HOME 東急不動産と耐震強度偽装問題

札幌耐震強度偽装事件

札幌耐震強度偽装事件は姉歯秀次元一級建築士による構造計算書偽装が氷山の一角に過ぎないことを示した。姉歯秀次は一級建築士資格を有していた。しかし札幌耐震強度偽装の浅沼良一は二級建築士でしかなく、荻島設計(荻島一之)に至っては無資格である。アトラス設計の渡辺朋幸代表も無資格でありながら、東急不動産物件の構造設計者となっており、無資格者の問題は深刻である。耐震強度偽装の闇は深い。

耐震強度偽装マンション住民、消費者契約法違反で4億円請求

浅沼良一・元二級建築士による耐震偽装問題で、強度不足が明らかになった分譲マンション住民が、住友不動産(東京)に売買契約の取り消しと購入代金の返還など総額約4億6800万円の支払いを求め、札幌地裁に提訴した(2006年12月25日)。浅沼良一・元建築士が関係した強度不足マンションの住民が提訴するのは初めて。

提訴したのは、同市中央区に2004年(平成16年)に竣工したSRC造15階建てマンション(84戸)の住民11世帯14人と同市北区に03年竣工したRC造10階建てマンション(32戸)の住民2人。設計は2棟とも、テクノ設計事務所(札幌市)で、構造計算を浅沼元二級建築士に外注していた。訴えられたのは住友不動産だけで、浅沼元建築士や元請けの設計事務所、確認検査機関は含まれない。耐震基準を満たしていると説明したのは消費者契約法違反(不実告知)にあたるとして、偽装した元建築士ではなく、売り主の責任を問うことにした。

中央区のマンションは、日本ERIが03年3月に建築確認検査済み証を発行して、同年5月に耐震等級1の設計住宅性能評価書を交付した。住友不動産が住民らに示した販売用パンフレットには「新耐震基準に基づく安心設計」と記載していた。また、売買契約を締結する際の重要事項説明では、住宅性能評価を受けた新築住宅であると説明していた。原告住民は1戸当たり2000万〜4000万円で購入した。

耐震基準を満たさないことが判明したのは06年5月。札幌市の調査で、構造計算書が偽造されていたことと、1階短辺方向の保有水平耐力比が0.86と基準を下回っていることが分かった。その後、住友不動産は住民に対して耐震基準を満たす補修工事を実施することを提案した。販売代金の返還要求には応じていない。

住民らは、補修工事で構造耐力が基準値以上になったとしても、資産価値は下がると主張。住友不動産が販売用パンフレットに虚偽の記載をしたことなどが、消費者契約法違反の不実告知に当たるとして、売買契約の取り消しと売買代金等の変換を求めている。住民側は「住友不動産はマンションを補修して強度を1.0にするといっているが、当初の説明と実際の強度がこんなに違うのは詐欺だ」と訴える。

消費者契約法の先例として東急不動産に売買代金の全額返還を命じた東京地裁平成18年8月30日判決アルス東陽町事件がある。東急不動産の騙し売り(不利益事実不告知)を認定した判決である。悪徳不動産業者は補修や賠償で済まそうとするが、居住者にとっては気休めにもならない。補修や建て替えで二重ローンに苦しむ姉歯物件住民の苦境を踏まえれば一目瞭然である。ケチのついた物件に無理して住み続けることはない。見込みが外れたら即損切りは、投資の初歩の初歩である。問題物件の契約を取り消し白紙に返す形での解決が今後は主流になる。

「耐震偽装のマンション住民、住友不動産に4億請求へ」産経新聞2006年12月16日
「札幌の耐震偽装、住友不動産を年内提訴へ・マンション住民」日本経済新聞2006年12月17日
「<耐震偽造>マンション住民が住友不動産を提訴へ 札幌」毎日新聞2006年12月17日
「購入代金返還求め、住友不動産を提訴へ 札幌の耐震偽装」朝日新聞2006年12月17日
「住友不動産を年内提訴へ/札幌の耐震偽装で」佐賀新聞2006年12月17日
「【構造計算書偽造】販売した住友不動産に住民が代金返還請求」ケンプラッツ2007年1月15日

住民の怒り

住民のリチャード・ローディング氏は「会社を信頼して買っているのに、こういうことになっても会社は対応せず、金も返そうとしない」と憤る(「耐震偽装で住民が住友不動産を提訴へ」札幌テレビ2006年12月17日)。ローディング氏は3LDKをおよそ3000万円で購入。70歳になるまでローンを組んだ。

「住友というブランドを信じて買った。お金を返してください。私の苦しみを終わりにしたい」。「(説明会では)震度6以上で倒れるかもしれないと一方的に補強の説明。買い上げや建て替えは考えていないと言われた。資産価値も売主として責任ありませんと言われた。みんな言葉がなかった」。「住友は補強すると言っているがなぜ(補強不足の)物件を建てたのかが問題。マイホームを手に入れたが住友不動産が夢を奪った」

住民としてマスメディアに登場するのは大抵リチャード・ローディング氏である。住民をまとめ、提訴に至ることができたのは彼に負うところが多いのではないかと推測される。もし購入者が日本人だけならば、波風起こさず泣き寝入りとなった可能性がある。日本人には御目出度い人間が多い。争うことを避ける気質があるのだろうか。だからアメリカで売られてる車とは2グレードも下回る車でも何も文句も言わず買う。消費者が我慢してきた。

住友不動産、新築販売価格での耐震偽装物件買取りを表明

住友不動産は浅沼良一が耐震強度を偽装した札幌市北区のマンション購入者に対し、購入時の新築販売価格での買取りを提案したと表明した。住友不動産は「当社が提案しております新築販売価格だけではご不満の一部(2戸)の区分所有者の方から、プラスアルファの金銭支払いを求める訴訟が提起されました」と主張する(住友不動産株式会社「札幌市北区のマンション区分所有者との訴訟について」平成19年2月2日)。

住友不動産が実際に買取りを提案したか、提案した場合も住民が提訴の動きを見せる前に提案したのかは確認できず、不明である。住友不動産が公表したのが第一回口頭弁論当日(2007年2月2日)のためである。東急不動産消費者契約法違反訴訟では原告が東急不動産を提訴した当日に東急不動産住宅事業本部の林正裕は卑劣にも近隣住民に対し、原告との示談斡旋を依頼している。このようなものならば原告の関知するものではなく、当然ながら提案とは言えない。住友不動産も札幌市中央区の偽装物件については買取りを拒否したと報道されている。

何れにせよ購入者が販売価格での買い取りを不満に思うことは当然である。マンション購入には諸費用(住宅ローン諸費用、登記費用、修繕積み立て基金等)がかかる。また、売買代金は引渡し時に払い込んでおり、数年後に同額で買い取るならば不動産会社は売買代金を無利子で借りていたことになり、不当利得が発生する。東急不動産消費者契約法違反訴訟では売買代金2870万円に対し、和解金は3000万円となった。

浅沼物件消費者契約法訴訟第一回口頭弁論

浅沼物件消費者契約法訴訟第一回口頭弁論が2007年2月16日、札幌地裁(岡部純子裁判官)で開かれた。本件は浅沼良一・元二級建築士による耐震強度偽造が判明した札幌市中央区の分譲マンションの住民11世帯が「消費者契約法違反に当たる」として、売り主の住友不動産を相手取って総額約3億7000万円の返還を求めた訴訟である。

住友不動産は「強度不足は軽微で違反ではない」として請求棄却を求めた。第一回口頭弁論に出席して理由を主張する点では東急不動産より、まともな対応である。東急不動産は東急不動産消費者契約法違反訴訟において、第一回口頭弁論に欠席し、理由を一切書かない答弁書を提出した。

住友不動産は第一回口頭弁論当日にプレスリリースを発表したが、その内容は説得力に欠ける(住友不動産株式会社「札幌市中央区のマンション区分所有者との訴訟について」平成19年2月15日)。傲慢にも「買い取りよりもむしろ、全額当社負担で補強工事を行わせていただく方が、日常生活に支障を来たさずベターであると判断した」と主張する。

何が購入者にとってベターであるかは購入者自身が判断することで、不動産業者が意見する問題ではない。不動産業者の発想は傲慢極まりない。そもそも購入者の主張は消費者契約法に基づく契約取り消しである。買い取りとは異なる。不動産業者は原告の主張もロクに確認していないのではないか。問題ない物件という前提で売買契約を締結したのだから、問題があるならば契約解消を求めるのは当然の権利である。

加えて卑怯にも「当社は、居住者の皆様に一日も早く安心してお住まいいただけますよう、補強工事の早期実施を心から願っており、この訴訟提起が合意形成の支障となる事態を憂慮しております」とする。提訴した住民と補強工事で満足する住民の間に対立を引き起こそうとする魂胆が透けて見える。このような不動産業者の物件ならば契約を取り消して正解である。住民は「もし私達の物件が耐震強度が満たなくても、結局、住むしかない?冗談じゃない!」と反発する(「どさんこワイド180」札幌テレビ放送2007年2月16日)。

「札幌耐震偽装 「重大な瑕疵ではない」 住友側、争う姿勢 札幌地裁で初弁論」北海道新聞2007年2月16日
「<耐震強度不足>売り主の住友不動産、請求棄却求める 札幌」毎日新聞2007年2月16日

浅沼物件消費者契約法訴訟原告主張

浅沼物件消費者契約法訴訟における購入者の主張は、実際は耐震強度不足であるにもかかわらず、住友不動産が日本ERIから耐震等級1の設計住宅性能評価書を取得し、「新耐震基準に基づく安心設計」であることをセールスポイントとして販売したことが「重要事項について事実と異なることを告げること」(消費者契約法第4条)に該当するとするものです。

これに対し、住友不動産は訴訟においては「重要事項ではない」と答弁しており、「マンション購入者にとって建築基準法の基準を満たない耐震強度不足が知っていれば購入を躊躇するほどの重要事項に該当するか」が訴訟の争点となります。

一方で住友不動産はニュースリリースで「買い取りよりもむしろ、全額当社負担で補強工事を行わせていただく方が、日常生活に支障を来たさずベターであると判断した」と発表しており、これが傲慢と書かせていただきました。上述の通り、訴訟上の争点は耐震強度不足が消費者契約法上の重要事項に該当するかであり、重要事項は「消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきもの」であり(消費者契約法第4条第4項)、補修が容易であるか否かは関係ありません。

「折角、マンションを購入したのだから、補修で済むならば住み続けたい」というのも一つの考えとは思います。欠陥物件に泣き寝入りすることさえ、自由と言えば自由だからです。しかし不動産業者から高圧的に「お前達愚かな消費者は自分達で何がベターであるか判断できないから、不動産業者様がベターを判断したものに文句を言わずに黙って従え」と命令されれば、反発が出るのも当然と考えます。住民は引渡し後、強度不足のマンションに居住していたことになり、問題が露見されれば補修で取り繕い、バレなれければそのままでは悪徳不動産業者の騙し得になってしまいます。

本訴訟で注目すべき点は原告が契約解除ではなく、消費者契約法による契約取消しを求めた点にあります。契約解除は目的物の瑕疵が重大であり、契約の目的を達成できない場合にできるとする考えがあります。この論理に立てば「軽微かつ短期間の補強工事を行うことにより、建築基準法の耐震基準を満たすことができ」という住友不動産の主張を法律論として展開する余地もあります。

恐らく原告が消費者契約法を主張した背景には、上記点を予め封じる狙いがあったものと思います。加えて消費者契約法違反で不動産売買代金の全額返還が認められた判決(東京地裁平成18年8月30日判決東急不動産消費者契約法違反訴訟)が出たことが追い風になったと思われます。東急不動産消費者契約法違反訴訟ではマンション竣工後にマンション北側隣地建物が建替えられ、北側の日照・眺望が皆無になることを告げずに騙し売りした事例です。東急不動産側は「北側であり、当該住戸には西側にも窓がある」等と主張して「重要事項ではない」と主張しましたが、判決は東急不動産の消費者契約法違反を認定し、売買代金の全額返還を命じました。

浅沼物件消費者契約法訴訟において意図的に契約解除の議論を持ち出して混乱を狙うことが住友不動産の策略である可能性があります。これに対して東急不動産消費者契約法違反訴訟を参考に、あくまで消費者契約法の土俵で勝負すれば原告の勝訴は堅いと確信しております。

浅沼良一・二級建築士の耐震強度偽装

札幌市は、市内の二級建築士が元請業者から構造設計を依頼された計5棟のマンションの耐震強度を偽装していたと発表した(2006年3月7日)。市によると、偽装を行ったのは、浅沼良一・二級建築士である。マンションの建設を担当した元請業者と下請けの浅沼建築士が2月6日、「構造計算書に偽装があった」と市に報告に来て発覚した。

浅沼建築士は1996年から構造計算業務を始め、これまでに112棟の構造設計を手掛けた。そのうち33棟で偽装疑惑が判明している。偽装を始めたとされる1999年は2棟、2000年が1棟だったが、2001年4棟、2002年6棟、2003年7棟、2004年6棟、2005年7棟とエスカレートしていた。市は日本建築構造技術者協会に委託し検証を進める。今後該当するマンションの管理組合等にも通知する。

構造設計を担当した浅沼建築士が、構造設計の段階で、地震などに建物が耐えられるかなどを調べる構造計算書を作成中、複雑な計算作業を処理できず、つじつまを合わせるために5棟について数字を操作したという。共同通信の取材には「納期が迫ったため、耐震基準に不安が残るまま、元請けの設計会社に提出してしまった」と答えた。

浅沼建築士は二級の資格では手掛けられない複雑な物件の計算を行っており、建築士法違反(無資格業務)の可能性もある。浅沼建築士は設計事務所を登録せず、休眠中の不動産会社の名義を使っていた。札幌市役所の会見では「登録しなければならないことを知らなかった」と釈明した(柴沼均「耐震偽造 浅沼建築士は疑惑否定 道は元請けなども調査へ」毎日新聞2006年3月8日)。

北海道建設部は浅沼良一・二級建築士に発注していた元請けの設計会社5社や一級建築士に建築基準法違反がないか、調査する。一級建築士や元請けは、33棟の構造計算書の改竄を認めた浅沼良一建築士を管理監督する立場にあり、道は責任を重いと判断している。調査の焦点は、元請けと浅沼建築士との具体的な関わりである。

建築士法では高層マンションなどの複雑な建築物の設計には一級建築士の資格がいる。二級建築士が設計に携わる場合は一級建築士が管理しなければならない。元請け事務所が浅沼建築士に設計を丸投げしていれば、浅沼建築士は無資格設計したことになり、建築士、事務所とも建築士法違反に問われる可能性がある。

浅沼良一物件増加

札幌市のマンションの耐震データ偽造問題で、浅沼良一・二級建築士がかかわった物件は新たに6件あったことが、道の調査で分かった(2006年4月4日)。この結果、浅沼建築士が関与した物件は合計118件となった。新たな物件が見つかったことで、浅沼建築士への行政処分はさらに時間がかかる見込みとなった(「<耐震偽造>浅沼2級建築士物件が新たに6件 計118件」毎日新聞2006年4月4日)。

札幌市のマンション住民から相談殺到

札幌市の耐震データ偽造問題で、住民から「自分のマンションは大丈夫だろうか」等の問い合わせが関係機関に殺到している。同市がマンション名を公表していないことが不安に拍車をかけている。同市建築指導部には、6日に12件、7日には51件の相談が寄せられた。

日本建築構造技術者協会道支部JSCA等、建築・構造設計の専門家4団体が2005年12月から実施している「構造計算書偽造問題特別相談」の窓口は今回の事件発覚以前からファクス等による相談が相次いでいた。今回の耐震偽造問題発覚後、特別相談の専用ファクスが一日中鳴り続けている。道マンション管理組合連合会にも7日だけで50件以上の問い合わせがあった。

札幌市で発覚した耐震強度偽装は、建物の安全が設計者任せにされ、建築確認段階で不正が見過ごされる実態を改めて露呈した。姉歯秀次元一級建築士以外による偽装、強度不足物件がさらに拡大する深刻な事態となっている。今回、札幌市で発覚した偽装は「非姉歯」の調査とは別の経緯だったこともあり、国交省幹部は「まさに底なしの様相となってきた」と頭を抱える(酒井孝太郎「「非姉歯」さらに拡大…事態深刻」産経新聞2006年3月8日)。

姉歯事件の発覚した当初から姉歯建築士は特異例なのか、「氷山の一角」なのか議論されてきた。結果的に言えば、「氷山の一角」であることが証明された。そもそも特異例ならば、これほど大きな問題にはならなかった。本格的に調べれば、似たようなのはいくらでも出てくるだろう。

「札幌市の2級建築士、マンション5棟の耐震強度を偽装」読売新聞2006年3月7日
「5棟の構造計算偽造を確認 札幌市のマンション調査」共同通信2006年3月7日
「札幌 30棟が強度不足か 同じ建築士 2棟で入居解約」産経新聞2006年3月7日
「納期迫り提出と建築士 札幌のマンション耐震問題」共同通信2006年3月7日
長谷川豊「<耐震偽造>浅沼建築士は技術不足 複雑計算できず改ざんか」毎日新聞2006年3月8日
酒井孝太郎「札幌の33棟で偽装 2級建築士認める 無資格業務疑いも」産経新聞2006年3月8日
「北海道が元請けも調査へ 札幌の計算書偽造問題」共同通信2006年3月8日
「<耐震偽造>「大丈夫?」住民から問い合わせ殺到 札幌」毎日新聞2006年3月8日

偽装マンション住民から札幌市に批判相次ぐ

浅沼良一・二級建築士による札幌市のマンション耐震データ偽造問題で、耐震強度が国の基準に満たないマンションの住民に対する初の説明会が4月15日夜、同市中央区であった。市建築指導部と分譲した太平洋興発(東京都中央区)に対し、資産価値が下がったことや市が偽造を見抜けなかったことへの批判が相次ぎ、住民の怒りは収まらなかった。

説明会は非公開。市が国の基準に満たないと認定した4棟のうちの1棟(30戸)が対象で、23戸の30人が出席した。同市などによると、市と同社は偽造を防げなかったことを陳謝。耐震強度が国の基準の70%余りしかなく、震度6弱の地震までしか保証されないことなどを説明した。今後、別の方法で耐震強度を計算し、それでも基準を下回った場合は耐震補強工事が必要なことを周知した。

住民は「市にペナルティーがなく、責任を住民が負うのか」「資産価値が下落したのは明白なのに従来通りの固定資産税の請求がきた」「今後の安全を担保してほしい」などと強い口調で市に迫った。

同社は今後の対策の費用を負担する意向をこれまで示していたが、この日は「誠意をもって対応する」との回答にとどまった。住民からは「市が直しなさいと言えばいい。はっきりして下さい」との声も飛んだ。終了後、同市の高崎博・建築調整担当部長は「住民の感情は厳しく、納得していないだろう」と述べた。16日も別のマンション2棟の住民説明会が市内である(「<耐震偽造>マンション住民に初の説明会、批判相次ぐ 札幌」毎日新聞2006年4月16日)。

北海道電力のグループ会社の浅沼物件

北海道電力のグループ会社「北電興業」(札幌市)が札幌市中央区に建設した賃貸マンション2棟で、耐震強度に疑問が生じたとして、入居者に説明するとともに、入居予定者とは解約手続きをとっていることが判明した(2006年3月6日)。「震度5強の地震でも倒壊の恐れはないが、必要な耐震強度を満たしていないと判断した」とする。

問題となっているのは22戸が入居している「エナコート大通22」(9階建て、23戸)と、2月18日から15戸が入居予定だった「エナコート山鼻」(10階建て、30戸)である(「札幌で新たに2棟強度不安 北電系の賃貸マンション」共同通信2006年3月6日)。

浅沼建築士に下請けを出した北電総合設計(札幌市)は「二級建築士と知っていたが、実績を評価していたので仕事を頼んだ」と話す(「二級建築士と知らなかった 偽造建築士の発注元代表」中国新聞2006年3月9日)。北電総合設計は北海道電力・泊原子力発電所の設計も行っている。

「同設計会社は、原発その他の発電所など、重要な社会インフラの設計施工を多く行って来ているからだ。電力会社系設計会社が、故意に本来資格がない者に設計を行なわせて欠陥建造物を作っていたという事実は、単なる「マンション設計偽装」問題の次元を超えた疑惑を呼ぶ」(山岡俊介「“二級”建築士とわかっていて頼んだ!? 北海道電力系設計会社。原発は大丈夫か!?」ストレイ・ドッグ2006年3月12日)。

連合北海道、徹底調査を要請

連合北海道(渡部俊弘会長)は、耐震偽造問題の徹底調査と再発防止を道に要請した。浅沼良一建築士に発注した元請けや行政の責任も検証した上で再発防止策を確立するよう求めた(2006年3月17日)。

道庁で要望書を提出した佐藤富夫事務局長は「誰がどの時点でどう関与したのか。偽造を招いた要因を掘り下げて検証してほしい」と要求。要望書では現行の建築士制度の問題点を明らかにすることなど5項目を申し入れた。道の野村昌信建設部長は「元請けの責任も明らかにし、厳正に対処する」と述べた(丸山博「耐震計算偽造:連合北海道、道に再発防止を要請/北海道」毎日新聞200年3月18日)。

荻島設計(荻島一之)無資格構造設計の恐怖

無資格の荻島設計(荻島一之)が構造設計した物件としては以下が確認されている。

物件 売主 設計監理 状況
シティハウス福住公園通り 住友不動産 テクノ設計事務所 販売中止
パークスクエア発寒駅前メイプルサイド 住友不動産 テクノ設計事務所 販売中止
デュオーレ山の手 新日鉄都市開発・東京建物 アトリエジーセブン 販売中止
パークハウス円山桜スクエア 三菱地所 アトリエジーセブン 販売中止
ル・サンク手稲 NIPPOコーポレーション(販売提携:クレヴァライフ、管理:東急コミュニティー) アトリエジーセブン 販売継続
札幌市中央区に建設中の高層賃貸マンション ビッグ 不明 建て直し

荻島設計(荻島一之)による無資格構造設計

札幌の耐震強度偽装問題で、構造計算書を偽造していた浅沼良一・二級建築士の元請けであった札幌市内の一級建築士事務所が、新たにデータ改ざんが分かった埼玉県内の設計事務所(荻島設計)の荻島一之にも構造計算を発注していた。偽装にかかわった監督責任が改めて問われるとともに、構造設計士が下請け扱いされる建築士制度の問題が浮かび上がっている(「札幌、埼玉の元請けは同じ 構造設計は下請け扱い」共同通信2006年3月19日)。

浅沼建築士は中高層建築の設計資格がない二級建築士で、埼玉の男性は建築士資格そのものを持っていなかった。元請けの事務所代表は何れも資格を確認していなかったことを認めた。その上で、「実績があったので頼んだ。構造計算書をすべてチェックするのは物理的に不可能」と開き直った。

荻島一之(荻島設計)は平成18年度コンクリート技士登録者名簿に掲載されている。合格番号00130876、登録番号10507867である。これは社団法人日本コンクリート工学協会の資格である。

建築がストップしているマンションってどのくらいあるの?@マンション掲示板

75 : 名前:匿名さん 投稿日:2006/05/22(月) 21:32
荻島氏が構造計算したのは星置が最初で、その後、美しが丘を手がけ百数十棟にのぼるそうです。

住友不動産、耐震強度を理由に販売中止

住友不動産は、札幌市内で建設中の分譲マンション2棟について、耐震強度に疑問が生じたとして販売を中止し、契約を解除する手続きをとっていることを明らかにした(2006年3月5日)。住友不動産は契約解除に応じた入居予定者に対し、補償金として手付金の2倍の金額を支払うという。耐震強度偽装事件発覚後に販売を中止したマンションには東急不動産及び株式会社明豊エンタープライズのアルス町田ブライシスがある(日本ERIが建築確認)。

販売を中止したのは札幌市豊平区の「シティハウス福住公園通」(15階建て、51戸)と、同市西区の「パークスクエア発寒駅前メイプルサイド」(15階建て、149戸)の2棟である。2棟とも、設計者はテクノ設計事務所(札幌市)、施工者は伊藤組土建、確認検査機関は日本ERI。構造計算は無資格の荻島設計が行った。

2棟の耐震強度は、民間検査機関の検査で承認済みだったが、耐震強度偽装問題発覚(2005年11月)を受け、設計側からも再検査を促す声があり、別の検査会社に依頼した。2月中旬に2棟のマンションの耐震強度に疑問があると報告を受けた。

「住友不動産が2棟分譲中止 札幌で耐震強度に疑問」共同通信2006年3月5日
去石信一「<耐震強度>住友不動産が「不安ある」2棟の販売中止 札幌」毎日新聞2006年3月5日
「「耐震強度に疑問」札幌のマンション2棟の販売中止」読売新聞2006年3月5日

限界耐力計算

新しい計算法「限界耐力計算」が問題視されている。建築基準法施行令上認められている耐震強度の計算方法には複数の方法があり、その方法によっては耐震強度は様々な数値になる。耐震補修や、解体・建替えの基準値が異なってしまうのは大いに問題である。

限界耐力計算は荻島設計が採用した計算方法である。荻島設計が構造計算したル・サンク手稲や販売を中止した住友不動産の分譲マンションも限界耐力計算で計算していた。限界耐力計算は2000年から使えるようになった計算法である。同じ建物でも本方法で算出したのと従来の計算法で算出したのとでは耐震強度が異なる。許容応力度等計算で耐震強度基準の「1」を下回っても、限界耐力計算では満たす場合もある。

使いようによっては鉄筋や柱の太さを合法的に減らすことができる。強度不足だったマンションが一転して安全となり建て替えも改修も必要なくなる。実際に姉歯建築士の偽装で耐震強度不足とされた都内新宿区のマンションがこの「限界耐力計算」で計算し直して「安全」とされている。このような事実がマンション購入者に知らされていない点が問題である。

日本建築構造技術者協会JSCAは限界耐力計算には問題があると指摘したが、国土交通省はそれに応じなかった。耐震偽装物件を検証し直す際に限界耐力計算を用いてもよいと通知してしまった。その結果、JSCAが指摘した通りの深刻な問題が次々に発覚した。

構造計算には大きく分けて四種類ある。許容応力度等計算と時刻歴応答解析は1981年の「新耐震設計法」の導入時、あるいはそれ以前から存在する。許容応力度等計算は「ルート1」許容応力度計算、「ルート2」剛性率・偏心率確認、「ルート3」保有水平耐力計算に分かれている。姉歯秀次元建築士が偽装に使ったのは保有水平耐力計算だった。一方、限界耐力計算とエネルギー法は2000年の「性能設計法」の導入以降に使われるようになった新興の計算法である。

三菱地所が構造計算を理由に販売中止

三菱地所は、札幌市中央区で建設中の分譲マンション「パークハウス円山桜スクエア」について販売を中止し、既に契約済みの入居予定者に対し、契約解除を申し入れたと発表した(2006年4月20日)。販売中止の理由について、「構造について自社で検証したところ、構造計算の考え方で社内基準に合わない部分があり、総合的に判断した」とする(広報部)。

三菱地所によると、このマンションは総戸数20戸で、地下1階・地上11階建てのRC造。設計はアトリエジーセブン(札幌市、羽柴功一・代表取締役・一級建築士)、施工は東亜建設工業が担当した。日本ERIが2005年4月に建築確認を下ろしている。2006年7月に引き渡す予定であった。

札幌の耐震強度偽装問題で、販売を中止するのは住友不動産に次いで2社目。住友物件で耐震データの改ざんを認めた埼玉県内の設計事務所に勤める無資格の男性が三菱物件も構造計算していた。

三菱地所は一連の構造計算書偽造事件を受け、1999年5月以降に自社が手がけた分譲マンションのうち、民間の指定確認検査機関が建築確認を下ろした約210棟のマンションについて、社内で構造計算を再検証している。このマンションについては、社内基準に合わない疑義が生じたため、日本ERIに構造計算の検証を依頼。3月に建築基準法上は問題がないとの回答を得たという。

詳細な再検査は継続中だ。すでに売買契約を結んだ6戸については今年7月下旬に引き渡す予定だったが、対応が間に合わないと判断。4月15日から契約解除を申し入れている。

東京建物らが構造計算を理由に販売中止

新日鉄都市開発と東京建物が、札幌市西区で建設中の分譲マンション「デュオーレ山の手」の販売を中止し、入居予定者との契約解除を申し入れていた。入居予定者には契約を解除するよう申し入れている。東京建物は安全性の再検証に時間がかかるためと説明する。新日鉄都市開発は「契約者に説明が終わるまで販売中止の理由は公表できない」としている。

同マンションは地上15階、地下1階建てで、総戸数60戸。2006年12月に入居予定だった。住友不動産の物件などで耐震データの改ざんを認めた埼玉県内の設計事務所に勤める無資格の男性が構造計算し、民間確認検査機関の日本ERIが2005年7月に建築確認していた。両社は姉歯秀次・元1級建築士による構造計算書の偽造問題を受け、安全性などの確認作業を実施している。

札幌市内では、三菱地所や住友不動産が、埼玉県内の同じ設計業者が手がけていたマンションの販売を中止している。

「三菱地所が販売中止 札幌耐震偽装で2社目」共同通信2006年4月20日
「「社内基準に合わない」、三菱地所が札幌市内のマンションの販売中止」ケンプラッツ2006年4月20日
「札幌のマンション販売中止 埼玉の無資格男性が設計」共同通信2006年4月24日
「札幌のマンション、安全性再検証のためと販売中止」読売新聞2006年4月24日

ビッグの荻島物件、解体後建て直しへ

札幌市の不動産会社「ビッグ」は2006年5月27日までに、同市中央区に建設中だった高層賃貸マンションについて、構造計算に問題があり耐震強度が不足しているとして、解体し建て直すことを明らかにした。計算を担当したのは埼玉県にある設計事務所の無資格の男性(荻島設計)で、札幌市内のほかの物件でも耐震データを改ざんしたことが分かっている。

同社によると、マンションは2005年8月に建築確認を得た。姉歯秀次元建築士の耐震強度偽装問題発覚後、複数の専門機関に構造計算の再計算を依頼したところ、数値に不正があり、強度が基準を満たしていないとの指摘を受けた。

札幌市はこの物件について再計算の結果、強度を満たしており違法性はないと判断しているが、同社は「疑念をぬぐえない」として建て直しを決めたという(「強度不足で建て直し 札幌の不動産会社」共同通信2006年5月27日)。

田中テル也構造計画研究所、無資格者構造設計

田中テル也構造計画研究所(東京都杉並区)の無資格者が構造設計したセントレジアス鶴見(鶴見区、10階建て、37世帯)でも耐震強度不足が判明した。非姉歯物件による耐震強度不足である(横浜市発表2006年2月17日)。セントレジアス鶴見はヒューザーが販売し、株式会社下河辺建築設計事務所が設計、木村建設が施工した。構造計算は田中テル也構造計画研究所が担当した。日本ERIが、2002年11月に確認済み証を交付した。

原因は日本ERIから設計ミスを指摘された田中テル也構造計画研究所が本来すべき構造計算をせず、ミスの残った確認申請書を再提出し、日本ERIも見落とした初歩的なミスである。同研究所は、強度不足を認識しながら、日本ERIに確認申請書を提出していた。市は「あり得ないミス。担当者に能力がなかった」と両者を厳しく批判した。

セントレジアス鶴見の構造設計は同事務所に所属する建築士資格のない男性職員が行った。建築士のチェックも受けていなかった。男性職員が作成した構造計算書は、本来強度の最低基準である1.0以上を示すべき個所に堂々と0.45等の数値が表示されていた。さすがに気付いた日本ERIは耐震壁等が基準を満たしてないと指摘した。基準を満たすにはコンクリートと鉄筋の強度補強が必要であった。職員は鉄筋だけを補強し、手書きで修正し再提出した。

依然強度は不足していたが、ERIは見落として建築確認を出した。日本ERIは見落とした原因を不明とする。しかし、計算式に当てはめればコンクリートと鉄筋の補強が必要なことは一目瞭然である。市は「普通は見落とさない。結果的に指摘した項目を確認していなかったのでは」とする。修正数値でも構造計算書を再計算をすれば強度不足は分かるが、再計算はなされなかった。

同研究所所員は、今回を含め以前から強度不足を認識しながら、指定確認検査機関に確認申請していた。この手の構造計算を繰り返していたとも話す。所員は市の聴取に「時間に追われ、ミスを指摘されたあとで修正すればいいと思った。間違いを指摘されれば勉強にもなる」と放言したという。

セントレジアス鶴見の住民説明会が2006年2月18日に開催された。日本ERIは「審査が不十分だった結果でもあり、機関の役割に照らして深く反省している」と謝罪する文書を配布した。今後、マンションの実態調査と耐震改修案を立案すると説明。一方改修にかかる工事費は同研究所などと過失割合を話し合い、負担額を決めると説明した。住民代表の男性は「こんな図面で審査を通ったと思うと苦笑してしまった」と話した。

「「非姉歯」ヒューザー物件に強度不足、横浜で1棟判明」読売新聞2006年2月17日
「「審査不十分だった」強度不足で日本ERI謝罪」共同通信2006年2月18日
堀智行「安全ショック:構造計算書偽造 セントレジアス鶴見、ERIもミス見落とす /神奈川」毎日新聞2006年2月19日
「第2の「姉歯」はもっと手抜き」スポーツ報知2006年02月19日

田中テル也構造計画研究所物件は要調査

国土交通省は田中テル也構造計画研究所が構造計算した東京都7件と神奈川県1件の計8件について、調査するよう関係自治体に指示したことを明らかにした(2006年2月20日)。セントレジアス鶴見の耐震強度不足発覚への対応である。

田中テル也構造計画研究所には東京都が7日に立ち入り検査していた。国交省は3月10日までに調査、報告するよう自治体に求めている(「8件の耐震強度調査へ 国交省、横浜の設計ミスで」共同通信2006年2月20日)。

田中瑛也所長は謎めいた人物である。自身のWebサイトによると1934年生まれの一級建築士である。文明評論家の肩書も持つ。「地中海文明の源流をたずねて」等、複数の著書があり、エーゲ海学会、トインビー地球市民の会など多数の団体に所属。1988年には「ゲーテとラーメン」という作品で「コア東京賞優秀賞」を受賞するなどバラエティーに富んだ経歴となっている。

田中テル也構造計画研究所

田中テル也構造計画研究所はプラーティノ南大井、ピュア・アクア大森(大田区大森本町)、アクロスコート池上(大田区東矢口)、カーサフロレスタ西馬込弐番館(大田区仲池上)の構造設計を担当した。プラーティノ南大井とピュア・アクア大森は管理会社を東急コミュニティーに予定する。

下河辺建築設計事務所物件

醍醐建設・ハウジングマスターの物件プラーティノ南大井とプラーティノ多摩川は下河辺建築設計事務所(下河辺隆夫)が設計監理する。プラーティノ南大井の設計監理は耐震強度偽装事件発覚後に株式会社アリエル都市研究所に変更された。

下河辺建築設計事務所は姉歯秀次元一級建築士が構造計算書を偽装した物件(グランドステージ船橋海神、グランドステージ東陽町)の元請け設計者である。2006年2月9日付けで東京都から設計事務所の登録を取り消された。

また、下河辺建築設計事務所はヒューザー物件等の構造設計をアトラス設計(渡辺朋幸)に下請けさせている。アトラス設計の渡辺朋幸は一級建築士資格を持たない無資格者であるにもかかわらず、東急不動産のアルス東陽町の構造設計者になっている(意匠設計は株式会社昇建築設計事務所(SHOW建築設計事務所)の竹内久建築士)。

プラーティノ多摩川(大田区矢口一丁目29番)
●入居予定 平成14年7月上旬 
●建築確認番号 第ERI01002807号(平成13年9月12日) 
●事業主・売主 醍醐建設株式会社、株式会社藤栄ハウス 
●販売代理 株式会社ハウジングマスター 
●設計・監理 株式会社下河辺建築設計事務所 
●施工 醍醐建設株式会社 
●管理会社 野村リビングサポート株式会社(巡回管理) 

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