しいものだと思います」(イーホームズWebサイト「グランドステージ稲城について偽装の圧力をかけた者(アトラス設計渡辺社長の音声証言)」2006年1月15日)。

志多組は九州では木村建設のライバルとも言われていた建設会社である。志多組が首都圏でのヒューザーからの受注を増やすためには、ライバル企業である木村建設は邪魔な存在であったとの考えも成り立つ。

アトラス設計・渡辺朋幸代表、計画変更確認を指南

藤田社長は渡辺代表が「グランドステージ北千住は計画変更確認を行えばよい」と発言したとする。グランドステージ北千住の建築確認に関与していない渡辺代表が具体的な手続きに言及すること自体、不自然である。渡辺代表は志多組から内々に検証を依頼されただけであり、イーホームズで「計画変更すべき」と手続に言及することには疑問がある。元請設計のスペースワンから依頼を受けてもいないにもかかわらず、渡辺代表が計画変更確認を提案することは道理が合わない。

渡辺代表は何故、既に確認が下りた物件に対し、取り消しではなく、計画変更を持ちかけたのだろうか。計画変更確認を指南したならば隠蔽を誘うことになる。グランドステージ北千住が計画中止になったところで、渡辺代表には何ら実害はない筈である。

イーホームズによると渡辺代表は事件公表後の11月21日にも来社した。藤田社長と渡辺代表が会うのは、この時が初めてである。藤田社長は以下のように述べる。「渡辺氏は、帰り際に、にたにたしながら、「イーホームズは嵌められたんですよ」と語った」(イーホームズ株式会社「弊社が認識する偽装事件の発覚の経緯」2005年12月31日)。

アトラス設計・渡辺朋幸代表、グランドステージ稲城の偽装を指摘

藤田社長は渡辺代表が10月21日のイーホームズ訪問時にグランドステージ稲城の偽装を指摘したと主張する。渡辺代表が「この物件を公表しなければマスコミに通報する」と言ったとする。

渡辺代表が偽装を見破った経緯については以下のように説明されている。2004年3月に赤羽橋の物件で問題を認識し、2005年10月にグランドステージ北千住で偽造を確信したとされる。

参考人招致で渡辺代表は以下のように証言した。「一度目に気づいたのは、一年半前に港区の物件で、私が意匠事務所さんから構造の監理を委託されました。そのときに、図面と計算書を見比べて発見しました。二度目に発見したのが、施工会社の志多組さんから、北千住の物件で鉄筋が少ないので調べてほしいと依頼を受けました。図面を見ておかしいと思ったので、計算書を取り寄せてもらうようにお願いして、そのとき、計算したのが姉歯さんだと聞いて、とても驚いた次第です」。

上記が事実ならば渡辺代表はグランドステージ稲城の偽造を知ることはできない。グランドステージ稲城は2003年2月28日付で建築確認され、赤羽橋の物件よりも前である。赤羽橋の物件以前から偽装を知っていたことになる。仮に偽装を知っていたとして、イーホームズに建築確認申請されたことまで、どのようにして知ったのだろうか。そして何故、イーホームズに対し、グランドステージ稲城の偽装に言及したのだろうか。グランドステージ北千住の偽装指摘が目的ならば、他の物件について「マスコミへ通報する」と口にするのは不自然である。

渡辺朋幸代表と姉歯元建築士、ヒューザー、志多組の接点

渡辺代表と姉歯元建築士、ヒューザー、志多組の接点を時系列でまとめてみた。ここから渡辺代表がグランドステージ稲城の偽装を知っていた背景を推測することができる。

2003年3月、志多組がヒューザーから「グランドステージ稲城」の施工を請け負う。設計はスペースワン建築研究所、構造設計は姉歯秀次が担当した。

2003年12月、志多組がヒューザーから「グランドステージ川崎」の施工を請け負う。設計は株式会社下河辺建築設計事務所(代表取締役・下河辺隆夫)、構造設計はアトラス設計・渡辺朋幸が担当した。遅くともこの時に志多組と渡辺代表が知り合っていたと思われる。 下河辺建築設計事務所はグランドステージ船橋海神の設計も担当している。その構造計算は姉歯建築設計事務所に発注しており、構造計算書偽造が判明している。

2004年1月、日本ERI、賃貸マンション(東京都港区赤羽橋)の建築確認を下ろす。設計は千葉設計、構造設計は姉歯建築士が担当した。2004年3月、渡辺代表が構造設計に問題があることを姉歯元建築士に通告する 。

2004年4月、渡辺代表が日本ERIに対して姉歯建築士の偽装を通告する。しかし日本ERIはミスとして処理してしまう。

2005年10月6日、グランドステージ北千住の建築確認が下りる。建築主はヒューザーで、設計はスペースワン建築研究所、構造設計は姉歯秀次が担当した。グランドステージ北千住の施工者は未定とされていているが、志多組は少なくとも候補になっていたものと思われる。志多組が渡辺代表に姉歯建築士作成の構造設計書について調査依頼し、偽装が発覚する。

10月18日、渡辺代表、イーホームズに電話して、グランドステージ北千住に疑義があることを伝える。10月21日、渡辺代表、イーホームズを訪問する。グランドステージ北千住の偽造箇所を指摘し、計画変更確認を提案した。加えてグランドステージ稲城も偽造であると指摘した。

渡辺代表がいつ姉歯元建築士の偽装を知ったのか。これまでは2003年12月、渡辺代表がグランドステージ川崎の施工を通じて志多組と知り合った際、既に志多組から姉歯元建築士の偽装を聞いていたのではないか。藤田社長の証言を下に時系列で整理すると、上述のようになる。

同旨の見解が表明されている。「アトラス設計はここで志多組からGS稲城の姉歯氏のこと若しくは構造図の鉄筋量の違いなどを聞いたのではないか?と推察する。ここで疑念を感じたならばアトラス設計が構造監理をしたならば道徳的に建築主ヒューザーに伝えるべきであった」(荻原幸雄「耐震強度偽装問題時系列」建築よろず相談Ver.10 2006年1月5日)。

渡辺朋幸代表の参考人招致での不自然さ

アトラス設計の渡辺朋幸代表は参考人質疑では記者会見とは別人かと思うほど、おどおどしていて歯切れが悪かった。誰かに遠慮しているかのような印象を受けた。渡辺代表は日本ERIの鈴木崇英社長と目を合わせビクついていた。渡辺代表の不自然さはイーホームズの藤田東吾社長も証言する。藤田社長は参考人招致控え室での日本ERI社長への態度を以下のように語る。

「渡辺氏と鈴木社長とは目礼をし合っていました。確認検査機関最大手の日本ERI社の鈴木社長が渡辺氏と挨拶しあう中なのか?そもそも渡辺氏が日本ERI社名を口にしたことで、この場に招致されたのですから、渡辺氏を面白く思うはずがありません。参考人答弁においても渡辺氏は常に鈴木社長に視線を走らせ、日本ERI社に対する言葉を慎重に選んでいました。それまで、報道の取材に答えて、1年半前の日本ERI社で偽造が隠蔽されていたことを述べていた姿勢と打って変わって、日本ERI社を擁護する言葉を述べたのです」(イーホームズ株式会社「弊社が認識する偽装事件の発覚の経緯」2005年12月31日)。

イーホームズ藤田社長とアトラス設計・渡辺朋幸代表の会話

イーホームズは藤田社長とアトラス設計・渡辺朋幸代表との会話内容をWebサイトで公表した(「グランドステージ稲城について偽装の圧力をかけた者(アトラス設計渡辺社長の音声証言)」2006年1月15日)。音声ファイルもアップロードした。渡辺代表はヒューザーと株式会社スペースワン建築研究所がセットで姉歯元建築士に偽装の圧力をかけたと語る。

「会話内容」
A(同席した社員) 「あの時は、あれ(グランドステージ稲城のこと)、志田組さんが稲城市役所の(所轄の工事)をやったんだよね」
藤田(F) 「志田組の時は木村建設が下請けに入ってるでもなんでもないんでしょ?」 A 「これは協力業者だからね」(志田組はヒューザーの協力業者という意味)
渡辺氏(W)「稲城の物件の時は志田組がやったんだけど、それを姉歯さんが構造設計をするっていうのがあった」
F 「だから、姉歯さんは、ほら(偽装の圧力を)、木村建設の東京支店長に圧力をかけられたと言っていたから、志田組の場合は(誰が圧力をかけ)何でやったんですか?」
W 「それはスペースワンと・・・。その時は、ヒューザー、スペースワン、セットなんです。セットなんです」

イーホームズWebサイトでは渡辺代表の会話について以下の疑問を呈する。「アトラス設計の渡辺氏が、何故、2年半も前の稲城の物件について偽装事件の組織的背景に関する情報を知っているのか大きな疑問です。自分一人で調べられるわけがありません。具体的な内容を誰かから聞いたに違いありません」。

渡辺朋幸代表、自民党会合で藤田社長を非難

アトラス設計の渡辺朋幸代表はイーホームズの藤田東吾社長から恫喝とも取られかねない発言を受けていたと主張したとされる(「イーホームズ藤田社長に恫喝された!? 最初に偽装を見つけた アトラス設計・渡辺代表明かす」報知新聞2006年1月12日)。自民党の耐震強度偽装問題対策検討ワーキングチームによる関係者へのヒアリングでなされた(2006年1月11日)。

渡辺代表が藤田社長に初めて会ったのはイーホームズ訪問時である(2005年11月21日)。最初に藤田社長から「お宅誰? 何しに来たの?」と言われたとする。そして「あなた電車に乗るときホームの端に立たない方がいいですよ…私も弁護士に言われているから気を付けてください」と言われたとする。

藤田社長がアトラス設計を訪問した際は、「どうして稲城の物件のことを知っていたんだ」と高圧的な態度で迫られたとする(2004年12月15日)。渡辺代表は「参考人招致では、聞かれたことにだけ答えるように言われたので言えなかった。本当は聞いてほしいことがたくさんあった」と語る。

渡辺代表はイーホームズがWebサイト等で公表している内容と事実が異なっている点を指摘したとされる。しかし、イーホームズから提起されている疑惑には答えていない。渡辺代表の疑惑とは以下を指す。
第一に赤羽橋物件の建築確認では耐震強度が不足しており、違法であるにもかかわらず、計画変更で糊塗したこと。
第二にグランドステージ北千住の偽装を指摘した際、偽装の隠蔽につながる計画変更を提案したこと。
第三に自身は関与せず、知る筈のないグランドステージ稲城の偽装を知っていたこと。

イーホームズの反論

イーホームズは報道新聞の報道に対し、自社Webサイトで反論した(「弊社の今後の方針、現在の偽装物件のリスト一覧(93件)、一部報道の誤りを指摘」2006年1月12日)。

「藤田に恫喝された」との記事は全く根拠のない嘘です。
私(藤田)が、渡辺氏を恫喝する理由は一切ありません。初対面の人間に、そして、構造計算図書の偽装という事実を伝えた人に対して、乱暴な口調で驚かせる意味がどこにあるのでしょうか?あり得ないことです。
何故渡辺氏が明らかな嘘とわかるような発言をするのか、何故このように弊社の印象を悪くする記事を書くのか不思議でなりません。スポーツ報知は読売系のスポーツ誌ですから、読売新聞と歩調を合わせた意図的な記事と思います。

念の為に、事実と違う点を以下に列挙します。
1)「お宅誰?何しに来たの?」という乱暴な挨拶は一切していません。私はこの日渡辺氏と初めて会うのですが、会社に訪ねてきた人に対してこのような応対をするわけがありません。

2)「電車に乗る時、・・・」の発言は、この当時、私は確かに弁護士等から身辺警護に注意を払うように注意されておりましたので、私自身が弁護士からそう言われていると言ったのです。そして、渡辺氏が帰る際に、偽装の事実を弊社に指摘したことで事件が大きな社会問題になっているから、「あなたも身辺警護などされるとよいですよ」と伝えたのです。
意匠設計事務所の下請けに位置する構造の設計士が、もし、ヒューザーという建築主や志田組というゼネコンを通さずに一設計士として偽装を弊社に指摘したのが本当なら、瑕疵担保責任を負う建築主や施工責任を問われるゼネコンから大きな反感を買うのは自明の論です。よって先ほどの言葉を伝えたのです。

3)渡辺氏が10月21日に「グランドステージ藤沢」に偽装の疑いがあることをイーホームズ側に伝え早急な対応を求めた、とありますが、このような発言は一切ありません。渡辺氏はこの日は2年半前の稲城の物件と、北千住の物件について偽装を指摘したのです。
もし仮に藤沢の偽装をこの時知っていたとしたら、何故、渡辺氏は藤沢の偽装を知り得たのでしょうか?藤沢の物件は、建築主ヒューザー、施工木村建設、設計森田事務所であり、本来、知る所以がありません。不自然な発言です。

いずれにしましても、アトラス設計の渡辺氏の言動には、12月上旬に報道等に答えていた内容や、12月7日の参考人招致、12月15日に訪門した時の言葉(「稲城の物件で姉歯氏に偽装の圧力をかけたのは、「ヒューザーとスペースワンのセット」、「このセットで複数棟(の偽装)をやってきた」)など不自然なものが多いです。

渡辺代表による藤田恫喝発言は自民党ワーキングチームのヒアリングでなされたものとされる。管見の及ぶ限り、渡辺代表は他の場所で同種の発言はしていない。これまでもグランドステージ北千住の偽装してきについてイーホームズの調査能力を批判していた。しかし、藤田社長の恫喝云々は指摘していない。

つまり、藤田恫喝発言は自民党ワーキングチームから出たものである。耐震強度偽装問題の解明に消極的と疑わざるを得ない自民党からの情報だけに慎重に吟味する必要がある。そもそもワーキングチームの存在自体が怪しい。Webサイトをジオシティ上に構築している(http://www.geocities.jp/taisin_gisou/)。自民党のWebサーバ上には載せていないということである。ヒアリングの議事録は一切公表していない。

しかも藤田恫喝発言を報道したのは報知新聞一社のみである。ワーキングチームが渡辺代表をヒアリングしたこと自体は時事通信と共同通信が記事を配信している(「耐震偽装発見の社長から聴取=自民チーム」時事通信2006年1月11日、「指摘放置で被害拡大 自民聴取に設計事務所代表」共同通信2006年1月11日)。しかし、これらの記事には藤田恫喝発言は言及されていない。スポーツ紙一紙のみが報じているだけである。自民党ワーキングチームの活動は、特定のマスメディアに情報を流して、世論を操作しようとしている姑息なものにも感じられる。

日本ERI、偽装隠蔽と弾劾

民間の指定確認検査機関最大手である日本ERI株式会社(日本イーアールアイ株式会社、東京都港区、鈴木崇英社長)は、耐震強度偽装を見逃した検査機関である。見逃したのみならず、偽装を隠蔽したと弾劾されている。問題発覚の一年半前に耐震偽装情報が寄せられていたにもかかわらず、問題を重視せずに適切な対応をとらなかった。耐震強度偽装事件はヒューザー、イーホームズ、姉歯のトライアングルから混沌の世界へ拡大した。

赤羽橋物件の公文書偽造疑惑

有限会社アトラス設計(東京都渋谷区)の渡辺朋幸代表は株式会社千葉設計(横浜市青葉区)の依頼で、姉歯建築士が作成した構造計算書を点検し、偽造を発見した(2004年1月)。問題の物件は東京都港区の学生マンションである。株式会社千葉設計が設計、平成設計の肩書きの姉歯秀次元建築士が構造設計を担当した。木村建設の工法を用いて建設される予定であった。

赤羽橋物件の物件名は明かされていない。千葉設計が設計し、木村建設や総研らに打ち合わせ場所を提供した北和建設が施工した物件にはスカラコート麻布十番(港区)がある。赤羽橋物件は日本ERIに建築確認申請され、2004年1月7日に建築確認が下りた。

日本ERIは偽装を設計ミスで処理

姉歯秀次建築士の偽装を発見した渡辺代表は日本ERIの構造審査担当者に指摘した(2004年4月)。「前任の姉歯事務所の設計は杜撰。これを他でもやっていたら大変なことになりますよ。調べてみたらいかがですか」。しかし同社は情報の真偽も確認しないまま見逃した。

千葉設計は以下のように説明する。「当時のERI担当には、直接その不正な内容を説明し、ほかにもこういった案件がないかを調査するよう働きかけた」(株式会社千葉設計代表取締役千葉孝「12月7日の衆院国土交通委「建築物耐震強度偽装問題」参考人質疑において、当社名が実名にて発言されたことについて」2005年12月8日)。日本ERIには不正であることを伝えている点がポイントである。

「ERIの当時担当には、本件の確認業務の甘さを指摘し、他の物件にこういった事態がないかを確認する旨勧告するが、その後返事はなかった」(株式会社千葉設計代表取締役千葉孝「偽装発見までの経緯書」2006年1月16日)。

この時点で日本ERIが精査していれば以降の欠陥マンションやホテルは生まれなかった。その後も姉歯建築士が構造計算を行った建物の建築確認を出し、結果的に被害を拡大させていた(「「姉歯」のずさん設計、昨春に発覚…調査せず放置」読売新聞2005年11月29日)。日本ERIの検査機関としての資質や能力は厳しく検証・追及されるべきである。

日本ERIは担当者が設計ミス(計算ミス)と判断したと釈明する。鈴木崇英社長は以下のように釈明・謝罪する。「(担当者は)設計ミスの問題と思っていた。重大性に気付かなかったのは残念だ」(「「設計ミスと認識」 外部指摘に日本ERI釈明」産経新聞2005年12月7日)。「担当者は計算ミスと思い、上司に報告しなかった。計画的、組織的犯罪と気付けば良かった」(「耐震偽装問題 アトラス社長、善後策「総研が中心」 姉歯、内河氏は欠席」フジサンケイ ビジネスアイ2005年12月8日)。

赤羽橋物件では水平力が1/4にしてあり、日本ERIの担当者は計算書に明らかに偽装がされていることを認識できた筈である。これを故意の偽装ではなく、設計ミスと判断するとは考え難い。渡辺代表は「姉歯元建築士の設計はおかしい」と伝えており、隠蔽されたと判断されても仕方あるまい。渡辺代表は「すぐにおかしいと感じた」とも語っている。

日本ERIの主張する計算ミスは言い訳にならない。幼稚な嘘である。構造計算書は、大臣認定のコンピュータープログラムで計算されたものである。どうすれば計算ミスが起きるのだろうか。入力ミスであったとしても、エラーメッセージが出てアウトプットできない筈である。

計画変更確認の疑問

2004年4月、渡辺代表が日本ERIに偽装を指摘する一方で、赤羽橋物件は計画変更確認申請された。2004年4月23日に計画変更確認申請済書が交付された。計画変更確認申請時の構造計算書と構造図面は渡辺代表が再計算した。渡辺代表は以下のように証言する。「日本ERIさんの確認で一度はおりているものを、私が構造計算をやり直して変更申請を提出しました」。計画変更申請したということは、渡辺代表には少なくとも当時は告発の意思はなかったことになる。

計画変更は、変更前の確認物件が適合していることが前提である(建築基準法第6条)。渡辺代表は建築基準法に規定する耐震性能がないために新たな図面を提出した。従って従前の建築確認は自主的に取り下げか、役所に取り消しさせるべきである。当初の確認内容から大きく計画を変更する場合でも、計画の変更の確認申請ではなく、新規の確認申請とするのが本来の趣旨である。まして違法であった建築確認を合法にするために計画変更を悪用することはできない。

原因がどうあれ、交付された建築確認が建築基準関係規定に不適合だったことは事実である。その不適合が判明した時点で、計画変更とは異なる手続が発生して然るべきである。例えるなら、店のカネを着服した。それが発覚した。着服した金を補填すればそれで済むのか。解雇されるだろうし、告発されても文句は言えない。

建築確認(2004年1月7日)から三ヶ月経過しているが、杭や基礎、地中梁の施工は終わっていなかったか、問題である。そもそも施工状況を確認しないで担当者は計画変更確認ができるのか。計画変更には疑問は多い(荻原幸雄「耐震強度偽装問題時系列」建築よろず相談2005年12月23日)。

イーホームズは、赤羽橋ワンルームマンションの計画変更について、「千葉設計(計画変更=公文書偽造)」と明言する(イーホームズ「構造計算書偽造物件一覧」2005年12月26日)。

「この物件は、法規に従うなら不適合物件として確認を取り下げ若しくは取り消しにした上で新たに確認を出すべきところを、不適合とせずに計画変更を行ってしまった。これは、日本ERIが行なった建築基準法における不法行為なのです」(イーホームズ株式会社「弊社が認識する偽装事件の発覚の経緯」2005年12月31日)。

イーホームズ社長、日本ERIが隠蔽と証言

日本ERIへの偽装指摘経緯を最初に明らかにしたのはイーホームズの藤田東吾社長である。衆院国土交通委員会に参考人として招致された藤田社長は「『一年前、姉歯氏が関与した物件で偽造が見つかったが隠蔽された。気をつけろ』と外部の構造設計関係者から情報があった」と証言し、これが偽造発覚の端緒となった内部監査の契機であったと明らかにした(2005年11月29日)。

隠蔽情報の物件の建築確認をしたのは「日本ERIと聞いている」と述べた(「参考人招致 イーホームズ社長証言「姉歯偽造で隠蔽」」産経新聞2005年11月30日)。当初は責任転嫁を図ろうとする魂胆が明白と受け止められた。イーホームズは翌日になると同社Webサイト上で「真偽について事実確認をしていない」との文書を公表した(2005年11月30日)。真偽不明な情報で他の検査業者を平然と非難することには無責任極まりないとの見解も出た。

藤田社長証言に対し、日本ERIの鈴木崇英社長らは記者会見で「藤田社長の発言は事実と違い、法的対応を検討する」と反論した(「耐震偽造 「公表前にヒューザー圧力」とイー社長 衆院委」毎日新聞2005年11月30日)。翌日出された「事実確認をしていない」とのコメントにも鈴木社長は「不誠実な対応で、個人的には非常に不愉快に感じている。刑事告訴を検討している」と話す(青野昌行「“ERIが隠ぺい”、「情報の真偽確かめていない」イーホームズ社長」建設総合サイトKEN-Platz 2005年11月30日)。

日本ERIが偽装を見抜けなかったことは事実である。偽装の指摘に対して、建築確認を取り消さなかったことも事実である。最低限のチェックを怠っていたのは隠しようのない事実である。「実際、藤田イーホームズ社長の発言を裏付けるかのように日本ERIが検査を行った案件でも偽造の疑いのある物件がでてきており、姉歯建築設計事務所の構造設計偽造問題の闇はついに民間の建築確認最大手企業にも波及してきた格好だ」(「日本ERIがストップ安売り気配、政府は「隠蔽疑惑」問題を調査の方針」テクノバーン2005年11月30日)。

姉歯元建築士の偽装をイーホームズに通告したのはアトラス設計の渡辺朋幸代表である。しかし藤田発言があるまで日本ERIの偽造物件処理が一切公表されていなかった。新たな事実は藤田社長経由でしか出ていない。その間に日本ERIの株価が高騰していたことも事実である。株価高騰によって莫大な利益を上げた者がいることも事実である。藤田社長が参考人質疑で日本ERIの隠蔽を証言する直前までが、日本ERIの株価が最も高騰していた時期であった。

イーホームズ、日本ERIを批判

イーホームズは、厳しい論調で日本ERIを弾劾する。「日本ERI社は、平成16年1月に確認済み証を発行した「港区赤羽橋ワンルームマンション」で構造計算図書の偽装を指摘されながら、これを公表せずかつ取り消しも行わず、計画変更確認という公文書偽造に該当する手法によって隠蔽しました」(イーホームズWebサイト「日本ERI社は積極的かつ誠実に偽装物件を開示されたし」2005年12月23日)。

「計画変更等は、一担当者レベルで出来るものではありません。意匠、構造、設備等の複数の審査担当者が関与して、最終的に確認検査員が決裁を公印をもって行ないます。日本ERI社は、事件の解明の為に誠実にこの内容を開示すべきです。また、監督をしていた国土交通省にも、この事実を明らかにして頂く旨のお願いを申し上げております」(イーホームズ株式会社「弊社が認識する偽装事件の発覚の経緯」2005年12月31日)。

イーホームズは偽装事件の原因の一つに「偽装を認識したにも関わらず、公表せず隠蔽してしまい、被害を拡大させてしまった審査機関(日本ERI)」を挙げる(イーホームズ株式会社「国土交通省、耐震偽装事件の緊急調査委員会に提出する資料」2006年1月15日4頁)。

日本ERI、偽装見逃し

耐震強度偽装事件で、日本ERIは、姉歯秀次元建築士による偽装を新たに4件確認し、同社の見逃しは計15件になったと発表した(2005年12月22日)。このうち3件は千葉県船橋市の賃貸マンションである。

偽装問題発覚後、船橋市が再検査を指示したが、同社は当初「改ざんなし」と発表した。しかし、再々計算で漸く偽装が判明したという。船橋市の3件について、同社は姉歯元建築士が使ったのとは別のソフトで再計算し、11月1日に「改ざんはない」としていた。しかし、姉歯元建築士が使ったのと同じソフトを入手し再々計算したところ、偽装が見つかったと説明する(「日本ERI、姉歯元建築士の偽装を新たに4件確認」日本経済新聞2005年12月22日)。

これは日本ERIによる偽装と言えば言い過ぎになるだろうか。再検査を指示されて、自らの検査ミスを発見するならともかく、「問題なし」と報告するのは「検査機関としての能力が無い」か、「偽装に気づきながら検査ミスの発覚を恐れて虚偽の報告をした」かの何れかしか考えられない。

日本ERIは相当無能か、あるいは悪くとれば偽装を知っていながら、とぼけたものと考えられる。日本ERIは上場企業である(2004年11月1日、日本証券業協会に株式を店頭登録。12月1日、ジャスダック証券取引所に株式を上場)。下がり続ける株価に歯止めをかけるために「問題なし」と報告した可能性も考えられる。何れにせよ検査機関としての存在意義はない。

日本ERI、偽装報告が二転三転

日本ERIは北九州市のホテルについて「耐震基準を満たしていない」と市に報告しながら、同じ日に「建物自体は基準を満たしている」と発表した。北九州市は、ビジネスホテル「アルクイン黒崎」(同市八幡西区、11階建て、155室)について、日本ERIの報告に基づき、「耐震基準が一部で70-80%しかない」と発表し、ホテルに営業自粛を要請した(2005年11月26日)。同30日午後に日本ERIから市に届いたファクスにも「データ改ざんの疑いがあり、耐震基準を満たしていないことが判明した」と記されていた。

ところが、日本ERIは同じ日の午後、東京で「黒崎のホテルは耐震基準を満たしていた」と発表した(「耐震強度、「どの調査信じれば?」 結果の食い違い多発」朝日新聞2005年12月19日)。市は「結論が正反対。全く理解できない」と日本ERIに説明を求めたが、担当者が不在だったり、対応する人によって説明がまちまちだったりして、実情がつかめなかった。建築確認申請の書類上では「基準を満たしていない」が、実際に完成した建物の構造では「基準を満たしていた」ことがわかるまで二時間以上かかった。

この結論に対しては、日本ERIが過失を隠そうとしているのではないかと疑う向きがあった。日本ERIが詳細な報告をしなかったことも疑惑に拍車をかけた。ホテル所有者の菅原不動産の社長は「(日本ERIへの)信頼は著しく、なくなった。何を信じていいのか」と語る(「福岡県/耐震強度偽造で北九州市調査へ ERIに不信感」西日本新聞2005年11月27日)。

その後、菅原不動産が依頼した第三者の再計算によれば、建物は1階部分が耐震基準の8割から9割、2階部分でも一部が耐震基準を満たしていないという。菅原不動産は日本ERIに対して損害賠償を請求する予定とする。

鈴木崇英社長は家宅捜索に他人事

耐震強度偽装事件で、警視庁と千葉、神奈川両県警の合同捜査本部は、建築基準法違反容疑で一斉に家宅捜索した(2005年1月20日)。規模の点ではオウム真理教の地下鉄サリン事件以来の大型一斉強制家宅捜査である。

しかし問題が発覚してから家宅捜索まで、これほど時間がかかるのか疑問に思う。これでは証拠隠滅してくれといわんばかりのように感じられる。悪いことをした人間が黙って警察が踏み込むのを待っている筈がない。とっくの昔に都合の悪い証拠は処分してしまっているだろう。トラックを何台も用意したところで、役に立つ証拠は残っていないものと思われる。

捜索先は姉歯元建築士の自宅、耐震偽装マンションを施工した木村建設、志多組、建築主のヒューザー、シノケン、民間検査機関のイーホームズ、日本ERI等の本社事務所である(「耐震偽装で一斉捜索・警視庁など」日本経済新聞2005年12月20日)。告発物件には直接関与していないが、木村建設に低コストの建築工法を指導したとされる経営コンサルタント会社「総合経営研究所」も捜索対象とする(「100カ所で20日一斉捜索」埼玉新聞2005年12月20日)。各社役員の自宅も含め、東京、千葉、埼玉、福岡、熊本、宮崎の1都5県の117カ所以上に上る見通しである(「耐震偽装で一斉捜索 姉歯事務所など100カ所以上」産経新聞2005年12月20日)。

イーホームズ本社には午前8時半すぎに捜索が開始された。これに先立ち出社した藤田東吾社長は「捜査には全面的に協力する。この問題は国民の命に直接かかわっている」と厳しい表情で回答した。藤田社長はWebサイトでは以下のメッセージを発表した。「耐震偽装という、確信的に殺人を意識した行為を、もしも、関連する一部の政治家や官僚が封印するようなことをするなら、全国民が力を合わせてこの者達の犯罪を暴き白日の下に曝さなければなりません」(「全国民の皆様へ イーホームズ藤田東吾」2005年12月20日)。

検査機関「日本ERI」の鈴木崇英社長は世田谷区の自宅を出発し「うちにも(捜索が)入るの?」と他人事のように報道陣に質問した。「検査機関は制度の盲点を突かれだまされた立場。捜査には協力する」と淡々と話した(「姉歯氏、捜査車両で自宅に もみくちゃ、住宅街騒然」産経新聞2005年12月20日)。

警視庁と千葉、神奈川県警の合同捜査本部は建築基準法違反容疑で告発された姉歯秀次元建築士に加え、木村建設とヒューザーについても刑事責任を問う方針を固めた。捜査本部は詐欺罪を適用も検討する(「刑事責任追及へ」朝日新聞2005年12月31日)。

日本ERI株主総会で鈴木崇英社長が謝罪

日本ERIの株主総会で鈴木崇英社長(64)が耐震強度偽装の見落としを謝罪した。日本ERIは元一級建築士・姉歯秀次被告の多くの偽装を見落とした民間確認検査機関である。総会は非公開で2006年6月29日午前10時から、東京都港区の本社近くのビルで開かれた。

同社によると、約20人の株主が出席。鈴木社長は冒頭、「偽装を見落としたことをおわび申し上げます。再発防止に努めます」と述べた。質疑応答では株主から、損害賠償を請求された民事訴訟の見通しや再発防止策の具体的な内容について説明を求める声が上がった(「「偽装見落としおわびする」=耐震強度、社長が謝罪−日本ERI総会」時事通信2006年6月29日)。

日本ERI、無資格者による確認検査で業務停止処分

日本ERI社は無資格者による確認検査という明確な不法行為を行っていた。これは2002年9月24日に国土交通省が行った、日本ERI社への立ち入り検査により判明する。国土交通省は日本ERIに2002年10月1日から一ヶ月間の業務停止命令を出した(国土交通省「建築基準法に基づく指定確認検査機関及び住宅品質確保法に基づく指定住宅性能評価機関に対する業務停止命令等について(日本イーアールアイ株式会社)」2002年10月4日)。

国土交通省は立ち入り検査により、日本ERI社が無資格者で検査等を実施していた382物件を精査した。その際に耐震強度偽装が判明した4物件(グランドステージ川口原町、グランドステージ下総中山、グランドステージ豊田、ホテル三交イン桑名駅前)の偽装を発見していたら、その後の被害拡大を防止できた筈である。

偽装を見逃した検査補助員が建築判定資格に合格

姉歯秀次元建築士の偽装を見抜けなかった日本ERIとイーホームズの検査補助員二人は2005年度の国土交通省検定「建築基準適合判定資格者」に合格した。建築確認の権限を持つ特定行政庁の建築主事と同等の資格で、「みなし公務員」とされる。国交省は「合否判定に問題はない」とする。しかし、実務での致命的なミスが反映されない検定のあり方は、建築確認制度の信頼性を一層揺るがしそうだ。

合格したのは、偽造発覚の端緒にもなった東京都港区赤羽橋学生マンションのデータ偽造を見逃した日本ERIの検査補助員と、「グランドステージ北千住」の審査を担当したイーホームズの検査補助員である。民間の検査機関では、最終的な建築確認は有資格者が行うが、構造計算書など事実上の審査はほとんど補助員に委ねられているという。

国交省によると、受験資格の「2年の実務経験」は、申込時に自己申告で職歴を記載するだけで、同省は勤務先の検査機関に実務中のミスの報告などは求めていない。検定もペーパーテストのみで面接はなく、同省建築指導課は「偽造見逃しを理由に合格を取り消すことはない」とする。

日本ERIは「8月時点では偽造見逃しを把握しておらず、受験が不適当だったとは一概には言えない」とする。イーホームズは「個々の物件を誰が担当したか、資料を警察に押収されているので分からない」とする(種市房子「<耐震偽造>ERIなど検査補助員2人 建築判定資格に合格」2006年1月12日)。

日本ERI、受注激減で業績下方修正

日本ERIは2006年3月期(2005年4月1日〜2006年3月31日)の連結業績予想の修正を公表した(2006年2月10日)。経常利益は前期比約59.5%減の2億円で、2005年11月18日に公表した連結業績予想の7億700万円を約71.7%下回り、売上高は前期比約13%増の61億円(従来予想は66億8000万円)と見込む。2005年11月17日に発覚した構造計算書偽造事件の影響で、共同住宅の確認検査業務や住宅性能評価業務に関する受注が大幅に減った(「日本ERIの経常利益が前期比6割減へ」KEN-Platz 2006年2月10日)。

日本ERI建築確認の問題

日本ERIの建築確認、建築基準法違反で取消し

日本ERIが認めた建築確認は法令違反として何度も取り消されている。日本ERI福岡支店はダイア建設九州支店に三回同じ物件で建築確認を許可しているが、全て建築基準法違反で、福岡市から取消し処分を受けている。住民から建築審査会へ審査請求されたものである。問題の物件「ダイアパレス」は福岡市西区今宿東にある。設計はサンユニオン設計である。

ダイア建設今宿事件

日本ERIの建築確認を仙台市が取り消し

日本ERIが2004年12月に下ろした建築確認を仙台市は2005年1月に取り消した。同市青葉区建築宅地課によると、建物は個人住宅を兼ねた鉄筋コンクリート造3階建ての共同住宅。 宮城県の建築基準条例8条では、共同住宅を建設する場合、敷地が道路に4m以上接することを求めていた。

日本ERIの斜面マンション建築確認、取り消し判決

横浜地方裁判所は、神奈川県逗子市内に計画されたマンションに対して日本ERIが行った2001年4月27日付の建築確認処分を取り消す判決を下した(2006年11月22日)。確認申請をしたのはりんかい建設(現・りんかい日産建設)。敷地は大規模な盛り土斜面地で、神奈川県がりんかい建設に対して許可した開発行為には、01年4月16日付で変更が加えられていた。判決は日本ERIによる建築確認は、この開発許可の変更を踏まえていないため違法とした。

原告はマンションの敷地の周辺住民13人で、提訴の時期は02年4月。計画されたマンションはRC造で、階数は地上3階・地下1階、延べ面積は約2万m2だった。変更後の開発許可では、支持地盤に達する1100mm径の抑止杭を59本打設し、排水管は300mm径のものを5本、200mm径のものを3本埋設することになっていたが、申請図書はそのことに触れていなかった(「斜面マンションへの建築確認取り消す判決、横浜地裁」2006年11月28日)。

確認検査機関の罪

構造計算書偽装事件は建築確認の誤りがなければ、被害がでなかったケースである。法的にチェックする機能を与えられている筈の機関がチェックを怠り、消費者が被害を受けた。問題の本質は違法な建築のはずの建物が基準に合致していると判を押されたことにある。偽造以前に検査機関が検査機関が機能していなかったことが問題である。国民の安全を守り、安心して取引のできる市場を構築する役割をもつ確認検査機関が役割を果たしていなかった。

ありえない建築行為を検査機関が認めたため、本来無効な売買行為が行なわれた。検査機関の杜撰な審査により、建築確認が通ってしまった。本来なされる筈のない建築確認を根拠として消費者はマンション購入を決意した。金融機関も不法な建築確認を根拠に購入者たる住民に住宅ローンを融資、つまり信用を供与してしまった。結果、耐震性の高いマンションを購入したはずの住民が家を出ざるを得ない状況に至っている。

もし違法建築と判明していれば、金のやり取りは建築主(ヒューザー等)と建設会社や設計士の間、つまり業者同士だけで終わっていた。建築確認が通ったということが、金融機関にファイナンスを可能にさせ、住民が購入することを可能にさせた。つまり被害を一般人にまで広げてしまった。

マンション住民は権利回復・被害救済のために、もう少し冷静に権利関係の流れを見つめ直す必要がある。問題は確認検査機関と国交省にある。姉歯やヒューザーを高みから見物している場合ではない。

検査機関のザル

現行の確認業務全般がザルである。自治体を含め、多くの検査機関で偽装を見抜けなかったことが発覚している。どこもいい加減な審査しかしていなかったことが判明した。マニュアルさえ遵守されていない。検査も何もしてなかったのが実情だろう。確認検査機関も自治体も検査機関としての体をなしていない。

「『性善説』に立っているから」と言う自治体もあったが、確認業務自体を否定する言葉である(天野彰「「姉歯」手抜きマンションはモラルなき瓦礫」諸君!2006年2月号242頁)。常に正しい申請書が提出されるなら検査機関は必要ない。

姉歯元建築士やヒューザーを断罪するだけでは、制度は温存されてしまう。総研らをいくら追及しても、検査機関がザルのままなら、また第二第三の総研が出てくるだけである。個人のモラルや倫理観に対する評価だけでは、是正されない問題である。

従来の検査機関の審査レベルでは、ついうっかり間違った設計で提出ても承認されてしまう。その結果、「これならちょっとぐらい不正をしてもばれないのではないだろうか」と味をしめて不正に手を染める建築士がかなりいる可能性がある。

日本中に耐震偽装や単純ミスの見落としも含めて危険な建物が溢れている。善意、悪意問わず、結果として耐震基準に満たしていないにも関わらず、判を押され、完成している建物が姉歯物件以外にも多数存在する。偽装の意図はなくても、誤った入力の計算書が確認された事例は山ほどある。

民間検査機関は何と楽な商売だろう。見抜けない検査をして料金を取ってきたのが民間検査機関である。判を押すだけで、料金を請求し、金儲けしてきた。提出された書類をチェックすることもなく、印鑑だけ押して横流し。それで売り上げになる。最低限のこととして、返金は当然である。

「マンション耐震強度偽装事件で建築士が構造計算書にちょっとした細工をしたら、それが検査機関の目をすり抜けてしまった」(矢野直明「IT日本人には「パンドラの箱」」読売新聞夕刊2006年2月7日)。

検査機関の無責任な弁明

偽造をチェックできないならば審査機関の存在意義はない。杜撰な検査機関が存続する限り、業界は弛緩する。偽装が見抜けないならば、今までの検査は信用できないことを意味する。無意味な太鼓判なら最初から無駄で、消費者にとっても紛らわしいだけである。

検査機関は揃って偽造は見抜けないと言い訳する。簡単なチェックもせずに、偽造を見抜けなかったと主張する検査機関が存在すること自体がおかしい。誰が見ても偽装を解るものを「見抜くのは困難」と言い続けていることは「弊社は無能です」と主張するに等しい。検査員は書類が揃っているか、印鑑が押されているか等のチェックしかできない素人集団である。

通常に審査していて、耐震強度を見逃してしまったならば、何が足りなかったのか、今後どのようなことが必要か、少しは反省する筈である。しかし検査機関は反省どころか、過失はないと強弁する。他の機関が機能していないとか、偽装が巧妙だったとか、言い訳に終始する。

「検査機関の社長らは、偽装を見抜けなかったことについては「過失があったとは考えていない」と答弁。国民の疑問や不信に、正面から答えようとする姿勢は見られなかった」(「耐震強度偽装/証人喚問で実態に迫れ」東奥日報2005年12月10日)。

「「建築確認」の重みが、どれほど認識されていたのか。「検査機関」の役割とは何なのか。無責任な弁明を聞けば聞くほど、そんな疑問がわいてくる」(「耐震偽造質疑/これでは構図が見えない」神戸新聞2005年12月8日)。

ヒューザーらは検査機関を批判

ヒューザー(東京都千代田区)の小嶋進社長は「責任は一も二もなくチェックできなかった検査機関にある」と批判する(「責任押し付け合い 建築士や販売会社など 耐震偽造」産経新聞2005年11月24日)。共同通信の取材には、国や指定確認検査機関の態勢不備が被害の拡大につながったと批判した(「検査態勢不備で被害拡大 ヒューザー社長が国批判」共同通信2006年1月15日)。

小嶋社長は検事総長宛てにイーホームズの藤田東吾社長の刑事訴追を求める「上申書」(2005年12月16日)を送付した。上申書ではイーホームズの検査や藤田社長の言動が建築基準法違反や名誉毀損に該当すると主張する。建築基準法違反は構造計算書の偽造を見抜かなかったこととする。名誉毀損については嘘に基づき公の場でヒューザーを罵ったこととする(「イーホームズ刑事訴追を」朝日新聞2005年12月31日)。

木村建設(熊本県八代市)の木村盛好社長は「専門家である姉歯建築士の計算結果と確認審査機関の審査結果をそのまま信じてしまったことが原因」とする(「木村建設社長圧力「全くない」」産経新聞2005年11月25日)。

グランドステージ北千住の偽装指摘経緯

渡辺朋幸代表はグランドステージ北千住の偽装を指摘した経緯を以下のように説明していた。イーホームズは「担当者が再度確認したが問題はなかった」として偽造個所を特定できず、問題を重視していなかったと証言する(「<耐震偽造>イー社、告発重視せず 情報提供の社長証言」毎日新聞2005年12月1日)。

イーホームズ担当者は「最初は指摘の意味がわからない様子だった」という(「「こんな図面通ったら大変」偽装通報者、1年半前に指摘」朝日新聞2005年12月1日)。約一週間後に返ってきた答えは「チェックしたが、おかしくない」である(「イーホームズ、偽装指摘取り合わず」読売新聞2005年12月5日)。

渡辺朋幸代表は「イー社も、あんな稚拙な偽造はすぐに見抜けるのに。緊迫感がなかったのか」と憤る(種市房子「<耐震偽造>必死の告発、反応鈍く 空白の1年半に憤り」毎日新聞2005年12月1日)。

警視庁などの合同捜査本部が渡辺朋幸代表に参考人として事情を聞いていたことが判明した(2006年1月16日)。渡辺代表は国土交通省が強度偽装を公表する一年半以上前、総合経営研究所(総研)と木村建設側に姉歯元建築士による構造計算の問題点を指摘していた。捜査本部は、この経緯について詳しく説明を求めたものとみられる(「構造計算問題点、最初に指摘…アトラス代表に事情聞く」読売新聞2006年1月12日)。

民間検査機関の杜撰な審査

耐震強度偽装問題で国土交通省は、民間の指定確認検査機関123社を立ち入り検査した結果を発表した(2005年12月28日)。検査機関123社のうち、国指定は50社で、都道府県指定が73社である。発表により、杜撰な審査実態が明るみに出た。

構造計算書で耐震強度が基準を下回っていたにもかかわらず建築確認を出す等、姉歯秀次元建築士の関与のない物件について、7社で計8件の重大な問題があった。国指定機関では5機関で6件の重要な問題が見つかった(「「見逃し」など6件」朝日新聞2005年12月29日)。規定に反して書類の一部を省略していたケースも26件確認された(「重大審査ミス8件 民間検査機関、規定違反26件に 国交省」産経新聞2005年12月29日)。

耐震強度が基準を満たしているかを確認しなかった。兵庫県の未着工のマンション1件では、一部の階で耐震強度が基準を下回っていたにもかかわらず、建築確認をしていた(「耐震強度下回るのに確認 国交省の立ち入り検査結果」共同通信12月28日)。

構造計算書と設計図が合っていないことを見過ごした。国指定機関のジェイ・イー・サポート(広島市中区)は2005年11月、広島市安佐南区に建設予定のマンションの建築確認申請で、構造計算書と構造図の断面図で鉄筋本数の記載に一部食い違いがあったのに見過ごし、審査を通過させた(「中国地方2件 耐震偽装建築確認」中国新聞2005年12月9日)。

必要な書類の添付を省略していた違反が、「オーネックス」(大阪府茨木市)で8件見つかるなど計15機関であり、帳簿など書類上の不備も17機関で見つかった(「5検査機関で重大ミス、不備あっても建築確認」読売新聞2005年12月28日)。エラーメッセージが記載される頁が欠落していることを見落としたケースもある。

検査機関34社が、構造計算書とそれを基に作成された構造設計図を照合していなかったり、本来認められない審査の省略をしていたりした事例があったことを認めた(「7社の建築確認に問題=大半が偽装可能性認識せず」共同通信2005年12月29日)。

国交省は「かなり甘い審査といわれても仕方がない」と指摘する(「『重大な問題点』8件 」東京新聞2005年12月29日)。問題機関の行政処分を検討する他、制度面を含めた改善策の検討を進める。検査のできない検査機関は即刻認可を取り消すべきである。処分が重くなければ過ちは繰り返される。

民間検査機関の問題点

規制緩和の流れの中で認められた民間検査機関に対しては問題が指摘されている。システム自体に問題が多過ぎる。建築基準法改正(1998年)により、1999年から自治体の建築主事に加えて、民間の指定確認検査機関も確認業務が可能になった。民間開放は最初から国交省や自治体役人の天下り先確保が目的の制度であった。腐敗を招くという批判があったが、国や地方の建設技官の再就職先づくりのために国交省が法改正をゴリ押しした。

民間検査機関ではどうしても検査が甘くなる。顧客をつかむためにスピードアップと甘い法解釈をする傾向にある。建築主の過剰な要求に応えるために民間検査機関はとても都合がいい。「建築主や代理人である設計事務所の立場が強過ぎると、民間機関が厳密な審査を行うのは難しくなる」(「確認検査機関/偽造見抜く目持ってこそ」神戸新聞2005年11月25日)。

民間機関にとって申請者は料金を払ってくれる顧客に相当し、強く検査できないのが実情である。検査を民間会社にやらせれば、厳しいチェックをするところには依頼が来ないから、儲けるためには甘くせざるを得ない。確認検査機関は乱立している。割引券の配布や雑誌広告の出稿によって積極的に営業をかけなければならない立場である。確認申請を出す時に「ダメなら他行くからいいよ」と言えば黒も白になるくらいと言われる。検査が緩い機関ほど儲かる仕組みである。民間検査機関は確認件数をこなすことしか考えていないとも言われる。

民間検査機関には、建設会社や住宅メーカーが出資した会社が多い。日本ERIの主要株主にはミサワホーム株式会社、大和ハウス工業株式会社、パナホーム株式会社、三井ホーム株式会社、積水化学工業株式会社がいる。多くの民間検査機関は建設会社の資本が入っている。建設会社や住宅メーカーからの出向者も少なくない。

要するに自社の物件を身内の検査機関が確認することになる。設計する側と審査する側が仲間であれば、公平な検査を期待することに無理がある。「業者に頼まれて民間検査機関が手抜き検査をする話も聞いている」(中村幸安、建築Gメンが暴く!!欠陥住宅59の手口、日本文芸社、2004年、107頁)。

ある検査機関の建築士は「実際に行われているかどうかは別として、建築主側が簡単な審査を望めば、建築主と検査員のなれ合いで手抜き審査になってしまうこともあり得る」と話す(「見逃し次々 民間審査の中立性に疑問の声 耐震強度偽装」朝日新聞2005年12月8日)。

国交省幹部は「厳格な審査を行う機関は敬遠さえ、早く通すところが繁盛するようになってしまった。制度的矛盾があった」と認める(「民間検査甘い実態」読売新聞2005年11月24日)。周辺住民が日照権等を巡り反対する建物でも、行政機関が間に入る前に、建築確認を済ませてしまう例も報告されている。

愛知県建設部の山北康雄理事は建築確認業務が民間に移行して、特定行政庁が手がける件数が大幅に減っていると指摘する。「特定行政庁の確認審査体制が弱体化せざるを得ない。どう維持するかが問題だ」と話す(「「審査側の責任範囲を明確にして」、愛知県が確認制度の問題点を指摘」建設総合サイトKEN-Platz 2005年12月27日)。

NPO法人「建築Gメンの会」の大川照夫理事長は以下の指摘をする。「民間の検査機関は審査のスピードが売り。一日に何件も処理していればどうしてもチェックが甘くなる」(「姉歯ハレンチ建築士偽造本当の「黒幕」」週刊朝日2005年12月9日29頁)。

「偽装事件は、制度的な手当てをしないまま、安易に民間開放した結果でもある」(「実効性ある仕組みとなるのか」読売新聞2006年2月23日)。

民間検査機関離れ

構造計算書偽造事件を受け、ジョイント・コーポレーションは、マンションの建築確認の申請先を全て、民間の指定確認検査機関から行政機関に切り替えることを明らかにした(2005年11月22日)。同事件では民間検査機関が偽造を見破れなかった点が問題視されており、マンション購入者の不安をぬぐい去りたいとする(「建築確認の申請先を行政機関に切り替え、ジョイント・コーポ」建設総合サイトKEN-Platz 2005年11月22日)。

住宅性能評価の無意味

住宅品質確保促進法では設計住宅性能評価、建設住宅性能評価制度を定めているが、耐震強度偽装事件には有効であったとは言い難い。民間確認検査機関のビューローベリタスジャパン株式会社(野口敏・代表取締役社長)が、構造計算書が偽造された横浜市のマンションで、住宅性能評価書を交付していたと発表した(国土交通省発表、2005年12月7日)。

住宅性能評価を受けた建物で偽造が見つかったのは2000年の制度創設以来初めてである。住宅性能表示制度の信頼性にも疑問符が付いた(「住宅性能評価でも偽造見逃す、ビューローベリタス」建設総合サイトKEN-Platz 2005年12月8日)。国交省は、全国108の性能評価機関に再点検を指示した(「「性能評価」でも偽装見逃す 民間検査機関」朝日新聞2005年12月7日)。

民間検査機関は住宅性能評価機関を兼ねることが多い。指定確認検査機関のイーホームズは、性能評価業務を行う指定性能評価機関も兼ねている。例えばイーホームズが建築確認した東急不動産のマンション「アルス東陽町」では、設計住宅性能評価もイーホームズが実施した。

ある民間検査機関の理事は以下の指摘をする。「同一機関どころか、場合によっては同一人物が建築確認と性能表示の両方を請け負う場合が往々にしてある。そうなると、検査機能が落ちる可能性はないとは言えない」(小路夏子「住宅性能表示も空回り」日経ビジネス2006年2月6日号132頁)。

同じ機関が建築確認も性能評価も実施することになるわけで、二重チェックとしての効果が乏しい。従って、住宅性能評価は検査機関ではなく第三者機関にさせるべきである。その上で、今後は設計住宅性能評価書と建設住宅性能評価書を建物の引渡し時に必ずマンションの購入者・賃貸オーナーに提出することを義務付けるべきである。評価結果を発注者だけでなく広く公開する必要がある。

構造計算書の偽造を見抜けなかった指定確認検査機関への信頼が低下しつつあるが、その影響は性能評価業務にも波及している。イーホームズに住宅性能評価を発注しているデベロッパーや住宅会社のなかには、同社による住宅性能評価書では顧客の信用が得られないと、別の評価機関に再審査を依頼する会社が出始めている(荒川尚美「イーホームズによる性能評価住宅に再審査ニーズ」建設総合サイトKEN-Platz 2005年12月1日)。

国指定の確認検査機関16社中15社で問題点判明

国土交通省は2007年5月10日、「日本ERI」など国が指定した確認検査機関16社を立ち入り検査したところ、15社で構造計算の不整合などの問題点が見つかったと発表した。同省は耐震強度偽装事件を受け、2006年12月から2007年3月、延べ102人の検査官が16社を立ち入り検査。建築確認業務が適切に行われているか調べてきた。

その結果、防火扉を付けていない一戸建てに建築確認を出していたケースや、帳簿の記載漏れが判明。構造計算書と設計図の不整合も9社で見つかるなど、15社で何らかの問題点が判明した(「16社中15社で問題点判明=国指定の確認検査機関−国交省」時事通信2007年5月10日)。


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